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#251 残念だけど、私を馬鹿にできるの?


 料理人の手伝いも程々に手慣れてきた。料理と言っても、作るものはさほど複雑な料理でもない。異世界転生の典型としてこの古代世界は料理文化も発展途上ということなのだろうか。とはいえ、時間は掛かるし煮炊きを監視していなければならないのは変わらない。

 一日は調理器具を洗うことから始まる。インリニアとシャリヤが皿を洗っている横で料理人は何か羊皮紙のようなものを見ていた。少し汚れてところどころ変色していたエプロンを脇に丸め、何やら悩ましげな顔をしている。手が空いていた自分にはその羊皮紙に何が書いてあるのか興味こそあれど、言葉がわからない以上話し掛けることは出来なかった。


"Ej, inlini'asti, lecu co nun si'c malfarnoverl'i ja."

"Harmy? Selene niv mi lkurf si'tj zu es estyvertzerph xale la lex."


 彼女は手は動かしながらも口を尖らせて嫌がっていた。特段彼女に嫌われるようなことを料理人がしたような覚えは無かった。インリニア自身、ヴェフィス語が話せることが逆に面倒な展開を引き起こさないかと危惧しているのだろう。


"Mer, lkurf niv xale la lex ja. Malfarnoverl ler dzeparduxienal elx edixa mol niv melx wioll miss is malfarnover ja."

"La lex es julesn pa......"

"Si es niv nulter ti."


 話に割り込んできたのはシャリヤだ。手先は食器を洗いながら、顔はこちらに向けている。つぶらな蒼い瞳といたずらっぽい笑みが可愛らしい。

 それにしても二人共良く器用なことが出来るな、と思う。自分だったら全自動皿割り器への転職を希望していたところだろう。

 一方のインリニアはそんな彼女の言葉にむむっと眉をひそめる。

 そういえばそうだ。"Nulter"と言えば、インリニアの恐れていたものだ。シャリヤはそれを揶揄して言ったんだろうか?

 そう思えるほどにお互いの間の空気は険悪になっていた。


"Co nat lkurf la lex ja? Ers niv vers xarne iulo lap at."

"Niv, mi tisod ny la lex. Edixa co nat firlex niv la lexe'c."

"Co movies mi? Plorul, Edixa co'd kotiel xel kotieless mi'tj fal nestile'd nukus ja. Miss sulaun fasta la lex pelx cene co movies mi?"

「いや、インリニアさん? ちょっと待った、mili plax mels la lex――"


 インリニアを制止する言葉の最初は日本語で出てきていた。言っていることは半分くらいしか理解できていないし、"movies"は「馬鹿にする、愚弄する」という意味で、"movi"と動詞を作る語尾"-es"で出来た合成語で前者は「馬鹿、愚者」という意味だろうということくらいしか理解出来なかった。だが、きっと何か大きな誤解を招くようなことを言っているような気がする……

 そんな予感を証明するかのようにシャリヤはインリニアの肩越しにこちらを鋭い目つきで睨みつけてきた。


"Cenesti......?"

"N, nac―― じゃなくて…… Mi es niv als fhasfa'i fal nukusustan!"

"Firlex,? Qa'd lartastan xelvin es fhasfa'i fal ete'd nukus ja?"

"Mer......"

"Ja! pa cirla es nestil ad ete'd snenike'd nukus!"


 答えにまごまごしていると先にインリニアが勢いで答えてしまう。シャリヤとインリニアの間にはまたもや火花が散っているようであった。片や何故かある種の誤解を招くような言い方をする方と誤解を真に受けている方。

 頭を抱えるようなこの状況を打開したのは先程まで悩み顔で羊皮紙を見ていた料理人の一声だった。


"Le chieroumiel! Jeaiess qaile mait lyncache jaile qouir plais. Route no adkes?oits falaides lesditekst."

"Route no adkes?oits......? Litelgate failaise fammie?"

"Icha vois gwon-alteit. Qais est icha bet?ienaut."


 ヴェフィス語が分かるのはただ一人、インリニアだけだったが彼女は料理人の話を聞いて面食らったような顔になっていた。彼女は料理人から羊皮紙を受け取った。シャリヤと一緒に彼女の両脇からそれを確認するとそれは文字列ではなく、地図のようなものが描かれていたものだった。

 おそらく遠出してお使いにでも行って来いということなのだろう。何はともあれ、地獄のようなやり取りを中断してくれたのはありがたい。小太りの料理人に俺は心の中で"xace!!"と連呼していた。


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Xace fua co'd la vxorlnajten!
Co's fgirrg'i sulilo at alpileon veles la slaxers. Xace.
Fiteteselesal folx lecu isal nyey(小説家になろう 勝手にランキング)'l tysne!
cont_access.php?citi_cont_id=499590840&size=88
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