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幕間 諦めないから試合は終わらない

短いです。2月6日昼12時に次話を更新予定です。


 いつもの休み時間。


 詩季は姉である秋子に『残り少ない詩季君との高校生活! たまには二人っきりでランチをイートさ!』と連行され不在のため、詩季親衛隊の四人は仕方なく女だけで弁当を囲んでいた。


 詩季が居なければ熊田も川原木もあえてその四人と食事を取る流れにはならない。

 別に嫌いあっている訳ではなく、詩季を中心に男女が集まっている、というのが如実に表れているだけである。


「詩季君ふざい~超寂しいんですけど~」

「お姉さん相手じゃしょうがないね」


 嘆く智恵子に絵馬が苦笑。


「あの人を出し抜けるのは……エマッチか……ハリー?」


 肉山がそう評する。


「出来る出来ない以前に敵にして良いことないでしょ」


 冷静な判断の絵馬。


「私は普通だから」


 そして、針生詠美(えいみ)、通称ハリー。


 彼女は身体能力は平凡、学業においては常に学年二十位以内に入るので成績は良い方と言えるが本人にしてみれば『凡人だってそれなりにやればこんくらい普通だよ』程度のもの。本人の言うとおり、智恵子、絵馬、肉山に比べると陰が薄くなりがちである。


「普通にかけては私負けないよ?」

「いやいやいや、そこは意志の問題じゃなく事実として。少なくともかカルト教団持ってないもん」

「カルトじゃないよ!?」

「詩季君に、というよりエマッチに忠誠誓ってんじゃん、奴ら」


 絵馬、エマッチーズと呼ばれる集団の崇拝対象に言われたら、譲りたくても譲れない平凡枠である。


「でもハリーは美人だし」

「目つき悪いと思うんだけど。胸も無いしさぁ」

「ハリーは可愛げも無いね!」

「知能が無い奴に言われると死にたくなるわ」

「私、胸はハリーより有るし!」

「削ぐぞコラ」

「ハリーは肉が足らないんだよ。だからマナイタなんだよ。ほら私の顔をお食べよ」


 己の頬肉を引っ張る肉山愛に苦笑するしかない。


「お前は愛と勇気だけが友達かよ。って、自分を友達カウントするとかとんだサイコだ」

「え? 私たちトモダチじゃない?」

「え? ごめん、もう一回お願い。 肉?」

「あはは、ハリーのツッコミは切れ味抜群だねぇ」

「ミートスライサーとしてうちに就職する?」

「ちょっとは凹めよ」


 ツッコミ役を絵馬に移譲しきれないつきあいの良さが針生らしさである。

 切れ長の目と細面は狐のような印象を与えるが整っている。睨むと迫力が出るが笑うと愛嬌があって可愛い、というのが詩季の評価である。


「……意外と絵馬が一番胸でかいよね」

「いや私が一番でしょ!?」

「いや今、人間の話してるからちょっと黙ってて」

「酷くね!?」

「ハハッ 牛には牛の良さが有る。気にしないで良いと思うぞ」

「牛扱いとか最早いじめだよ!?」

「私は結構おなかも足も気になるからハリーのモデル体型が羨ましいよ」

「エマッチ!? フォローして!?」

「エマッチ太ってないじゃん。智恵子はバランス良いよなぁ。こう、アスリートな健康美って感じで」

「それがさぁ、最近減量しすぎて腹筋割れちゃって。さすがにバキバキじゃ詩季君も引きそうじゃね?」

「フォロー! フォロープリーズ!」


 バンバン机を叩く肉山。本人は傷つくどころか美味しいと思っているのは三人も当然気づいている。


「まぁ、詩季君は守備範囲広そうだからなぁ。牛の乳が揺れてるのたまに盗み見てるじゃん」

「マジで!?」

「え、気付いてなかった? 全身の肉が揺れてるけど、一応肩バラ肉? トモバラ肉? あたりに視線が行ってるよ」


 部位名称で説明する針生。持たざる者としての嫉妬も大いに含まれている。


「気付いてなかった!」

「あ、この後の展開読めたわ」

「私も」

「絶対やるよ、この馬鹿」


 呆れ顔の三人。


「詩季君詩季君!」

「え、あ、え、あ」


 ぴょんぴょんぶるんぶるん


「見て見て! すごく見て!」

「お、おう? Oh,,,」


 そして肉山は戻ってきた詩季の前であからさまにピョンピョン小刻みにジャンプする。

 詩季は詩季で、顎たぷたぷだなぁ、とおもむろに肉山の顎を手でタプタプしだすのだが、肉山は幸せそうだったので周囲は更に呆れるのであった。


「私も揉まれてぇ」


 そして、良く言えばスレンダー、悪く言えば無乳の針生は揉ませることの出来る部位が思いつかず嫉妬するのであった。





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