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転生令嬢ヴィルミーナの場合  作者: 白煙モクスケ
第1部:少女時代

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78/336

8:5

大陸共通暦1767年:王国暦250年:春。

大陸西方メーヴラント:ベルネシア王国:南部国境付近

 ――――――――――――――――――――――――

 特殊猟兵戦隊の活動は単純だ。

 数日任務に出て、一日休養して、数日任務に出て、一日休養して、数日任務に出て、一日休養して……。任務内容は少人数で敵の勢力圏内奥深くへ浸透潜入して偵察、破壊工作、襲撃、空爆誘導など。


 現在のところ、特殊猟兵に戦死者無し。直接殺害戦果は数百程度。ありえない、と思った方。地球史前近代の会戦時代にあって、ポーランド・フサリアのキルレシオは一貫して1:50~100前後。敵中へ突撃する騎兵部隊が、だ。

 時代が下り、ベトナム戦争においてオーストラリアSASは七年間の派兵期間中、戦死者1名。キルレシオ換算すると1:500以上という圧倒的戦果を残している。特殊猟兵のキルレシオは決して大げさではない。


 ただ、特殊猟兵達の戦果は極限まで死力を尽くしてこそだった。任務中は一瞬たりとも気を休められず徹夜の連続で、常時強化魔導術を使い続ける身体的負担は想像を絶する。最精鋭の彼らですら、薬物を使って精根を絞りつくさねば、もたないほどだった。

『森の悪霊』、『密林の幽霊』と恐れられる特殊猟兵達だが、彼ら自身は『その由来は任務帰りの姿が幽霊みたいに酷いからさ』と自嘲的に笑うだけだ。


”この日”の出撃も、レーヴレヒトとチームの部下達はいつも通りだった。

 夜が明けきらないうちに起床し、朝食をたらふく摂る。俗に撃たれた時のために腹いっぱい食うな、というが……バカじゃねえの? 次にいつ食えるか分からないのに、“燃料”を詰めておかないでどうする。すきっ腹で登山して見ろよ。一時間もしないで動けなくなっから。


 外洋では、特殊猟兵の食事は一般兵と違い、体臭や便の臭いまで“敵”と似るように現地人と同じ物を食っていた。知覚強化系魔導術が存在する以上、些細な違いも危険だからだ。

 本国でドンパチすることはアレな気分だが、慣れ親しんだ食事で済むのはありがたい。


 朝食を済ませた後、中隊本部で他のチームと共にブリーフィングと出撃準備を開始。

 雪解けに合わせ、濃緑色の山岳帽と冬季用野戦服を着込み、脚絆付き軍靴を履く。硬皮革製防護ベストを着けた。いずれも魔導素材製で防護ベストにはバフも掛かっている。


 それから、チェストハーネスと装具ベルトで弾薬パウチやマップケース、雑嚢などの装備を身に着ける。偽装スカーフで頭から首元まで覆い包んで顔を隠す。軍靴の上に麻布を巻き、手袋を付けた。ぱっと見、素肌が露出しているのは目元だけだ。


 持っていく銃は二丁。回転弾倉式小銃と擲弾銃。いずれも塗料で偽装してある(ただし、使い込んでいるため、所々剥げている)。


 擲弾銃には擲弾と信号弾と近接戦闘用散弾の三種類用意される。歩兵用スコップの縁を研いで刃付けし、手斧代わりに。白兵戦用ナイフも持つ。手榴弾は三種類。炸裂型と燃焼剤をバラまく焼夷型と音響閃光弾。手榴弾の起爆方式は導火線式で火系魔導術を使って点火する。


 待ち伏せや破壊工作用に爆薬を用意。擲弾の爆発に魔導殉爆反応を起こす魔導励起信管も持っていく。


 それから、野営用道具(防水ポンチョと替えの靴下と下着だけ)と水と食料3日分(食いつなげば6日分)。緊急治療セットに神経刺激剤……予備の弾薬を含めれば、総重量50キロ前後。身体強化魔導術を掛けること前提なので、『普通』の重さだ。


 レーヴレヒトは革製防水マップケースに革張り紐綴じノートを詰める。普通は手帳で済ませるところだが、レーヴレヒトはノートを愛用していた。

 Q:なぜノートを? 大きくてかさばると思うのですが?

