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【第五部完結】1万5千PV突破 勇者パーティーをリストラされた俺(モブオ)はC級スキルをどんどん集めて、ざまぁ無双する。  作者: 虫松
第五部 修行編

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第10話 観測者が動く

■ 魔王軍・上位指揮管制塔

漆黒の水晶板に、数値が流れる。


戦闘記録。

魔力消費。

損耗率。

戦闘継続時間。


どれも、致命的ではない。


だが。


「……おかしい」


低く呟いたのは、

魔王軍上位指揮官《観測者》エル=グラフ。


彼は“戦場を見ない”。

数字だけを見る。


「火力指数:低」

「単体撃破率:低」

にも関わらず

水晶に、赤い線が走る。


魔王軍小隊

戦闘不能率:17.6%

撤退判断時間:通常比 143%


「時間だ」


エル=グラフは、指を組む。


「時間を奪われている」


異常値:支援効果

別の数値群が、拡大表示される。


《応援》


分類:精神補助

本来効果:士気微増/集中力微増

危険度:E


だが、実測値は違った。


行動失敗率:-32%

詠唱中断率:-41%

位置ズレ補正:+27%

判断遅延:-19%


「……支援じゃない」


エル=グラフの目が、細まる。


「戦闘制御だ」


名前が、浮かぶ。


個体名:ノエル

職業:チアガール

スキル:応援(変異型)

階級評価が、自動で書き換えられる。


E → C → B → 未定


「単独では無害」


「だが」


次のデータ。


個体名:モブオ

能力:+(増幅・重複型)


単発性能:低

継続効率:異常

戦闘崩壊率:極小


二つのグラフが、重なる。


・+(量を重ねる)

・応援(意味を重ねる)


「……危険だ」


エル=グラフは、断定する。


「育てば、戦場そのものを変える」


水晶板に、赤文字が刻まれる。

特別排除対象

優先度:B+

理由:

・戦闘時間を歪める

・被害を出さず、支配を崩す

・士気ではなく“判断”を支配する


「英雄より、厄介だ」


「英雄は、折れる」


「だが――」


「安全に戦う者は、折れない」


エル=グラフは、命じる。


「追撃は不要」


「狩るのは、準備が整ってからだ」



◇◇◇



夜。


焚き火は、低く。

モブオたちは、再び大陸へ戻っていた。

逃げるためじゃない。

戻るためだ。


「補給路、三つ」


モモが、地図を指す。


「魔王軍は、まだ“反攻”を想定していない」


デブリが、頷く。


「守りは薄い」


ノエルは、旗を握る。


「……私、怖いです」


「でも」


小さく笑う。


「応援、やめません」


モブオは、静かに言う。


「俺たちは、勝てない」


「でも」


拳を握る。


「負けない戦争なら、できる」


反攻準備

・戦わない場所を決める

・戦う時間を選ぶ

・撤退線を先に引く


そして


“戻れる戦場”だけを、取り返す。

遠くで、魔王軍の砦の灯が見える。


だが。


「……始めよう」


狩られる側だった者たちは、

今度は、戦争の形を、変えに来た。




【 第五部 修行編 完結】

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