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【第五部完結】1万5千PV突破 勇者パーティーをリストラされた俺(モブオ)はC級スキルをどんどん集めて、ざまぁ無双する。  作者: 虫松
第二部 出会い・成長編

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第7話 +(プラス)の限界と代償

森の奥。

二体の魔物のウルフが、同時に跳びかかってきた。

モブオは踏み込み、拳を振るう。


《殴る+殴る+殴る》(C級)


三連殴る。


ドン、ドン、ドン。


衝撃が、三段階で走る。


確実に仕留める。


だが。


着地した瞬間、

足元が、わずかに揺れた。


「……?」


視界が、歪む。


木々の輪郭が、波打つように揺れ、

頭の奥に、鈍い痛みが走った。


「モブオさん?」


モモの声が、少し遠い。


こめかみを押さえる。


ズキリ、と強い頭痛。


「……平気」


そう言った直後、

胸の奥が、ぎゅっと締めつけられた。


息が、浅くなる。


さっきまで何ともなかったはずの身体が、

急に重い。


戦闘は勝利して終わっている。


敵はいない。


それでも、回復しない。


使いすぎた。


モブオは、直感する。


+(プラス)を重ねた回数。

短時間での連続使用。


それが、

確実に自分の体力を削っている。


「……無制限じゃ、ないな」


独り言のように呟く。


+は便利だ。


だが、

何でも足せる力ではない。


限界がある。


そしてそれは、

スキルのランクや数値には表示されない。


モモが、そっと近づく。


不安そうな顔。


「無理しないでください」


小さな声。


責めるでもなく、

命令するでもなく。


ただ、心配している声。


モブオは、少しだけ笑った。


「大丈夫」


額の汗を拭いながら言う。


「これは、俺の戦い方だ」


選んだのは、自分だ。


誰かに与えられた力じゃない。

拾い上げた、歪なスキル。


だからこそ、

代償も引き受ける。


モモは、黙って頷く。


そして言う。


「じゃあ……私も、支えます」


その一言が、

頭痛よりも、胸に響いた。


力には、代償がある。


便利なものほど、

体力と命を削る。


だが

一人で払う必要は、ない。


森の風が、静かに吹いた。


次の戦いは、

もう少し慎重に。


二人は、次の町へと歩き出した。


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