 A:? 大きい方がたくさん書けるだろ。それに……読んで喜ぶ人がいるからな。


 それから、最も大事な懐中時計も忘れない。ヴィルミーナに“借りて”いるこの小さな懐中時計は、時を知らせる役割よりお守りとして扱われていた。


 着々と準備が進められる中、

「マジかよ。缶詰だ。スゲェ~。イワシと野菜だってよ」

 支給された携行食糧に、はしゃぐ奴らが出てきた。


 この時代、瓶詰缶詰は最先端の食料保存技術だった。経験則的に作られるフリーズドライ食品(高野豆腐みたいなもん)もない訳ではないが、種類は多くない。それでも、普段の携行食糧――干し野菜や干し果物を押し固めたまっずいビタミンバーや、木の皮みたいな燻製ベーコンよりマシだ。


「でも、乾パン(ホーテン・プランク)はいつも通りなんだな……」

 あまりに硬いことから『木の板』と呼ばれる乾パンにげんなり顔の伍長。

 携行食糧についてあーだこーだと話していると、軍曹が言った。

「おい、説教屋が来たぞ」


 初老の従軍司祭がやってきた。特殊猟兵達が渋面を浮かべる。

 大陸西方から北方にかけて、聖王教が“市場”を占めている。が、聖王教は大まかに伝統派と世俗派と北方派の三宗派に分裂し、さらに、それぞれの宗派内で派閥対立があった。そのくせ、各国の外洋進出に便乗し、教圏拡大と信徒増加のため布教活動に邁進している。さながらホンダとヤマハが業界シェア争いをしたように。


 従軍司祭はにこにこしながら、特殊猟兵達に声を掛けた。

「君達の武運と戦勝を祈り、出撃前のミサを開きます。よろしければ出席してください」

「ありがとうございます、司祭様。手が空き次第、希望する者を出席させます」

 別のチームを率いる大尉が大人らしく愛想笑いを浮かべて礼儀正しく、司祭を“追い払う”。


 特殊猟兵達は基本的に不可知論的現実主義者だ。つまり『神が居ても居なくても、任務を成功させるために必要なのは事前準備と臨機応変と創意工夫』と考えている。


 やれやれ、と特殊猟兵達がぼやいた。

「神の御加護より美味い飯と酒と女が欲しいよ」「また高い銭出してブスを抱くのか?」「ブスじゃねえよっ! 個性的なだけだよっ!」「それをブスって言うんだろ」「ははは~」


 あれこれと話す部下へ、

「バカ話も良いが、現場で忘れ物をしたとか抜かした奴は尻を蹴飛ばすぞ」

 レーヴレヒトが叱責を飛ばす。

「怖い怖い。お貴族様はおっかねえな」

 準備を再開。


 レーヴレヒトは回転弾倉式小銃を手にし、塩梅を確認する。

 この時代の数少ない連続速射性能を持つ小銃だが、はっきり言って連続速射性能以外は、既存のブリーチブロック式小銃に劣る。


 まず弾倉と銃身の間に空間があるため、発砲の際、魔晶炸薬のエネルギーが漏れる。このせいで一般的なブリーチブロック式小銃より銃口初速が低く射程が短い。


 さらに言うと、この漏れ出したエネルギーが弾倉内の弾薬を暴発させる危険があった。当然、暴発すれば、弾倉より前にある前床(フォアエンド)を持つ左手が吹き飛びかねない。

