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第二十三話 決戦開始2

 俺のかけ声でマリア、パイモンが飛び出す。

文字通り飛翔魔法で飛び出した俺達は、魔王軍を飛び越して王国軍の前線へ着地する。


 弾丸を彷彿させるその飛翔魔法は着地すると大地を抉り、周囲にいた兵士達を吹き飛ばした。

まさか人が飛んでくるとは予想だにしてなかった兵士達は驚愕の色を隠せていない。


 


 そこに横に一閃、剣で薙ぎ払う。


 


 放たれた剣撃が兵士達を切り裂いた。




 一撃、二撃と続ける。




 切り裂かれた体からは血が吹きだし、悲鳴や呻き声があがる。

その様子を目の当たりにした兵士達は向かってくる気配を見せない。

どうやらこの実力差に圧倒されているようだ。


 ようやく向かってきた兵を切り伏せる。

剣で受けようとするも剣ごと真っ二つになった。


 一人が向かうとそれにつられ次々と兵が向かってくるようになった。

それを流れ作業のように切り続ける。

たいして体力は消耗しない。


 体感で十数分くらいだろうか、王国兵を蹂躙していると魔王軍が王国軍とぶつかる。

雄たけびと武具が衝突する音が戦場に響く。

これだけの数だ、かなりの音圧だ。




 切りつけられ、倒れる者。



 兵を討ち取る者。



 戦意を失い逃げ惑う者。



 負傷者を担ぎ運ぶ者。



 命の重さが限りなく軽くなり、 戦場が狂気に満ちていく。



 

 少し前の俺だったら、戦場の現実を目の前にすれば、何か感じるところもあっただろうが。



 全てが安っぽく見える。



 どこかレンズを通して見ているようだ。



 そして、目の前に迫る兵を下から上に切り裂く。

闘気を通わせた剣の前に人間の体など、ケーキにナイフを入れるくらい柔らかく感じる。

これだけ切り殺していても作業のように感じるのは俺の怒りが消えていないからだろうか。



 「偽勇者のマコトか! 俺はランスだ。正々堂々と俺と勝負しろっ!」



 目の前にあらわれたのは怒気を浮かべた三十代前半の金髪の男。

騎士の鎧を纏っているところを見ると、王国騎士団か。

勇者などに拘りなど持ち合わせてなどいないが、偽勇者とは引っかかる。

大方、王国が事実を捻じ曲げているのだろう。



 本当に、くだらない。



 それで正義は我にあり、ってか?

まぁ、こちらが攻め込んでいるのだから王国側に正義はあるだろうさ。 

それに今更、正義とかどうとか言うつもりなどサラサラない。



 ただ、ただ、気に食わない。



 だから潰す。それだけだ!




「ゼルファン様の仇討たせてもらうぞ」




 なるほど、王の守護者ゼルファンの弟子か縁者か。



「こいよ」



 手の平を上に向けてクイクイッと指を動かし、挑発する。



「はあああああっ!」



 さらに怒気を上げたランスが切りかかる。

ゼルファンと同じバカ正直な剣筋、上段の構えだ。

少しばかり、ランスの方が早いか。


 それを右前に出て紙一重でかわす。

素早く体を回転させて、回し蹴りをランスの頭部に繰り出す。

ドゴッと鈍い音を立てて、頭部と体が分かれる。


 ランスは足元から崩れ落ち、傷口から大量の血液が噴水のように吹きだした。

それを俺は避けることなく浴びる。


 滴る血の中、笑みを浮かべた俺は。

たしかに、勇者には程遠いかもしれないな。



 やると決めたんだ、このまま進まさせてもらう。

剣の柄を握る手に力を込めた。


 

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