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【第五部完結】1万5千PV突破 勇者パーティーをリストラされた俺(モブオ)はC級スキルをどんどん集めて、ざまぁ無双する。  作者: 虫松
第三部 新大陸編

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第4話 多重防壁

実験場所は、

城塞都市の外れにある採石場跡だった。


人目がなく、

多少の衝撃音なら問題にならない。


デブリは、巨大な鎧のまま立っている。


「……本当に、やるのか?」


声に、不安が混じる。


モブオは頷いた。


「一回じゃない」

「重ねる」


モモは、少し離れた位置で見守っていた。


最初は、単純だった。


《守る+守る》


左手に、あの感覚。

《+(プラス)》

モブオを重ねると、

デブリの鎧の表面に、違和感が走る。


見た目は、ほとんど変わらない。


だが

空気が、歪む。


モブオが合図を出す。


「……いく」


模擬用の鉄槌が、

デブリの胸部に叩きつけられる。


ガンッ


鈍い音。


だが、

衝撃が、浅い。


「……今の」

と、デブリが呟く。


「効いて、ない?」


モブオは、息を整える。


ここからが本番だ。


《守る+守る+守る+守る+守る》


+(プラス)を、連続で重ねる。


視界が、少し歪む。

頭の奥が、熱くなる。


だが、止めない。


デブリの周囲に、

目に見えない“層”が生まれる。


《多重防壁》(C級)


空間が、厚くなる。


「……来い」


デブリは、そう言った。


次の一撃。


全力。


岩を砕くほどの力。


無音。


衝撃が、消えた。


反動すら、ない。


鉄槌を振るった側が、

よろめく。


デブリは、立ったままだった。


一歩も、動いていない。


沈黙。


デブリは、自分の両手を見る。


鎧を叩く。


痛みが、ない。


「……俺」

「壊れない?」


声が、震える。


恐怖ではない。

信じられなさだ。


モブオは、静かに言う。


「《多重防壁》になった成功だ。」

「ランクは、C級のまま」


モモが、息をのむ。


「……なのに」


「うん」

「完全防御だ」


デブリは、しばらく動けなかった。


これまで、

何度も倒されてきた。


守って、守って、

最後には崩される。


それが当たり前だと思っていた。


だが今は一切の物理攻撃は通らない。


「……俺は」

「ただの肉壁じゃ、なかったんだな」


その声は、低く、熱を帯びていた。


モブオは、答える。


「前から」

「必要だった」


“役に立つ”ではない。

“使える”でもない。


必要とされる。


その感覚が、

デブリの胸に、初めて根を下ろした。


巨大な鎧の中で、

拳が、強く握られる。


C級スキル守るを進化させ超えた瞬間だった。


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