 こうした事故を防ぐため、回転弾倉は弾込め後に油脂でシーリングする。のだが、このシーリング処理がまた面倒臭い。この弾倉も高価のため使い捨てが厳禁。空になった弾倉を失くさぬよう持ち帰るのは、非常に面倒臭かった(まあ、再利用できるから当然なのだが)。


 逆説的には、これらの諸問題を考慮しても、回転弾倉式小銃の連続速射性能は有益だった。なんせ個人で単発銃を持つ一個分隊に匹敵する火力を発揮できるのだから。

 少人数で敵勢力圏内に乗りこむ特殊猟兵は、好まざるとも使わざるを得ない。


「そろそろ出撃時間だ。ミサに出たい奴は行け。それ以外の者は駐機場へ向かうぞ」

 レーヴレヒト達は重たい背嚢を担ぎ、小銃を抱えて中隊本部を出ていく。そのまま飛空短艇の駐機場へ向かう。


「クソ共をぶっ殺す競争しようぜ。最下位が一位の奴に娼婦を奢るってのはどうだ?」「ヤダよ。お前が行く娼館、ブスばっかだもん」「ブスじゃねーよっ! ちょっと個性的な娘達だよっ!」「だからな、それを世間一般ではブスってんだ」「ははは~」


 頭の悪い会話を交わしながら、レーヴレヒト達は出撃していく。

 まるで鹿打ちにでも出かけるように。

 実際、彼らにとって人間を撃つことも鹿を撃つことも大差ない。


「そういやぁ、前に助けた軍事補助員の娘達は可愛い娘揃いだったなあ。レヴが話してた娘とか特にすごかった。あんな美人、今までみたことねーよ」

「そうだな」レーヴレヒトは淡白に応じ「俺も彼女より美人は見たことが無い」

 チームの全員が毒づく。

「もげろ」「もげろ」「もげろ」「もげろ」「もげろ」


        〇


 春季攻勢の開始予定2時間前。

 夜闇が濃い午前2時。


 攻勢開始に備え、突出部に展開していたクレテア軍の先鋒部隊が攻勢開始線に移動を開始した頃。ベルネシア軍陣地の方角で無数の青い砲火が煌めき、数百を超える砲声の雄叫びが夜の静寂を引き裂いた。夜空に描かれる焼けた砲弾の軌道。夜空に残るロケット弾の光跡。

