14:2
大陸共通暦1770年:ベルネシア王国暦253年:年始。
大陸西方メーヴラント:ベルネシア王国:王都オーステルガム。
――――――――――
年が明けた某日、王国府では官僚達の新年行事が催され、エンテルハースト宮殿では新年パーティが開かれた。
そして、この日は粛清の実施日でもあった。
この粛清はギリギリまで情報が秘匿されており、実働に当たった憲兵隊と近衛軍団、宮廷魔導士達の現場要員は何も知らず、王都郊外の演習場へ『新年合同訓練』――先の殺人鬼事件における市街戦の混乱を教訓とした大型訓練――として集められていた。それが蓋を開けてみれば、王国官僚と貴顕の大粛清なのだから、彼らの驚きは如何ほどだったか。
それでも、宰相ペターゼンが数カ月に渡って事前準備を進め、しっかりと練り込んだ計画は、薄ら寒いほどスムーズに進んだ。
なんせ獲物の大部分が王国府とエンテルハースト宮殿に集まっているのだから、逃がさないようにすることは難しくない。
王国府の大ホールは封鎖され、完全戦闘装備に身を包んだ憲兵隊員がなだれ込み、粛清リストの対象者を片っ端から拘束していく。
ある者は予期していた終幕がついに訪れたと天を仰ぎ、ある者はその場に崩れ落ち、ある者は逃げ出そうとして拘束され、ある者は暴れたために取り押さえられ、ある者は泣き喚き、怒鳴り叫び、慈悲を乞うた。
同じ頃、エンテルハースト宮殿の大ホールに近衛軍団と宮廷魔導士が踏み込んでいた。同様の一斉摘発が行われ、動揺と驚愕と愁嘆と醜態の悲喜劇が繰り広げられる。
国王カレル3世は護衛達に堅く守られながら事態を眺めていた。その顔は憤懣をより強くしていた。醜態を晒す連中を見る目は冷酷非情と評する他ない。
同時に、このような愚物共に20余年も謀られていたのか、と思うと、自身の暗君振りに自己嫌悪を押さえきれない。
エドワードが静かに歩み寄り、父へ耳打ちする。
「父上。王国府の方もつつがなく済みました。後は個別検挙の方だけです」
「武器を手に抵抗するようなら射殺しても構わん。その旨を徹底しろ」
「はっ」とエドワードは一礼し、去っていく。
隣に座る王妃エリザベスがそっとカレル3世の手を握る。
固く握り過ぎて血の気が失せかけていた拳に温もりを感じ、カレル3世はようやっと大きく息を吐いた。
「しばらく国が荒れるな」
「病巣の切除はいつでも痛みを伴うものですよ」
愛妻の気遣いに、カレル3世は険を和らげる。
「分かってはいたが、中々泰然と振舞うことは難しい」
「陛下はもう少し図太く振舞われても許されますよ」
「ヴィーナのようにか?」
どこか自虐的に微笑みつつ、カレル3世は姪へ目を向けた。
ヴィルミーナは壁際の席で退屈そうに粛清を眺めていた。同席のデルフィネとメルフィナは唖然としていたが、気にも留めず、シャンパンのグラスを傾ける。
メルフィナがおずおずとヴィルミーナへ問う。
「これは、ヴィルミーナが描いた絵図ですか?」
「私じゃないわよ。”この件は”ね」
ヴィルミーナはシャンパンのグラスを卓におき、皿の上から鮭とオリーブのカナッペを手に取って口へ運ぶ。脂の乗った冬鮭と酢漬けのオリーブがよく合っている。
「これから荒れるわよ」
その冷たい声と無情な言葉に、メルフィナとデルフィネが色を失くす。
「この粛清で貴顕権威は確実に落ちるし、行政や国家運営能力も低下する。外洋領土の独立派や現地人抵抗勢力も大人しくしているとは思えない。何よりも民衆ね。民衆がこの体たらくを見てどう思い、どう考えるか。もしも南小大陸のイストリア植民地人のように王侯貴顕を否定するようになったら」
