表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第五部完結】1万5千PV突破 勇者パーティーをリストラされた俺(モブオ)はC級スキルをどんどん集めて、ざまぁ無双する。  作者: 虫松
第三部 新大陸編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/55

第8話 ギルド緊急招集

魔王軍が、動いた。


その報は、

悲鳴でも、叫びでもなく

警鐘として届いた。


◇◇◇


ギルド本部。


常時点灯しているはずの照明魔石が、

一斉に明滅する。


赤。

赤。

赤。


壁に埋め込まれた魔導水晶が、

低く唸り声を上げた。


魔王軍の大群の侵攻警報。


それは、

数十年に一度鳴るかどうかの、

最上位警戒信号だった。


次の瞬間。


鐘が鳴る。


一つではない。

街中に設置されたすべての警鐘が、

同時に、狂ったように鳴り響く。


澄んだ音ではない。

鉄を叩き潰すような、

耳を削る重音。


人々は、足を止める。


商人が。

職人が。

子どもが。


誰もが空を見上げ、

そして理解する。


その日が来たと。


◇◇◇


ギルド内部。


受付カウンターの裏で、

ギルドマスターが立ち上がる。


顔色は、蒼白。


だが声は、震えない。


「全冒険者に告ぐ」


魔導拡声装置が起動する。


街全体に、

その声が反響する。


「これは演習ではない」


「魔王軍幹部

 重層竜バルガスによる宣戦布告を確認」


一瞬の沈黙。


そして


「新大陸〈カイザーランド〉全域を戦線と認定する」


空気が、凍る。


「ランク不問」


「所属不問」


「個人、パーティー、傭兵団」


言葉が、続く。


「即時、ギルド本部へ集結せよ」


「拒否権はない」


「逃走は、敵対行為とみなす」


それは招集ではない。

動員だった。


◇◇◇


ギルドの扉が、開く。


S級冒険者が、姿を現す。


名を知らぬ者はいない。

単発火力で名を轟かせた英雄。


次に、A級。

その後ろに、B級。


鎧が鳴り、

武器が擦れる。


強者たちが、次々と集まってくる。


だが


空気は、軽くならない。


誰もが知っている。


映像に映った、

あの一撃。


あの質量。


あれは、個の延長線ではない。


◇◇◇


その片隅。


モブオ、モモ、デブリの三人は、

静かに立っていた。


周囲の視線が、

一瞬だけ、彼らをかすめる。


C級。非推奨構成。


評価不能。


誰も、声をかけない。


だが。


モブオは、

ギルド中央の戦況盤を見る。


赤く塗り潰され始めた地域。


侵攻予測線。


重層竜バルガスの進路。


「魔王軍の大群が来る……最前線か」


呟きは、小さい。


だが、確かだった。


壊れない前線。

止まらない攻撃。

重ね続ける力。


この世界が、

まだ“想定していない戦い方”。


デブリが、拳を握る。


モモが、深く息を吸う。


鐘は、まだ鳴り続けている。


◇◇◇


ギルドマスターが、最後に告げる。


「これは、ただの防衛戦ではない」


「価値観そのものが、試される戦争だ」


誰も、否定できなかった。


重層竜バルガスは、

すでに答えを出している。


強さとは、一撃必殺。


だが。


その答えに、

異物が混じり始めていることを。


戦争は始まった。


そして

C級冒険家 モブオたちは、最前線の戦場へと向かう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