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ブラコン 否定

特別小企画!詳細はあとがきにて!

 冬美が経験したことのない強敵を前に困惑が隠せない。


「あの、暦、さん」


 そして果敢にもアタックしてくる男子に罪悪感が涌いてくる。お相手はクラスで隣の席の関宏(せきひろし)である。

 冬美は元々人気のある女子である。冬美の人気が表に出始めたのは以前、クラスの上位カーストな生徒に関宏が虐められていた際に冬美がさらっと助けたことがきっかけとなった。

 他にも学校行事などで詩季に言わせると「味が有る」性格が徐々に露呈し始めクールキャラ改めクール(天然ボケ)キャラが定着し始めたのも親近感が涌く要因と言えよう。本人はその評価に気付かず、かと言って悪い評判ではないので周りも敢えて言わない。


「その、関君、ごめん」


 冬美は頭を下げる。彼女の目指す淑女道は「退かぬ媚びぬ省みぬ」であり真っ直ぐな想いに誤魔化しという選択はあり得ない。


「ううん……ごめんね、こんなこと言って。断られるって解ってたんだ。でも、気持ちが言えて良かった。有り難う。あの、握手だけ、して貰えると、嬉しいなぁって」

「ん。問題無い」


 関の願いを冬美は快諾し手を差し出す。そっと触れてくる手。緊張しているのだろう、汗でしっとりとしているが不快ではなかった。どころかむしろそのしっとり感にエロを感じてしまう若き少女。この世界の女子として仕方のない話なのだが肉体的な接触に罪悪感を覚えるレベルでドキッと邪な気持ちが芽生える。なんとか心の中で己に往復ビンタをかまして持ち直した。


 対する関は爽やかな想い出の一ページにするらしく非常に爽やかだ。爽やかオブ爽やかな笑顔を冬美に向ける。


「はは。ふられちゃった」


 ただその眼差しには隠しようがない哀愁を漂わせていた。




「お。冬っち、どした?」


 罪悪感ハンパないっす


 との感想を漏らす訳にはいかない。掃除のゴミ捨て当番が関と一緒になり、ゴミ捨て場で告白された。もうちょっと場所を選べよと他の男子なら言いそうなものだが関は関で他の生徒に見られない場所を、と考えに考え尽くしての選択故にいたしかたないものがあった。


「あれ、関君は? 一緒に行ったんだよな?」

「……職員室に用」


 とっさに嘘を付く。少し一人にして欲しいと言われそのまま置いてきたのだ。


「冬っち、お前、女だなぁ」


 関心したように声を漏らす親友の飯島恋にはてなマークを浮かべて見ると


「関君がお前に告ろうとしてるなんて皆知ってたっつの」


 呆れた眼差しを突き刺してきた。


「まぁ、隠そうとするところは評価出来る」

「なんのことやら」


 見えない煙草を指に挟んで煙を吐く真似で誤魔化す冬美。


「しかし」


 黙って聞いていたもう一人の冬美の親友、青井空が哀れみをもって冬美をみる。


「冬っちはどんな男が好みなの?」


 そう言われて見るとあまり考えたことがなかった。交友関係を捨てるような真似こそしていなかったが、兄が豹変するまで冬美はとにかくゲームゲームマンガゲームゲームマンガな割とオタク趣味に走っており、特に男の趣味など考えたことなかったのである。まだ色気付いてなかったとも言う。最近はもう色々のっぴきならない状況ではあるが若さ故である。


「好みと言われても」

「例えば性格は? 元気な肉食系? それとも物静かな草食系?」

「何そのニ択」

「しいて言えばだよ」


 改めて考える。元気過ぎても疲れそうだが静かすぎても対応に困りそうである。


「そこそこ元気、そこそこ静か?」

「また中途半端なことを」

「じゃあ見た目は? 芸能人で言うと?」

「特に好きなのは居ない」

「じゃあどんなんがタイプだ?」

「えぇ。なしてそんなしつこいの」


 妙に質問責めしてくる親友たちに冬美もさすがに引く。ただ冬美は気付いていないが飯島も青井もとあるクラスのカースト上位な空手男子に強制されているので必死だ。


 ちなみにその空手男子は窓際で友人と「あはは、そうなんだ。アメリカ大統領何やってんだよって感じだな」「だよねぇ、ボッキモンの151匹集めるとかよっぽど暇な大人じゃないと無理だよね」などとかみ合わない会話でカモフラージュしつつ冬美達の会話を盗み聞いている。他の生徒は帰って男子は二人だけである。