「叛乱、内戦ですか」デルフィネが慄くように呟く。
「もっと酷い。この場合に起きる暴力は権力の奪取を目的としたものではなく、我が国の根幹と基盤を完全に覆すものになる。しいて言えば、」
ヴィルミーナは転生以来、ひたすら危惧していた言葉を口にする。
「革命」
その凶悪な単語に、デルフィネとメルフィナの端正な顔が引きつる。
「もちろん、国情が一気にそこまで悪化するとは思えないけれど」
幸い、ベルネシアの国情はこれまで安定していたから、いきなりフランス革命みたいな暴力革命にはならないだろう。
ただし、別口の問題は確実に発生する。
薄汚いアカ共の前身――社会主義思想が発生することは防げない。市民権の発生は社会思想の勃興を意味するからだ。
強欲なる資本主義の信徒にして強烈な反共主義者であるヴィルミーナは、共産主義を断固として許容しない。奴らの跳梁跋扈を防ぐためにも経済を成長させ、富の還流を促進して中産階級を育成し、教育とメディアで反共思想を根付かせ、そして、緩やかに立憲君主制へ移行せねばならない。最悪でも、王族である自分が排除されない体制でないと困る。
ヴィルミーナは再びシャンパンを口に運ぶ。
「ともかく、この粛清は後始末も含めて素早く済ませて欲しいわ。長引くとろくなことにならない」
全く動じた様子を見せず、既に事後の展開を気に掛けるヴィルミーナに、メルフィナとデルフィネは頼もしげな眼差しを向けていた。
もっとも、ヴィルミーナが真に注意を向けていたのは事後ではなく、帝国と地中海の方だった。
〇
遡ってはサンローラン会議後の頃だ。
特殊猟兵戦隊を持つベルネシアは不正規戦や秘密戦争のノウハウを有しているが、それでも他国の縄張り内で動くことは難しい。
特に、聖冠連合帝国のような当局がきっちり機能している国や、地中海のように各国の勢力や権益が複雑に入り組んだ場所は。
しかも、ベルネシアは地中海圏にほとんど伝手がなく活動経験もない。
如何にして帝国や地中海へ”首狩り人”達を送り込み、作戦を遂行するか。
特殊猟兵達の頭目ロン・デア・レヴェンヌ少将はこともなげに回答例を挙げる。
「まず地中海の情勢を不安定化させましょう。そこから帝国治安当局も揺さぶる。多少費用と手間が掛かり、無辜の民も相応に死にますがね」
「報復は必ず行う。だが、無関係なものを巻き込むのは道義に反するだろう」
カレル3世が苦渋顔を浮かべるも、レヴェンヌ少将は冷ややかな笑みを返す。
「陛下。我々はこれまで国益のため、御稜威のため、数多くの無辜の民を巻き添えにしてきました。今更の忌避は少々惰弱に過ぎますな」
あまりにも辛辣な意見に、カレル3世も流石に鼻白む。
が、同席していたヴィルミーナが横から口を挟んだ。
「少将のお言葉は厳しいですが、事実です。陛下、我々はこれまで国家国民の繁栄のため、外洋領土で数多くの人々を殺めてきましたし、現在進行形で各外洋領土の現地人を従属させております。
薄らバカ共は西方文明の輸出だの正しい教化だのと欺瞞をほざいておりますが、我々は現地人にとって、紛れもなく邪悪な侵略者であり、凶悪な征服者なのです。
既に罪深き我々が今一つ罪状を増やすことに気を病む必要はありません」
それに、とヴィルミーナは続けた。背筋が寒くなるほど冷たい目つきで。
「この報復は正義の執行ではありません。クリスティーナ様達への贖罪でもありません。我々の冷酷非情さを示威することで御稜威を取り戻すこと。それが本懐です。
残酷残忍、残虐非道である必要はありませんが、畏怖すべき存在であると示さねばなりません」
