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作戦会議(?)

結局戦闘は次回です。すまない…… 本当にすまない……

 馬車はミリアルドたちを乗せてすぐに駅を出発し、一時間もかからないうちに前線本部に到着した。


「塹壕陣に足を入れるのは去年の視察以来か…… 」


 ミリアルドが感慨深く馬車から降りる。リーフィアとナハトもこれに続いた。


「よっこいせ…… おん? 出迎えはなしか? 」


「へぇー、ここが本陣ですか」


 リーフィアは初の前線視察のため、少し興味深そうに辺りを見渡した。幾重にも巡らされた塹壕の内側に土嚢を高く積み、1列にテントが並ぶその様は圧巻と言えた。


「出迎えが遅れて申し訳ございません。ようこそ前線へ」


 銘々が声の聞こえた方を向くと、そこには制服をキチッと着こなした壮健な軍人の姿があった。


「第一師団長、オズワルド=クラディウスです。皆様のテントまでご案内致します」


 回れ右をして歩き始めるオズワルド。ミリアルドたちは黙ってその後ろをついていった。





 ─────────────────────

 テントに手荷物を置いてすぐ、リーフィアとナハトは夕食に行き、ミリアルドはオズワルドを含めた高官との作戦会議を始めた。


「……と、敵兵力は168000、こちらは67000となっております」


 オズワルドが指揮棒で陣地図を指しながら説明する。オズワルドの部下はこれに対して頷いたが、ガージァは首をかしげながら質問した。


「しかしオズワルド、こちら側の戦力が少なすぎはせんかね? 」


「しかし大臣、敵は騎兵と歩兵、そして投石機程度の兵装しか持ち合わせていないと偵察隊が確認しております。念話鏡(テレミラー)の画像にもはっきりと写っておりました」


 実際に念話鏡を渡されてガージァが確認すると、本当に時代錯誤の装備で陣取る敵の姿が写っていた。


「はぁ!?、敵はこんな前時代的な武器で我々に挑んでおるのか? 」


「はい」


「はぁ、なんとも無駄な作戦会議だなこれは」


 ガージァがため息をつく。その落胆度合いにオズワルドを含めた軍人たちは微妙な作り笑いを返すことしかできなかった。


「さ、さて…… 陛下はこれをどう見ますか? 」


 気まずい空気をごまかすため、オズワルドがミリアルドに話題を振る。


「そうだなぁ、まずは同期を陛下呼ばわりするのはやめにするか? 」


 ミリアルドがニヤリと笑い肘をついた。場の空気が一転する。


「さ、さすがに公的な場だからそれは無理かと…… 」


 オズワルドが恥ずかしそうに頭を掻く。ガージァは堪えきれずに口に含んだ茶を吹き出した。


「陛下、からかうのはお止めなされよ。それより彼らに伝えることがあるのでは? 」


「おっと、そうだったな」


 思い出したように肘をどけ、ミリアルドは静かに襟を正す。それを見て他の者たちは一斉に起立した。


「明日の攻撃であるが、余が自ら出撃する」


 ミリアルドが不敵に笑うと、一同の目が点になった。


「やつらに威厳を示してこその出撃だからな、久方ぶりにあの式典用の鎧を引っ張り出して出陣するつもりだ」


 点になっていた目に輝きが戻り始めた。ミリアルドが自ら陣頭に立つと聞いて一気に会議の場が盛り上がる。


「それはそれは、盛大に護衛をつけねばなりませんな」


 オズワルドが指揮棒を机に置いて拍手する。それにしたがって全員が王を讃えた。


「魔装騎兵隊を用意しろオズワルド」


「16騎でよろしいですか? 」


「問題ない」


「それでは諸君、明日は余が勇姿をその目に焼き付けるとよい。解散! 」

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