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猫命名 とらバ

猫の名前募集した結果、ネタになったので早々に更新。御協力感謝です。

大分ネタに走ってるので解らない人は全く解らない回。


 暦家に来た猫。まだ生後数ヶ月程度だが体も成猫と子猫の半ばほどで、離乳食も終わっていたため世話も少なくて済んでいた。


「うーん」

「ナァ」


 愛猫を膝の上に載せた詩季が眉間に皺を寄せうなる。それに合わせて首を傾げる黒猫。


「まぁ、悩むのは解るが、そろそろ決めなきゃな」


 一々詩季に相槌を打つことの多い様子に、つきあいの良い猫だなぁ、と春姫は関心しつつ、そう告げる。


「そうなんだけど、一生物だからねぇ」


 まだ、猫の名前は決まっていなかった。


「我も他の者も名前が決まらぬもんだから呼び方に困ると言えば困るのぅ」


 ちゃっかり家族会議に参加している紋女。勿論、日本酒が入った湯呑みを片手に、である。


「キャット君でどうさ?」

「それ、おい人間、って言ってるのと同じじゃねぇか」


 呆れる夏紀。


「ぺーぱーふぁんぜろ」


 冬美はセンスがないと言いたいのだろうが迂遠どころか原型が怪しい。


「冬ちゃんは何か良い案ない?」

「泥棒猫」

「あのねぇ」

「びっち」

「人前で呼べないのはダメさね」

「もはや虐待レベルじゃないの」


 苦笑いの詩季。冬美が猫に嫉妬しているのは解るが詩季からすると下の子供が産まれると上の子が子供返りしたり嫉妬する、という世の親が時に悩む状況にしか思えない。その分冬美には余計に構うようにしているので大分その嫉妬も収まってきたようだが。


 冬美は冬美で詩季を取り合うような場面でなければ猫に対して


「さぁ、びっち、欲しければ媚びろ」

「ナァッ」

「ふふ、この欲しがりびっちめ……ふふふ」


 と餌で釣って遊んでいるのを目撃しているので虐待などの心配はしていない。わざわざ塩分の心配が無いペット用を用意しているあたり、気に入っているのは明白であった。大分歪んでいるが。


「とりあえず、適当に候補をあげてその中から選んだらどうじゃ?」

「そうだね」

「クロで」

「ミッティ、ちょっと安直過ぎないか?」

「ならブラックキャットでどうさ」

「秋の字よ。お主は絶対に子供産んでも自分で名前付けるでないぞ?」

「その時は旦那様に考えて貰うさね。ね、詩季君?」


 詩季に流し目をするが笑ってスルーされる秋子。いつものことである。


「あはは、それが良さそうだねぇ。お母さんは何かない?」


 ここは名付けという面では実績有る節子。


「タマでどうかしら? 由緒正しき猫の名前で」

「母よ……タマと言ったら白ベースじゃなかろうか」


 海産物一家的な意味合いで否定する春姫。

 