姪が時折見せるこの冷酷さはいったいなんなのだろうか。カレル3世はそろそろと溜息を吐き、愚痴るように言った。
「我々の工作が露見する危険性は?」
これにはレヴェンヌ少将が答える。
「露見の可能性は常にあります。特殊作戦に不測の事態は付き物ですので」
ヴィルミーナが別の回答例を口にした。
「短期間に限れば、大陸南方勢力とコルヴォラントは大丈夫でしょう。これまで我々が地中海で活動したことはありませんから、我々の関与を想像も出来ないと思います。
ソルニオルは気づくかもしれませんが……確たる証拠を出さぬ限り、妄言でしかありません。そして、彼らに証拠など出せません。そうでしょう? 閣下」
「もちろんです」レヴェンヌ少将は即答した。
カレル3世は大きく深呼吸し、告げた。
「……よろしい。委細任せる」
「御意。万事お任せを」
レヴェンヌは口端を凶悪に歪め、恭しく首肯した。
そして、狩人達が集められた。
作戦専従部隊は陸軍機動打撃戦闘団の強行偵察隊と海軍から選抜された。重装備としては武装商船に偽装した特殊作戦用飛空船と私掠飛空船、それに海上船舶が用意される。
後方支援はペーパー会社を通し、白獅子が仲介して実施する。この辺りは政商財閥としての務めだ。またクレテアとヴァンデリックの関係者もこの作戦に協力する。
彼らの任務は帝国と地中海圏において、ソルニオル公爵家一統とその“お友達”を抹殺することであり、作戦遂行における付帯損害と政治問題は一切考慮しない。
また、任務遂行中、彼らは“ベルネシア人ではない”ため、作戦外では国から如何なる援助も支援も保護も受けられない。作戦に失敗し、捕らえられても助けてもらえない。
「作戦遂行期間は三ヶ月から半年を見ている」
作戦管理官が言った。
この作戦管理官は軍ではなく国王直下のナイフ&コーツだ。つまり、この作戦はベルネシア国家機構の最上位から出されていることを意味する。
が、
「三カ月から半年も家に帰れねーのか。勘弁してくれ、嫁に逃げられる」「帰ったら覚えのない子供が居たりしてな」「笑えねーよバカ野郎」「逆に考えろ、現地妻を作るチャンスだ」「クナーハ教圏ならハーレムも作れるぜ」「女房だけでも持て余してるんだぞ。ハーレムなんか要らねーよ」「ははは~」
強行偵察隊の選抜員(実態は特殊猟兵)達はいつものようにブー垂れたり、無駄口を始めたりする。それは海軍から選抜された海兵隊員達も同じだった。
レーヴレヒト・ヴァン・クライフもしょんぼり顔でぼやいていた。
「半年も挙式の予定が伸びたら、不味いなあ……」
「その割には楽しそうな顔してるぞ」
「当然だろ」レーヴレヒトは戦友へ言った。「狩りに優る楽しみ無し、さ」
わいわいがやがやと無駄口を叩く一同に、作戦管理官はイラっとしつつも説明を続ける。
任務部隊135:俗称『パサージュ108』。
クレテア南部港湾・コード番号224を策源地とし、『向日葵』作戦を実施。同作戦においては付帯損害と政治事情を一切考慮しないものとし、同様に現場要員等が捕虜等になった場合、ベルネシアは一切関与を認めないものとする。
任務部隊136:俗称『ガルテン52』。
聖冠連合帝国都市・コード番号1104を作戦用地とし、『水蓮』作戦を実施。同作戦においては付帯損害と政治事情を一切考慮しないものとし、同様に現場要員等が捕虜等になった場合、ベルネシアは一切関与を認めないものとする。
両作戦における最重要目標リストは別紙3を確認のこと。
最重要目標は生死を問わず身柄を確保せよ。それが不可能な場合、別紙2に基づく対処案3を実施すること。