「ガールズトークって奴だ」

「何それキモい」


 この世界ではボーイズトークという言葉は日常で出てきてもガールズトークはあまり聞かない言葉である。


「いいからいいから。で、どんなんが好みよ?」

「えー」


 妙な空気に引きつつも、これ答えないと終わらない奴だ、と気付き嫌々ながらも考えてみることにした。


「背は?」

「まぁ特には……普通で」

「ヘアスタイルは?」

「こだわりは特に。似合ってれば何でも」

「顔は優しい系イケメン? 凛々しい系イケメン?」

「優しい系イケメン」


 イケメンという言葉に迷いは無かった。


「即答だな。じゃあ体は?」


 一瞬教室の温度が2℃ほど下がったような錯覚を冬美は覚え、慎重に答えることにした。


「普通」


 正解。一瞬で暖まった空気が流れる。


「普通ってどんなんよ? 具体的に説明してみ?」

「いや、本当に普通で」

「そこそこ元気、そこそこ静かな性格で優しい系イケメンで身長は普通で体型も普通ってちょっと広くね?」

「いや。冬っちの好み解ったわ。聞くまでもなかった。なんで私たちはこんな無駄な時間を過ごしてしまったのかと」


 親友飯島恋はどうやら本人以上に冬美のことを理解しているらしい。


「……あー。なるほどね。そりゃそうだね」


 そして飯島恋の言葉の意味を理解し青井空も同意した。


「要は冬っちはお兄さんが好みってオチだろ。な」

「ソレな」


 親友二人に両手人差し指を嫉妬と憎悪の視線と共に向けられる。


「人をブラコンみたいに」


 驚くべきことに冬美に自覚はなかった。


 空手男子の様子をチラチラ横目で確認した二人は使命を全うしたと確信し今度は気分一転、冬美の家に突撃することにした。


 気持ちとしては「なんで私らが冬美のせいで大蛇君にこんな微妙な役割負わせられる訳? ちょーおもしろくないんだけど!」である。美男子のカテゴリーに入る大蛇克美の想い人が冬美なのは公然の秘密というもので本人以外は気付いていない。そんな中でも告白をした関宏を大蛇克己は苦々しくも認めざるえなかったのだがそれに気付いているのは大蛇の親友だけである。


「ブラコンじゃん」

「ソレな」


 二人は、せめて何か役得がなきゃやってらんねー、という想いであり冬美の兄である詩季に会うことで癒されたいのである。

 そもそも以前の詩季だと冬美が友人を自宅に入れた時点でブチ切れ必至だったため自宅に友人を呼ぶことはしていなかった。そのため二人は詩季とまともに会うこともなく冬美と友人関係を続け、当然冬美の家に興味もあったのである。


「ブラコン、今日ブラコンの家行くからね」

「そうだね。ブラコンのお兄ちゃんこの間の授業参観に笑顔で挨拶してくれたからドキがムネムネしちゃうよ」

「大正時代のギャグ寒。て違う。僕はブラコンでは」


 あだ名がブラコンとは不名誉に過ぎると冬美は一瞬本気で怒ろうとするが飯島恋に遮られる。


「お前な、兄や弟が居る時点で死ねばいいのに、さらにあんなやっさしい兄ちゃん居たらもう涅槃で待てってレベルだぞ?」


 表現が小学生ではないしニュアンスも怪しいが飯島恋はそこそこ本を読む秀才タイプである。


「いやなに、別に変なことをしようってんじゃないよ? 一言二言会話が出来たら私たちも納得するから、ね?」


 リコーダーを刀のように持って冬美の喉にそっと添える青井空。彼女は剣道少女である。ちなみに冬美が剣道を習い事に選ばなかったのは繁華街近く、という条件から外れていたから候補から即座に外れただけである。


「脅迫いくない」

「友情のために投資は必要だと思わないかい?」

「おい、空。友情と口に出す友情が真の友情とは思えない。素直にお願いしろって」

「ブラコンじゃない」


 そこは譲れない冬美。


「解った。冬っち、じゃ出発だ!」

「よし、冬っち、早く行こう!」


 きゃっしゅな奴らだ、と冬美は呆れるが、そんなこんなで詩季が変貌してから初の暦家お宅訪問が開催されるのであった。




下記リンクに御座います SM女王 「陛下。恐縮ですが跪いて足をお舐め」 は本話と同時刻に最終話投稿し完結致しました。

是非お読み頂きたくお願い致します。



【前書きで書いてました特別小企画!】

 次の話が投稿されるまでの間に頂いた感想について、作者が感想を下さった方の指定したキャラに成り切って返信致します!

 キャラのご指定方法は感想の最初にでも『ニャー社長へ』とか『脳筋バスケ女さんへ』とか適当に書いてくれれば大丈夫です。キャラ名そのままでも勿論大丈夫です。宜しくお願い致します!

 うわなんて痛い企画だ!一件も感想来なかったら作者泣いちゃうぜ!?


※10月10日 上記企画終了致しました。有難う御座いました!


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