「シンプルで良いと思うけどな。春姉も出せよ」

「にゃー助とかどうだろう」


 どうだろう。

 ペットの名前としては可愛らしく悪くはない筈だ。


 だが、淡々と語っている春姫の案だと考えると、それこそ秋子よりも将来産まれるかもしれない子供の心配をしてしまう面々。


 問題ないはずの名前もどこか不安になってきてしまう。実績を作ってしまうという意味で。


 春姫を傷つけないよう詩季は「女の子だし、助はやめよ?」と告げるがすかさず「では、にゃー子だな」など言いだしそうなので、すぐに紋女に話をふった。


 ここで下手に秋子あたりに聞くと恐らくは這い寄る混沌的な名を言いそうなので敢えて紋女を指名した。にゃるほどと猫なら思ったかもしれないが。


「紋女さんは何かある?」

「ふむ……ソラマメとかどうじゃ?」

「そのそら豆、美味しい?」

「良い塩加減じゃな。流石詩季君じゃ」


 ダメだこりゃ。詩季は肩をすくめる。


「ルナは?」

「うちは月のおしおき代行業じゃないからねぇ」

「あら、ばれちゃった」


 世代的にストライクな節子。おしおきする仕事ではないので仕方ないとそら豆をビールで流す。


「そうだ、詩季二号でどうだ?」

「何が、そうでどうだ」


 間髪入れず長姉にツッコミを入れる夏紀。


「俺と詩季が連れてきたんだから、それにちなむべきだな。夏紀と詩季、つまり夏の季節と言えば海。という訳でウミでどうだ?」

「それより冬季が良い」

「冬ちゃん、おけけが寂しくなりそうだからそれは止めよ?」

詩美(うたみ)で」


 詩季・冬美の合体、詩美(しみ)をさらっと引っぱり出そうとして若干改稿する。


 自己顕示欲と詩季への愛を前面に持ってくるあたり、脳天気な家族よ、と紋女は呆れつつ笑う。


「暦、暦、暦……シーズンでどうさ?」

「どうどうなの?」

「ならカレンダーでどうさ?」


 せめて『レン』とか言えば通ったかもしれないのに、と冬美はすぐ上の姉の人間としてのがっかり度合いにある意味納得する。

 レンなら黒猫としても、一部の意味で合いそうだが、下手に人化で無口系格闘少女になられてもキャラが被る、とあり得ない危機感でもって冬美も提案せず黙っておく。自分を知的で無口キャラだと思っているあたり、自己認識も足らない。


「今真面目な話してるからちょっとお茶飲んでて?」

「おぉう……弟に邪険にされたさ」


 戦力外通告される秋子。


「でも、負けないッ シキスペシャルなんてどうさ?」

「どうどうなのさ?」


 思わずツッコむしかない。


「スルーされない優しさよ。私にネーミングセンスはないみたいなので諦めるさ」


 肩をすくめて宣言する。そもそも秋子は猫の名前にこだわっていないのが解っていたのでそのまま戦線離脱を許す。


「猫の日は二月二十二日。二月は如月(きさらぎ)だから、ラギはどうだ?」


 長姉の調子が超心配になってくる。なぜ『きさ』や『きさら』、『さら』ではなく最後を持ってくるのかと。ペットっぽいと言えばペットっぽいが、あまりに経緯が微妙だ。


「炎とか出しそう」

「グループ攻撃じゃな。いっそのことベラギゴンとかの方が強そうじゃないか?」


 ゲーム脳二人。


「あー……ごめん、なんかしっくり来ない」

「ふむ。らちがあかんな。ちと我も真面目に考えてみよう。黒くろクロくろくろくろくろ」


 湯呑みを置いて腕を組んで考える紋女と見守る暦家面々。


「野良の黒猫で、のーら・くろ」

「それ、著作権まだ切れてないよね」


 大人の事情である。その世代でもないのに引っ張りだしてくる紋女に詩季は呆れる。


「冗談じゃ。くろくろくろ……暦家っぽいのが良さそうだが……」

「もう、面倒だからびっちで」

「冬ちゃん?」

「ちょっと黙ってる」


 自主的戦線離脱。


「そうじゃ。昔、スーパミのゲームでクロノトリッカーという名作があった」


 どこまでもゲーム脳な紋女。


「クロノでどうじゃ? ギリシャ語で『時』を意味する。暦クロノ、語感も悪くなかろ?」

「おお。良いかも」


 詩季の中でもしっくりとくる名前であった。


「メッティ、なかなか。クロノと言えば『とらバ』のキャラに居た。黒の服着てた」


 冬美の言葉で紋女は『とらいあんぐるバード3 ピリカラおもちゃ箱』に出てくるキャラだと思い出す。


 本編原作よりも遙かに有名になったスピンオフ全年齢向けアニメ作品『魔砲少年ピリカラ菜乃葉』ではなく十八禁成年向けゲームの『とらいあんぐるバード』をどうして知っているのか未成年よ、とツッコミを入れたいところだが、無用な波風を立てたいわけでもないので敢えてスルーした。


 まず間違いなく暦家の面々には、出入り自由・ゲーム等勝手にやって良い、となっている紋女の部屋で発掘し、プレイしたのだと察知したからでもある。


 『とらバ4』はいつ出るんじゃろ 資金面の問題なら我が出資するんじゃがなぁ、と益体もなく思考がそれている間に暦家の面々でも『クロノ』が良いと決まった。

 最後のファンディスクから十五年は経った上に近年ではスピンオフが好調でむしろ原作の方が知られていない状況なのに今更リリースされる訳がない。しかしそれでも作品を待ってしまうのはファンの悲しい習性である。


「じゃ、クロノで! 君は今日から暦クロノだ!」

「ナァ」


 まだよく理解していない黒猫、クロノは不思議そうな表情で鳴いた。




 おまけ


紋女「ミッティよ。ほどほどにな?」

冬美「何が?」

紋女「とらバのことじゃ」

冬美「……あ」

紋女「せめてバレないようにプレイするようにの」

冬美「ん。ちなメッティはどのキャラ好き?」

紋女「レンとアキラじゃな」

冬美「この年下スキーめ」

紋女「どうせお主は兄系キャラのフィアッロじゃろ。バレバレで業が深い」

冬美「あの包容力は正義」


 どれか一人くらいはお気に入りキャラが居るもの、というのがこの手のゲームのお約束であった。



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