 そして――


「何事だっ!?」

 突出部に展開していた銃兵旅団のある中隊陣地から少尉が飛び出し、目に映った光景に絶句した。攻勢の先鋒部隊が展開中だった攻撃発起線の辺りに砲弾の雨が降り注いでいた。

「なんてことだ」


 呻く少尉の隣で、夜空を煌々と焼く爆炎を眺めながら兵士が言った。

「ベルネシア軍の砲撃だ。毎度毎度、嫌なタイミングで仕掛けてくる。泣けてきますね」


「この攻勢は西方中に知れ渡ってる。だとしても、的確過ぎる。攻勢開始の2時間前だぞ」

「作戦の詳細が洩れている、てことですか。先が思いやられますな。泣けてきますね」

「おまけに今回の攻勢は空の支援が無しだ。クソ貴族共め。前線で戦う俺達よりテメェんトコの領地の方が大事ってか」

 毒づく少尉へ兵士が鼻息をつく。

「でもって、勝って得るのは貴族様、ですか。泣けてきますね」


「泣きっぱなしだな」

「ええ。涙が止まりませんよ」

 兵士が笑った直後、後方からも爆発音が轟いてきた。


 驚いて振り返る少尉に、兵士が顔いっぱいに倦厭を湛えた。

「ありゃあ旅団本部がある辺りじゃねえですかね? 参ったな。旅団長無しで作戦開始ですか? 泣けてきますね」


        〇


「第43銃兵連隊が敵の準備破砕砲撃で壊乱状態です」

「第22銃兵旅団本部が夜間空爆を受けました。連隊長のジュラン大佐は御無事ですが、幕僚の半数が戦死。残り半数も負傷してろくに動けません」

「第31装甲兵大隊が砲撃を受け、大損害です。一個中隊程度しか残っておりません」

「第9師団司令部が攻撃を受けました。被害は不明ですが、師団長が行方不明です」


 突出部内に移された侵攻軍総司令部へ次々と届く凶報。

 攻勢開始を2時間後に控えたところで、先の先を取るように攻勢発起線への準備破砕砲撃が始まり、突出部に展開していた諸部隊の指揮本部や司令部が夜間砲撃を受けていた。

 特に後者の砲撃は明らかにおかしい。これではベルネシアが指揮本部や司令部の位置を知っていたような――


「まさか、敵はこちらの配置を正確に把握しているのか」

 参謀長が顔を青くして呻く。

 春季攻勢開始直前に、重要な前線指揮官や前線参謀が次々と死傷し、指揮本部の機能が破壊されている。この損害は不味い。


 戦争は事前準備で大多数が決まる。これは事実だ。

 しかし、その事前準備を基にしてもなお発生する不確定要素――敵の抵抗や計画通りに進まない諸問題を解決するには、現場指揮官の創意工夫と臨機応変が欠かせない。


 事前準備が万端で最終的な勝利は揺らがなくとも、勝利までの時間と犠牲の多寡を決めるのは、敵と実際に銃火を交える前線指揮官達一人一人の能力なのだ。


 であるからこそ、現代地球においても、現場を担う下級将校の教育には厳しい競争原理が持ち込まれているし、兵士達の訓練から精神主義が消えることはない。過酷な殺し合いの中で冷静に戦い続けるには、精神と心胆を育み、鍛えるしかないからだ。


「大方、特殊猟兵に探らせていたのだろう。あるいは、これが奴らの行動の本命だったのかもしれんな。これまでの襲撃はこのための偽装だったか」

 ランスベール大将は不敵に笑う。

「我々にはあの幽霊部隊の跳梁を止める手立てがなかったからな」


 ベルネシア陸軍特殊猟兵戦隊は常に少人数で行動し、幽霊のように前線を浸透潜入突破し、こちらの勢力圏内で“蛮行”を繰り広げていた。

 前哨部隊、輜重部隊、物資集積所、橋や交通拠点、酷い時は野戦病院すら攻撃された。救援部隊が到着する頃には跡形もなく消え去り、味方の死体しか残っていない。


 クレテア軍とて抵抗せずに殺されていたわけではない。

 罠を仕掛けて待ち伏せを図ったこともあったが、一度も成功しなかった。それどころか待ち伏せに配置した部隊が襲われて壊滅するざまだった。

 しかもこの数か月の間で、ただの一人も特殊猟兵を殺していない。


 こちらが数百人以上の犠牲を出しているのに、向こうは誰も死んでいない。少なくとも確認できない。


 ランスベールも認めざるを得ない。

 ベルネシアの特殊猟兵戦隊は我々よりもはるかに強い。いったいどれだけの金と時間と労力を掛けて鍛え上げてきたのか……

 だが、理解できん。あれだけの精強な部隊をまとめて使わないのはなぜだ? 一個戦隊丸ごと投入すれば、突破口を塞ぐなり、突出部を叩くなり出来たのではないか? 分からん。まるで分からん。どういう企図の下で運用されている?


