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【第五部完結】1万5千PV突破 勇者パーティーをリストラされた俺(モブオ)はC級スキルをどんどん集めて、ざまぁ無双する。  作者: 虫松
第三部 新大陸編

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第6話 C級だけの戦場

危険区域。

ギルド地図では、赤で囲まれた場所だ。


「B級以上立入可」

そう明記されている区域に、三人は立っていた。


本来なら、

精鋭のパーティーが隊列を組み、

後方に回復役を置き、

慎重に進む場所。


だが


ここにいるのは、

C級スキル保持者だけ。


前に立つのは、デブリ。


《守る》しか持たない男。

だがその周囲には、

目に見えない層が幾重にも重なっている。


防御は、多重


《多重防壁》(C級)

空間が、厚くなる。


横と後方。


モブオが動く。

+(プラス)を、連続で重ねる。


《殴る + 空振り + 殴る》

《空振り + 殴る + 空振り + 殴る》


当たらないはずの拳が、

周囲をまとめて叩き潰す。


これは連打じゃない。

“当てない前提”の広範囲の攻撃。


《乱打》(C級)


空振りすら織り込み、

連続して“重ねる”。

攻撃は、連打と連鎖。


さらに後方。

魔法使いモモ。


詠唱は相変わらず拙い。

声が裏返り、

一瞬、詠唱を噛む。


だがモブオが動く。

+(プラス)を、重ねる。


《ファイヤー+ファイヤー》

《灯り+風起こし》


魔法は、重ねがけ。


火は広がり、

風は導線になる。


《二連ファイヤー》(C級)

《《流灯りゅうとう》(C級)


魔物が倒れる。

一体ずつ。

確実に。


時間はかかる。


だが、

崩れない。


三人の戦い方には、

“爆発力”がない。


代わりにあるのは、


・壊れない前線

・止まらない攻撃

・事故らない魔法


安全。

異常なほどに、安全

無傷の中で魔物は全滅した。


◇◇◇


後日。

ギルドに提出された戦果報告。


討伐数。

侵入区域。

損傷ゼロ。


だが


モブオたちの冒険者

評価欄は、空白のまま。


スキルランク:C

パーティー構成:非推奨

戦術:記載不能


「……どう書けって言うんだ、これ」


ギルド職員が、頭を抱える。


同じ頃。


ギルドの奥。


重い声が、囁かれる。


「魔王軍が、動いているらしい」


「前線が、静かすぎる」


「……嫌な静けさだ」


モブオは、知らない。


自分たちの戦場が、

すでに“想定外”として

記録され始めていることを。


C級だけの戦場。


それはやがて、

“魔物信仰の最前線”と呼ばれる場所になる。



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