緊急脱出コードは『青薔薇』。コード確認後、速やかに本国へ向け脱出せよ。
作戦開始は年明けにTF135が先行して活動開始。
帝国内の動向を確認後、TF136が現地へ浸透、活動開始。
作戦管理官は最後に言った。
「任務はさほど難しくはない。いつものように上手いこと目標をぶっ殺して、上手いこと脱出するだけだ。簡単だろ?」
その言い草に皆が一斉に憮然とした面持ちになった。
時間を現在に戻す。
共通暦1770年の正月。夜の地中海を航行する聖冠連合帝国の貨客船が海賊に襲われた。
この海賊達は顔を覆面で覆い、小汚い作業つなぎを着込んでいて素肌を一切見せなかった。海賊達は恐ろしいほど素早く船員を制圧し、乗客を確保。一部の乗客を誘拐し、一部の積み荷を奪い取った。
誰も見ていないところで、海賊の一人が魔導通信機に吹き込む。
『108・2よりアクチュアル。パッケージの回収完了』
それから間もなくクレテアの武装飛空商船が“通りかかり”、海賊達は大急ぎで逃走していった。クレテア武装飛空船は海賊船を追っていく。
貨客船から見えなくなった距離で、武装飛空船は海賊船と“合流”。
「急げっ! 5分で済ませろっ!」
海賊達と飛空船の乗組員は積荷と人質を大急ぎで飛空船へ移し、海賊達も飛空船に移乗した。作業が完結すると、武装飛空船が海賊船を砲撃し始めた。
貨客船では船員の生き残りと乗客達の一部が舷側通路に出て、夜闇を切り裂く武装飛空商船の発砲光を目にし、砲声を聞く。幾度か繰り返された戦闘騒音の末、水平線近くでボッと火だるまになった船が見えた。
海賊船が撃沈されたと分かると、乗客達は『ざまあみろっ!』と大喝采を挙げる。
そうして、戻ってきたクレテア武装飛空商船の保護を受けつつ、貨客船は最寄りのコルヴォラントの港湾へ避難していった。
貨客船の船員や乗客達は、その武装飛空船の中に海賊達と攫われた人質達がいるとは、想像すらしていない。それに、武装飛空商船がクレテア船籍なのに、船員がベルネシア人ばかりだったことにも気付か無かった。
この時代、海賊事件は珍しくない。むしろ、北洋のように海賊が殺戮し尽くされた海の方が異例と言って良い。
それでも、この海賊事件はある種の立場にいる者達から大いに注目を浴びた。
連れ去られた一部乗客。強奪された一部の積荷。これは全てソルニオルの裏ビジネスに関係していたからだ。加えて、ソルニオル絡み以外の乗客と積荷は傷一つ付けられていない。
あからさまな“狙い撃ち”だった。
続報として、海賊の死体が回収されたことで、この海賊事件は関係者にとって一層、重大なものとなった。
回収された死体の海賊は地中海の大陸南方側沿岸部、通称“海賊海岸”の大陸南方人だった。別の言い方をすれば、ソルニオルの密貿易相手だ。
これらを素直に受け取るならば、『南方人海賊共が取引相手のソルニオルを裏切った』としか見えない。
当然、ソルニオルは報復に出るだろう。裏社会のルールだ。やられたらやり返す。ただし倍返しで。
もっとも……“海賊海岸”は酷く困惑していた。
彼らはソルニオルを裏切って“ない”からだ。しかし、実際に南方人海賊の死体が出ている以上、彼らも自分達の統制から外れたアホがやらかした可能性を否定できない。なんせ、海賊だ。バカアホマヌケは掃いて捨てるほどいる。
“海賊海岸”の総意として、優良取引先のソルニオルと抗争に至ることは避けたかった。だから、腑に落ちないものを覚えつつも、ソルニオルに使者を派遣した。
が、使者が帰ってくるより先に事態が動く。
“海賊海岸”の集落が襲われたのだ。
住民が全員虐殺されたため、過程を知る者は居ない。
