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【12/1より第二部第五章更新開始】天衣無縫の勝負師は異世界と現実世界を駆け抜ける 〜珈琲とギャルブルをこよなく愛する狂人さんはクラス召喚に巻き込まれてしまったようです〜  作者: 逢魔時 夕
第一部第四章「傲慢で敬虔な異世界人達に捧ぐ王教滅亡曲〜ルーグラン王国聖戦戦争篇〜」

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各世界の重鎮達の紹介中に珈琲を飲んだり、ルーグラン王国の異世界召喚時の対応をディスったり、本当にやりたい放題だな……。珈琲文化のない異世界召喚した際に珈琲でもてなしなさいは流石に無茶が過ぎるんだよ。

『では、引き続き時計回り順でご紹介していきましょう。先ほどのお二人は異世界アムズガルド出身でしたが、お次の方は異世界ハルモニアのご出身です。ということで、続いてご紹介するのは異世界ハルモニアで最大の大陸と呼ばれるパングェーア大陸の中に六つ存在する人間の国の一つ、ルビリウス王国の第一王女エリザヴェート=ルビリウス殿下です。その模範的な淑女としての立ち居振る舞いと美しい容姿からルビリウス王国の白薔薇と呼ばれ、美姫として周辺国にその名を轟かせています』


『過分なるお言葉を頂戴し、ありがとうございます。ルビリウス王国の第一王女エリザヴェート=ルビリウスと申します。本日は父王のマルグヴァルドの名代として参りましたわ。かねてより、パングェーア大陸の七つの国家と大日本皇国はブルーベル商会を通じて貿易をさせて頂いておりましたが、この度、こうしてルビリウス王国の代表としてお呼び頂けたこと、心よりお礼申し上げますわ』


『今回、様々な所属の方にご参加頂いておりますが、本来であればもっと様々な方に来て頂くべきだったと思います。勿論、今回のお話については既に事前に関係各所に国書を送り、了承の書簡を受け取っておりますのでご安心ください。それでは、紹介を続けていきましょう』


 既に異世界アムズガルドと異世界ハルモニアという全く聞き覚えのない異世界の関係者――しかも王族の名前が上がり、理解が追いついていない美雪達だったが、そんな彼ら彼女らを更なる混乱が襲うことになる。


『続いて……この方については既に大日本皇国出身の方々はご存知かもしれませんが、大半の方々はご存知ないと思いますので改めてご紹介致しましょう。虚界に存在する軍事国家ロードガオンより地球侵攻をするべく派遣された独立国家ロードガオン地球担当第一部隊の隊長にして、四大領主の一角であるレーネ家のご令嬢でもあるフィーネリア=レーネ様です』


「おいおいどうなっているんだよ!! ロードガオンは()だろ!! それがなんで、大日本皇国の首相と一緒にいるんだよ!!」


 独立国家であるロードガオンによる侵略活動はニュースでも報道されている。

 街を破壊し、大日本皇国の人々を危険に晒した者達と平然と円卓を囲んでいることに衝撃を受ける者が大半で、中にはその判断に憤りを覚える者もいた。


『……なんだか、様付けで呼ばれるとくすぐったいわね』


『ロードガオンとは長きに亘り敵対関係が続いてきました。しかし、フィーネリアさんを含むほとんどの方達は侵略を望んでいません。ロードガオンは滅亡の危機に瀕しており、星を延命させるか、新たに移住できる星を見つけるか、そのいずれかの目的を叶えようとしていただけなのです。そこで、俺は新たな移住先となる人工惑星を引き渡すことを対価として、ロードガオンとの戦争終結を求めました。フィーネリアさんを含め、現在、ロードガオン地球担当第一部隊の皆様は賛同してくださっていますが、現在ロードガオン本国の意思は確認中のため、今後のことは分かりません。もし、代替え案を出したにも関わらずこれ以上の交戦を望むのであれば、我々にはロードガオンと全面戦争を起こし、ロードガオンを滅ぼす準備があります。もっとも、レーネ家の庇護下にある方々、つまりフィーネリアさんの守りたい方々や戦争する意思がない方々、その他、交渉に応じてくださった皆様の大切な方々の命は守ることを約束しております。このお話はいずれ、今回の調印式の詳細と共に正式な記者会見を行う予定になっておりますので、それまで暫しお待ちください』


「……本当に、私達が異世界にいる間に一体何が起きていたのかしら? 敵対していた侵略者のロードガオンの悪の女幹部が当然のように座っているし、他の異世界の魔王も何故かあの場にいるみたいだし……そもそも、クリフォート魔族王国であの調印式? は行われているみたいだし」


「状況はさっぱり分からないが……非常に嫌な予感がするな」


 果たして、彼らは一体何をするつもりなのか。これを全世界に報道する意図は果たしてどのようなものなのか。

 大日本皇国や他の異世界からやってきた者達の立場は分からないが、少なくともクリフォート魔族王国は人間達に対して敵意を持っている筈だ。


 あれだけの国を敵に回すことになるのかと思うと身の毛がよだつ。

 複数の異世界が絡む戦争――そんなものが起きたとして、果たしてルーグラン王国は、否、この世界は無事で済むだろうか?


