婚約者はめんどくさい(6)
俺が、ディーナに逃げられてから3日経った。この日は、父に教会に行くように言われた。正直言って教会は苦手だ。なぜなら、聖女がいるからだ。
「あら、アイン久しぶりね。あなたから、若いオスの匂いがプンプンするわ。でも、まだ青いわね、出直して」
そう言って俺の股間をまさぐろうとセクハラをしてる女が残念ながら、聖女なのである。
アトリ・フレイア、かつての勇者パーティの一員で現在は、アーサリオン王国の教皇である。アーサリオンは、人族と魔族の共同国家だ。だから、お互いの種族の宗教では、互いに忌むべき相手になってる事から建国時にどっかのバカ王が宗教なんてクソ喰らえ発言をしたので、教会に宗教的な役割はあまりなく、魔力解放の儀式くらいしか仕事がなかったりするので、基本的には暇だ。なので、その頂点にいるアトリさんは、日々男を囲い酒池肉林の宴をしているそうだ。正直聖女じゃなくて、性女なんじゃないかと思ってる。
「あら、アイン。あんたも呼び出されたのね」
そう言って、教会に現れたのはアルテナ。彼女が来たということはなんとなく察する。これ、婚約者関係のイベントだ。
「ここんにちはー……アイン様、それにアルテナちゃん」
ほれみてみろ、ディーナも来た。正直言って、最後に会ったのがあんなふうだったので気まずくて顔を合わせる事ができない。
「あら、アインとディーナ。一晩激しい夜を過ごした後のような顔をしているわね、なにかあった?」
「「なんも、ない!!」」
アトリさんの問題発言に俺とディーナは声を合わせて否定した。
普通だったら、こんな発言アルテナに聞かれたら、種族問題に発展するくらいやばい気がするのだが、幸いアルテナはお子様でかつ箱入り娘なので、そういう知識がなかったので、俺達の態度に疑問を持ちながらも首を傾げるだけだった。
「あなた達には、国内の4つの教会を回って貰うわ」
「なんのためにそんなめんどくさいことしなければいけないのよ!」
文句を言う、アルテナにアトリさんは、
「アインのためかな」
と言った。
「俺のため?」
「うん、そうよ。アインが立派な王になるためにこれは必要な事よ。それじゃ、いってらっしゃい」
そう言って、アトリさんは俺達を魔法で浮かせ馬車の中に押し込んだ。こうして、半ば強引に俺達の旅が始まった。
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ディーナは悩んでいた。
先日やってしまった失態を如何に取り戻すかについて。自分で押し倒された状態を作ったとはいえ、思い切ってあんな事を言ってしまうとは思っていなかったのだ。
さらにその後逃げてしまった1連の行動を思い出し、毎晩恥ずかしさのあまりベッドの上でのたうちまわっているのだから、というよりディーナは引きこもりなので常にのたうちまわっていた。
それはそうとディーナにとってアインは、婚約者であり想い人でもあるのだ。だから、なんとかしなければと考えてたら、親に教会に行けと言われ渋々向かったらアインがいるのだ。ディーナはパニックになった。そして、気づいたら馬車の中にいたのだ。
この旅が、ディーナにとって大きな変化ノきっかけになることをディーナは知るよしもなかった。
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アルテナは、アインとディーナの変化に困惑していた。アインとディーナはお互い顔を赤くして顔をそむけてる。
これは、お子様のアルテナでもなにかあったくらいかは感じる反応である。アルテナは、アインのことは大して好きではない。しかし、この状況はなんかムカつく。そして、アインとデートした時から胸の奥に生まれた感情がどこかチクチクした。
アルテナ・ジークフリートが恋を知るまで残り3日。