海賊に扮したベルネシア軍精鋭達が集落を急襲し、住民達を手早く殺戮。犯罪組織の報復を偽装するため、略奪と婦女子への強姦も行われている。
こうした過程を知らなければ、集落長の死体に括りつけられたメッセージを疑うことは難しい。
『お返しだ』
今度はソルニオル側が困惑する番だった。そんな命令を出した覚えはない。だが、実際に集落で虐殺が実施された。加えて、現地の遺留品や痕跡は帝国人を強く示唆していた。
こうなると、この襲撃の否定は悪魔の証明に等しい。
もはや真実は重要ではなかった。ここで退けば、『弱い』と思われる。渡世で弱者と見做されたら終わりだ。
ソルニオルと”海賊海岸”の抗争はもう避けられない。
『予定通り』地中海は荒れ始める。
狩りを始める条件は整った。
〇
ベルネシアの手が地中海で暗躍している頃。アルグシア・カロルレン国境で戦争が動き始めた。
アルグシアは侵攻軍主力侵攻に先行し、強行偵察部隊を投入して街道や街道付近の緊要地確保を試みる。
ベルネシア戦役に観戦武官を送っていたアルグシア軍は、クレテア軍の轍を踏まぬよう十分な注意を払っていた。
冬季攻勢は苦労が多い。カロルレンがベルネシアと同様に焦土作戦と縦深塹壕帯陣地で待ち構えていたら、戦う前に凍傷や病気で犠牲を出しかねない。あの戦争は各国の軍人達に多くを学ばせていたのだ。
アルグシア侵攻軍は翼竜騎兵や飛空船を使って空から偵察した結果、国境付近のだだっ広い平野に塹壕帯は見られず、国境付近の村々も焦土化されてはいなかった。ただ、村々に住民や家畜は確認できなかった。どうやら住民と物資、家畜の疎開を行ったらしい。
一方、国境背後の拠点や城塞都市はそれこそハリネズミのような有様だった。阻塞気球が群れを成し、拠点や都市周辺は幾重にも阻塞物が敷かれていた。阻塞物の配置具合を見るに、拠点火砲の標定も完璧に行われているようだった。
「こりゃあ、どえらいことになるぞぃ」
アルグシア侵攻軍の参謀達や現場指揮官達は、この侵攻が気楽な手柄稼ぎの場ではないことをすぐに理解した。同時に、カロルレンへ時間を与えた諸々の事情を罵った。
ただし、彼らの思考と想像力はカロルレン側の“意図”にまでは及ばなかった。
カロルレンが翼竜騎兵や飛空船を出し、アルグシアの航空偵察を阻まなかった理由。
それは自軍の守りの堅さを偵察させ、アルグシアに侵攻が容易くないと認識させることだった。
冬季攻勢が簡単に行かないと思えば、当然、地歩を固めて進めていくことになるだろう。物資増産や陣地の強化などに必要な時間を稼げる。長期戦を想定したアルグシアは、放棄された各村落や集落に分散展開するはずだ。
そうなれば……各個撃破を狙い、精鋭の第一軍による決戦前に敵戦力を削げるだけ削ぐ。
大災禍と大飛竜の襲撃で見せたグダグダ振りが嘘のようなキレッキレの冴えである。何年も掛けて対アルグシアの軍事活動を練っていただけのことはあるようだ。
しかも、この敵戦力漸減作戦に、カロルレン王立軍は軽騎兵と魔導士部隊を投入した。
銃砲の発達で戦闘部隊としての比重が失われたが、近距離戦においては未だその戦闘能力は侮れない。対魔導装備の無い者達にとって、戦闘魔導術は銃砲と同様に恐ろしい存在だった。
つまり、ベルネシアが特殊猟兵で行ったゲリラ戦を、カロルレン軍は魔導士で行おうというのだった。
人材発掘とその教育に金と時間がかかる魔導士を出し惜しみせずに投入する。
すなわち。この作戦自体が、カロルレンの戦争遂行への決意表明だ。
東メーヴラント戦争の緒戦は、カロルレン魔導士部隊の奇襲遊撃戦によって始まった。




