第5話 超竜部隊投入
魔王軍が、ついに切り札を切った。
空が
割れた。
悲鳴のような轟音とともに、雲が裂ける。
そこから落ちてきたのは、影。
否。
災害だった。
魔王軍・超竜部隊。
飛行型
鋭利な翼で空を支配する高速殺戮種。
重装型
城砦のような装甲をまとい、地を砕く歩く要塞。
砲撃型
喉奥に魔力を溜め、街を消し飛ばす生体砲台。
どれもが、
単体でA級相当。
いや、
A級でも油断すれば死ぬ。
「……来たぞ……!」
誰かの叫びが、
爆音にかき消される。
次の瞬間。
空から、光。
砲撃型の咆哮とともに、
魔力砲が降り注ぐ。
消失。
一線を守っていた冒険者たちが、
まとめて蒸発する。
「A級が……!」
「嘘だろ……!」
重装型が前進する。
一歩、踏み出すだけで地面が沈む。
迎え撃った斧使いが、
全力の一撃を叩き込む。
通る。
だが、止まらない。
返しの爪が、
冒険者の身体を“潰す”。
飛行型が低空を薙ぐ。
風圧だけで、人が吹き飛ぶ。
戦場は、一気に地獄へ変わった。
名のある冒険者。
英雄候補。
武勇伝を持つ者たち。
次々と、倒れていく。
「倒せる……!」
「一撃は通じる!」
だが
数が、多すぎる。
倒しても、倒しても、
空から、地から、次が来る。
魔王軍は、数で勝る
消耗戦を仕掛けてきていた。




