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#378 速習古典リパライン語・Ⅱ “代名詞・動詞変化”


「さて、まずは面倒なことから先に済ませてしまおう。お前もある程度語学に明るそうだしな」


 ペラペラとページをめくった後に、目的のページを見つけたらしい葵はそう呟いた。

 そのページには代名詞の体系について現代語で書かれていた。


◆◇ ◆◇ ◆◇


"mi" ad "co" kantet dalle novilen lineparine.

"fkhpha" ad "fghpha" kantet dalle "fgir" ad "fqa" fon novilen lineparine.

pa, si ad ci is panqa'd kraxaiun z'es "si" fal penul lineparine.

novilen lineparine io penul lineparine'd "dj" xale kranxaiun mol niv pa la lex es xale "e".


◆◇ ◆◇ ◆◇


「それぞれ、ミ /mi/、ソ /so/、フクフパ /fukuhpa/、フグフパ /fuguhpa/、ズィ /zi/、ディ /di/と読むぞ」

「三人称代名詞は一つになって、それ以外はほとんど同じなのね。"dj"だけは現代語に相当するものはないって書いてあるけど」

「不定人称だな。主語が立たない動詞を使うときに出てくることがある。"dj's rerendon."『雨が降る』とかな」

「現代語だと "rielied mol."『雨がある』と言っていたわね。古典語だと、英語の "It's raining." やフランス語の "Il pleut." に近くなるってことね」


 葵はこくこくと頷く。


「そういうことだな。確かに現代語の "e" は動詞が文頭にあることで命令文と読まれないために虚辞として現れるが、古典語の "dj" とは文法的な機能として異なるということを言いたいんだろうな。現代リパライン語の話者は、古語の授業を受けて "rerendon mol." と書いてバツを貰うのが普通なんだろうな」

「そこまではイメージがつかないけれども……」

「まあ、"dj"は一部の表現でしか出てこないから、不安に思うことは無用だ」


 七海はその言葉を聞いて、心を撫で下ろすようにふうと息を付いた。


----


「次は動詞変化だな」

「動詞変化……? 現代リパライン語の動詞は変化しなかったのに?」

「古典語には時制と人称で変化する語尾がある。コピュラの "es" を除くと以下の通りだ」


◆◇ ◆◇ ◆◇


★ 現在進行

一人称 -hing / -ning 二人称 -ball 三人称 -asa / -sa 

不定人称 -nall

普通名詞 -vall


★ 過去

一人称 -ving / -fing 二人称 -all 三人称 -dsa / -sad

不定人称 -noll

普通名詞 -fall


★ 未来

一人称 -cling / -ling 二人称 -call 三人称 -vfa / -fav

不定人称 -null

普通名詞 -gall


◆◇ ◆◇ ◆◇


「面倒ね……現代語の方が単純で良かったかも」

「まあ、サンスクリットとかと比べれば一億倍簡単だがな。これらをつければ動詞の時制変化となる。ちなみに二種類あるやつはどっちを使っても良い。見た目は単純だが、印欧語とは違って不定人称の動詞変化は不定人称に対応する」

「さっきの "rerendon"「雨が降る」という動詞を過去時制に変化させるなら、"dj's rerendondsa / rerendonsad" ではなくて "dj's rerendonnoll" になるっていうわけね」

「この規範では、な」


 ペンを止めて、ノートの上に置いた葵は少しうんざりしたような顔で答える。


「規範……他の標準形があったりするってことかしら」

「というか、古典リパライン語と呼ばれている言語は、複数の時代に話された複数の言語を包括しているからな。今やっているのは古典リパライン語の中でも新しめの規範だ」

「古めの規範だと何が違うの?」

「やはり、気になるか」


 七海の問いに答えるように葵はまた教本のページをめくり始めた。そして、あるページで手を止める。それは巻末の付録のように見えた。

 4×5のマスに単語が並んでいる。一番左の列には先ほど見た "mi", "co", "si", "dj" が置かれていた。基礎形だとみなして良いだろう、と七海は感じていた。


「これは古い時期の古典リパライン語の代名詞の体系だ。この時代は格と人称で使う単語が異なっていた。格語尾が付けられるのは一般名詞や固有名詞などだけだった」

「それが代名詞にまで拡張してきたってわけね」

「時代を下るとともに代名詞の格による使い分けは放棄され、格語尾がむしろ厳密につけられるようになったらしい。本来主格形を表していた 後にこれも、次第に廃れて一部は省略が許されるようになった。まあ、これは余談だがな……」


 そう言いながら、葵は遡るように前のページに指を入れる。二人は元いた学習地点へと立ち戻ってゆくのだった。

 そこには、続きとして "格" と書かれた章があった。


「というわけで、丁度その話も出たことだし、次は名詞の格をやっていくぞ」


 その言葉に頷く七海は、ふと遠くにはしゃぐ子供の声を聞いた。そういえば、自分たちは公園に居るのだった、ということに彼女は気づいた。それほど、学習に集中していたのだということを再び思い返すのだった。



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