 防衛線の復帯陣地といい、特殊猟兵といい、ベルネシア軍のドクトリンは我々と根本から違い過ぎる。ベルネシア先王が死んで20年弱。周辺国と直接戦火を交えなかったこの間に、奴らの中で何があったのだ。


「閣下。如何なさいますか」

 参謀長が蒼い顔をして尋ねてきた。

「全指揮所に通達。砲撃を警戒しつつ、攻勢開始に備えよ」

 ランスベールは簡潔に告げた。

「元より犠牲は覚悟の上だ。それが現場の下士官兵であろうと、指揮官や参謀であろうと、変わりはない」

「はっ!」

 伝令が駆けていく。


「此度の戦争は多くの戦訓をもたらしたな」

 不意に、ランスベールは他人事のような気楽さで言った。まるで、もうじきこの戦争が終わるとでも言いたげな口調だった。


「塹壕とトーチカによる復帯陣地がこれほど有効ならば、要塞の在り方も変わるな。いや、スノワブージュのような大規模空爆を考えれば、要塞など攻撃目標でしかないな。これからは作戦と有利な地形に合わせて野戦築城陣地が中心になるかもしれん」


「え? は、はあ……」

 目を白黒させる参謀長を無視し、ランスベールは続ける。

「なにより、特殊猟兵だ。アレは俺の知っている軍隊ではない。どういう思想で、どういう意図で運用されているのか、まるで分からん。だが、今後、ベルネシアと戦争するならば、奴らに対抗する部隊が必要不可欠だな」


「閣下?」

 流石に不穏なものを感じ取った参謀長が訝しげに見つめてくる。


 ランスベールは小さく頭を振って口端を釣り上げた。

「心配するな。厭戦的になったのではない。奴らの意図は何か、と思ってな」

「それは、こちらの春季攻勢を妨害するため、では?」


「疲れておるようだな、参謀長。奴らはこちらの春季攻勢を把握している。にもかかわらず、前線部隊の指揮能力潰し“しか”しておらん。なぜだ? 戦力を減じたいなら、突出部や突破口にスノワブージュのような大規模爆撃を行う方が容易かろう。なぜやらん」


「指揮官が不足すれば、複雑な作戦を実施できません。それに、臨時指揮官では部下との意思疎通に乱れ、円滑な部隊運用が厳しい」


「春季攻勢は行わせたい、が、万全の状態では対処しきる自信がない。といったところか」

「……外洋派遣軍が帰ってくるのかもしれませんね」


 参謀長は告げた。この時点でベルネシア外洋派遣軍の本国移動開始の情報は、まだクレテア軍に届いていない。しかし、戦況とベルネシア側の意図を推測したなら、そこへ帰結する。


「我々が春季攻勢で突出部へ主力を移したところで、突破口を閉塞。外洋派遣軍主力による包囲撃滅。これが奴らの狙いではありませんか?」


 たしかに、その狙いが実現したならば、クレテアの決定的敗北となるだろう。本国も流石に負けを認めるに違いない。十数万余が壊滅してなお、新たに大軍を放り込む決断は下せまい。


「その精強さで列強中に知られるベルネシア外洋派遣軍。その主力なら、我々十数万余を包囲撃滅することも不可能ではないな」

「攻勢を前倒しにしますか? 奴らが到着する前ならば――」


「いや、ここは誘いに乗る。奴らの狙いを逆手に取ろう」


 思いのほか強気なランスベールに、参謀長はごくりと生唾を飲み込む。

「――冒険的すぎませんか?」

「ワーヴルベークで証明されたように、奴らの後背は脆弱だ。突出部から先に防衛線のような複帯陣地はない。上手く運べば、会戦状況を生み出せる。なるほど、複帯陣地にこもったベルネシア軍は確かに強固だ。

 だが、会戦状況ではどうだ? 冬季攻勢の際、我々を止めたのはこちらの物資不足と奴らの遅滞工作だ。逆襲部隊ではない。さて、諸君に問おう。我らクレテア陸軍は会戦でベルネシア軍に勝てないかね?」


 その問いかけは参謀長以下、全ての幕僚のクレテア軍人的琴線を強く刺激した。

「いいえ、閣下。会戦こそ我らクレテアのお家芸。モグラ染みたベルネシア軍なんぞ一ひねりにしましょう」


「よろしい」

 ランスベールは断じる。

「この戦いに勝つのは我々だ」


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