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第十四話 ルフィア教国軍

「さて、マリア。向こうに見えるルフィア教国の軍勢をどうするかな」


「へへへ、久しぶりに暴れられるね」


 セレイン囲む外壁の上からマリアがまぶしい笑顔を向ける。

向かって来るは、ルフィア教国15万の軍勢。

それが目前まで迫っていた。


「よく3日も経たないうちにこれだけの兵を集めたものだな」


ルフィア教国。

ロスティニア王国より北方に位置するその国は、国教としてルフィア教をおく、宗教国家。

ルフィア教の教義は『清廉潔癖であれ』、『魔族の排斥』である。

当然の事ながら魔族の総本山ともいえる魔王軍とは仲が悪い。

大きな衝突こそないものの、今まで何度も小競り合いを繰り返していた。


 『魔族の排斥』を謡っている国だ、セイレン国が魔王軍の侵攻にあっていると聞いて軍を率いてやってきたのだろう。

そう遠くはない国とはいえ、これだけの軍勢を率いて行軍してきたのだ、即断に近い形で出発したのが伺える。


 セイレン国を占拠している魔王軍とルフィア教国軍の距離1キロ余りで、両軍が睨み合う形でいる。

貿易都市として厚い壁に囲まれたセイレン国内にいる魔王軍20万とそれを対峙するルフィア教国軍15万。

戦況と数においても魔王軍の優位にある。


 ルフィア教国軍から白い馬に乗った騎士が一騎、前へとでる。

淡い紫色の髪を後ろにまとめ上げた十代後半の美女。

豪華に装飾された鎧が身分の高さを伺わせる。


「私はルフィア教、枢機卿スターウィンだ。魔王軍よ直ちにセイレン国より退け」


 魔法で拡声された声が届く。どうやら交渉ではなく宣戦布告のようだ。

そっちの方がわかりやすくていい。

俺とマリアの周りに魔王4帝達が集まりだす。



「ガハハッ、今回も一番乗りはワシがもらうぞ! カッカカカ」


 パイモンが勢いをつけルフィア教国軍へ向けて跳び上がる。

魔王にお伺いを立てないで飛び出す辺り魔王軍らしい。


「私だってたまには暴れたいんだからっ」


 マリアもやる気マンマンのようで、魔法でで飛翔した。

力み過ぎたのか飛翔の余波で外壁の一部が崩れる。


「アモン任せていいか?」


「お任せください。勇者様はどうぞ、お楽しみを」


 アモンが礼をするのを見て、俺もルフィア教国軍へ向けて空を駆けた。




ルフィア教国軍前線に着地したパイモンが一撃を放つ、撃たれた地面には大きなクレーターが出来、衝撃波がルフィア教国軍の兵士を薙ぎ倒す。

一撃、二撃と追撃をし、ルフィア教国軍の兵士達は積み木を崩すように次々と倒されていく。

急襲に態勢を崩された教国軍の兵だったが、その態勢を整え反撃に移るがパイモンの体を傷つけることは出来ず、逆に蹂躙されていく。

魔王4帝の力を目の当たりにした兵士達に絶望の表情が浮かぶ。

逆にパイモンの顔には笑みが浮かんだ。


 そして、マリアがルフィア教国軍の中心に着地した。

着地した衝撃で大地が震え、兵士達が吹き飛ばされる。

マリアがその有り余る魔力を練り魔法を展開させた。

足元に広がる魔方陣が光る、その光に照らされマリアの美しさに妖艶さが増す。


 紫色の瞳が淡く輝くき、魔法が発動する―――。


 黒き炎が爆炎をあげて、ルフィア教国軍の兵士達を喰らう。

黒竜の如く、あたり一面の兵士を喰らい尽くした。

焼け焦げた匂いがあたりを包み、炭となった兵士が散らばる。

その中心で佇むマリアの姿はあまりにも異質で、そしてあまりも美しかった。


 アモンが号令をかけ、魔王軍の兵が突撃を始めた。

夥しい数の兵がルフィア教国軍と衝突する。



 さて、そろそろ俺も動きますか。


 空を駆け、ルフィア教国軍の前で止まる。

剣を下から上に振り抜く、剣先から生まれた闘気の波刃が一閃、兵士を薙ぎ払う。


 首元に迫る殺意に剣で防ぐ。

刃と刃がぶつかり激しい火花をあげた。


 その剣の主は、ルフィア教、枢機卿スターウィン。




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