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【第五部完結】1万5千PV突破 勇者パーティーをリストラされた俺(モブオ)はC級スキルをどんどん集めて、ざまぁ無双する。  作者: 虫松
第三部 新大陸編

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第1話 新大陸の常識

船が港に着いた瞬間、

空気が違うと分かった。


潮の匂いは同じなのに、

人々の視線が、やけに忙しない。


新大陸〈カイザーランド〉

本土よりも資源が多く、

魔物も強く、

そして、競争が激しい土地。


モブオとモモは、

最初にギルドへ向かった。


建物自体は、どこの街とも変わらない。

石造りで、掲示板があり、

受付がある。


違っていたのは、

空気だった。


掲示板の前。


依頼書は整然と並んでいる。

だが、その上に貼られた一枚の紙が、

すべてを支配していた。


注意

・S〜A級冒険者:優先受注

・B級冒険者:一般受注可

・C級冒険者:危険区域立入禁止


さらに、赤字で追記されている。


【C級パーティー受注禁止】


モモが、小さく息をのむ。


「……禁止、ですか」


声は、ほとんど聞こえない。


周囲の冒険者たちは、

その張り紙を当然のように受け入れている。


鎧も装備も立派な者たちが、

胸を張って歩く。


ランク表示を見せるように。


受付で登録を済ませると、

職員はカードを見て、即座に表情を変えた。


「C級……ですか」


それだけで、声の温度が下がる。


「こちらの依頼のみ、受注可能です」


差し出されたのは、

雑用、運搬、下働き。


討伐依頼は、一切ない。


「危険区域は?」

と、モブオが尋ねると、


職員は、即答した。


「論外です」

「C級は……田舎者扱いですから」


悪気はない。

事実を述べているだけの口調。


モモは、カードを見つめる。


自分のスキル欄。


《ファイヤー》《灯り》《水出し》《風おこし》

すべて、C級スキル。


「……やっぱり」

「私たち、場違いですかね」


モブオは、掲示板から目を離さずに言った。


「いや」

「分かりやすいだけだ」


モモが顔を上げる。


「ここは、冒険者ランクだけが正義の世界だ」


努力も、工夫も、

連携も、役割も。


数字に書けないものは、存在しない。


ギルドを出ると、

人々の視線が、また刺さる。


C級冒険者のカード。

簡素な装備。


新大陸では、

それだけで「下」と判断される。


モブオは、静かに思う。


ここは、

かつて自分が追い出された世界よりも、

ずっと正直だ。


そして

壊しがいがある。モブオは燃えていた。


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