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 お久しぶりになってしまいました。

「お嬢様、今日はお歌のレッスンが入っております」


「ああ!そっか今日だったわね!私、歌好きだから楽しみだわ」


 久しぶりの歌のレッスンが嬉しく、私が微笑んでそういうとメアリーは、


「それと……あのぅ、先生なのですが()()変わるそうで……」


 と目を私に合わせないまま言ってきた。

 

「あら……。そうなの、前回の先生とのレッスンも楽しかったのだけれどね……」


「……残念ですよね」


 私の歌の先生の変更はこれで何度目だろうか。

 なぜかほとんどの先生は私に数回レッスンをすると辞めてしまう。


「ま、切り替えて行かなくてはですね」


「それではしばらくお待ちください」


 メアリーはそそくさと部屋から去る。


「……リナ、あなた歌は得意なの?」


 マカロンは真顔で聞いてくる。


「もちろん!音楽系は好きだしね、楽器も得意よ!」


「……そう」


 ?何も変なことは言っていない。が、マカロンは引きつったような笑いをしていた。



「それでは、本日よりリューナ様の歌の講師をさせていただきます。ラクマと申しますわ」


「ラクマ先生、お忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いいたします。それと先生なのですから私に敬語など必要ありませんわ」


 ラクマ先生は30代くらいに見える女性だった。


「早速ですが、何か歌ってもらってもよろしいかしら」


「はい!」


「じゃあ私のピアノに合わせて――


 そう言ってラクマ先生はメジャーな曲を弾き始めた。

 間奏が終わりに近づき、私は大きく息を吸い、歌を歌った。


「……」


「どうでしたか、先生!」


 今日は喉の調子がとてもよかった。だから今まででもトップクラスの歌を披露させられたのではないだろうか!


「あ……ああ。よ、よかったわ……。じゃあ今日はこの歌をもっと完璧にしていきましょう……」


「!はい!!」


 そのまま数時間歌のレッスンを受けたのだが、今日だけですごく技術が向上した気がする。


「…………ここまでにしましょうか」


「はい、本日はありがとうございました!それで、次回のことなのですけれど……」


 私がそう切り出すと、


「そ、それはリューナさんのご両親に伝えておきますね」


 とラクマ先生は言った。


「?分かりました」


 何かをはぐらされたのかとも思ったが考えすぎだろう。

 ラクマ先生を見送り、私は次回のレッスンのことを考えて笑顔になった。



 今日、リューナのレッスンを見ていたメアリーとマカロンは図らずも同じことを思っていた。


『『お嬢様(リナ)……。先生がまた変わりますわ(るわね)……』』


 今日、リューナは技術が向上したと言っていたが、先生が必死にまずは音程からと優しく教えたのにもかかわらず、最後にはなぜだかもっとこんがらがっていた。

 それを当の本人は全く気付いていなかった。

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