『テオドア陛下、申し訳ございませんが、うちの首相の紹介を最後にしてもよろしいでしょうか?』


『確かに、今回の主役は我々ではなく大日本皇国だ。俺の紹介がトリになるよりもそちらの方が自然だな』


『では、お言葉に甘えまして。お次の方は異世界ジェッソのクリフォート魔族王国より四代目魔王テオドア=レーヴァテイン陛下です。これまで不透明だった魔王襲名の手順、通称「頂点への挑戦(サタン・カップ)」のルールを制定すると共に魔王軍四天王や魔王軍幹部に明確な立ち位置を与えた中興の祖であり、シトラス=ライムツリー宰相閣下と二人三脚でクリフォート魔族王国をこの異世界ジェッソで最も幸福で発展した国へと育て上げたお方でもあります。俺もテオドア陛下との謁見の機会を得るために「頂点への挑戦(サタン・カップ)」に挑戦して剣を交えさせて頂きましたが、それ以前に手合わせした初代魔王陛下よりも個人的には強かったように感じています。今まで様々な異世界で魔王と呼ばれる存在を見てきましたが、その中でも上の中くらいに位置する実力者ですね』


『……その割には絶望的なほどの力量差で押し切られたけどね。それに、「頂点への挑戦(サタン・カップ)」の開催中はニート……じゃなかった魔王軍四天王二人目のアルルーナと抱き合って「怖いよぉ!」って威厳もへったくれもなく喚いていたんだから、褒められても反応に困るんだよね』


『私は【悪魔の橋ディアボルス・ポーンズ】で対人間族魔国防衛部隊の代わりに防衛戦をしていたから会場にはいなかったけど、本当に気の毒だと思っていたわ。……無縫君との戦いなんて絶対に避けなければならないものなのよ。私達だって気に入られたから見逃されていたって面もあるでしょうし、本気なら今頃消し炭にされていたわ。……それに、私達の技術もあっという間に研究されて解明されちゃうし、改良までされちゃうし、私達は侵略する星を間違えたかもしれないわね。正直、異世界ジェッソを侵略していた方がまだマシだったと思うわ』


『そういうのはやめてもらいたいけどね。敵意の一つも向けず侵攻もしていないのに、躊躇なく攻撃を仕掛けて魔族の領土を奪い、罪のない人々の命を刈り取ろうとする悍ましい人間達から無辜の民達を守るだけで精一杯だってのに』


『私達は異世界に行く方法を持っていないからありえない仮定だけどね。私達が移動できるのは虚界だけだから。……まあ、地球に時空の門穴ウルトラ・ワープゲートが出現していて、運悪く転移してしまったらその先の世界の侵略を検討するかもしれないけど、私は無縫君や内務省みたいに時空に干渉する技術を持っていないし、侵略以前に元の世界に戻ることすら難しいと思うわ』


『そもそも、空間魔法自体が神話級の魔法じゃからな。異世界召喚なんてものは基本的に一方通行なのじゃ。……異世界アムズガルドから帰還できたこと自体が奇跡みたいなもの。偶然、時空の門穴ウルトラ・ワープゲートが出現して、それを魔法で解析するということにならなければ今の利便性は得られなかったじゃろう』


『そのせいで借金製造機共の活動範囲が広がって大日本皇国だけに留まらず、天空カジノや異世界のカジノにまで行くようになったものだから雪だるま式に借金が膨れ上がっているんだけどな。毎回、火消しに追われる俺の身にもなってみろよ。非合法なカジノとかなら奴隷行きとか、臓器売買とか、最悪の結末を迎えるぞ。まあ、そうなったらなったで暴れ回って被害出しそうな感じだけどなぁ。お前ら無駄に強いし』


『えへへ、褒めないでよ!!』


『褒めてねぇよ。そのおかげで弁償費用も加算されているんだからな』


『それを加味しても余りある額をぶん取っているだから問題ないじゃろう? カジノにとっては疫病神、無縫のせいで出禁を食らったカジノも多くて最近は行ける場所も限られてきたのじゃ。新地開拓しようと思った矢先、無法都市でも出禁を食らった』


『まあ、ヴィオレット、お前の言う通り俺が出禁を食らったお店は大抵お前達も出禁を食らっているからなぁ。じゃないと、俺にギャンブルをさせる大義名分を与えてしまうし……っと、話が脱線し過ぎた。戻しますね……なんで今日こんなに脱線するのかな?』


『ストレスが溜まっていたからじゃろう? 主にクラスメイトとかルーグラン王国の愚かな異世界人共とか白花神聖教会などという邪教徒のせいでな』


『あー、それは多分あると思う。珍しく冴えているなぁ、ヴィオレット』


『珍しくは余計じゃ!!』


『それもあると思うけど、単純にカフェインが切れてきたんじゃない?』


『俺はカフェインが切れてきたらイライラし始める典型的なカフェイン中毒者じゃないからな? まあ、そろそろ珈琲を飲みたいなぁ、と思うけど。流石に重要な調印式で珈琲を飲むような礼儀知らずじゃないよ』


『俺は別に構わないと思うけどな。どうせならアイリッシュコーヒーでも飲むか? 一応、アイリッシュウィスキーの材料は持ち歩いているぜ』


『……まあ、流石に一応未成年なので』


『もう既に色々と手遅れな気がするのじゃが』


『失礼致します』


 タイミングを見計らったように侍女服を纏った兎人族の女性が姿を見せる。

 その手には人数分のカップが載ったお盆があった。


『あー、もしかしてシトラス宰相閣下からですか?』


『はい、そろそろお飲み物も無くなっている頃合いだと思いまして。こちらは宰相閣下から無縫様にお渡しするように、と』


『やっぱりシトラスさんは気遣いができるお方だよねぇ。ルーグラン王国なんて召喚した客人に珈琲の一つも出さずに、挙句珈琲はセルフでと言わんばかりに珈琲師押し付けてさぁ。その上で無能とか蔑まれて散々だったよ。まあ、天職そのものは割と当たりだったけどね。好きな種類の珈琲を創造できる力は最高だよ。うーん、やっぱり最高な味わいだね! 俺は苦めの珈琲の方が好きだけど、このまろやかな味わいもこれはこれで好きだ。……さて、いよいよ最後は我らが大日本皇国の首相を紹介しましょう』

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