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三百六十六話


「うおう! 殺意高くて容赦ねえな!」


 健人もレベルと経験による見切りで対処しつつ、俺たちの周囲を取り囲もうとする操られた冒険者たちへと槍で攻撃を弾いて突き飛ばしているようだった。


「いくぞー!」


 ギュウウ! っとムーイが強く剣を握って流れるようにアポ・メーカネース・テオスの体に竜騎兵用の剣で叩きつける。

 それだけでドスン! っと良い感じに地響きが発生した。

 相当力を込めて当てたな。

 良い感じに火花が散っている。


「おーユキカズが寄生してるとやっぱりこういう奴らが柔らかく感じるぞー」


 まあ、どうも対アポ・メーカネース・テオスのスキルがあるみたいだからな。

 機械仕掛けの神を討つ者と言うのは間違いなくアポ・メーカネース・テオスに対して非常に大きなダメージを与える事が出来る能力と見て良いだろう。


「ぐ……おのれ、だがまだまだ! お前たち! 行け!」


 で、操って居る異世界の戦士の武器を持たせた冒険者が俺とムーイに狙いを定めて飛び掛かって来る。


「おっと、足元がお留守だぜ?」


 健人はそこで槍で足払いを仕掛けて冒険者を二名転ばせた。


「転ばせることは出来たけど、いってー……」


 ただ、健人の方にもダメージが行ったのか、痛そうに手を振っている。


「やっぱナンバースキル相当の力が出てる奴にはそう何度も効く手じゃねえな。あのDJと同じくらいには技術ありそうだしよー、精々二人が精いっぱいだぜ」


 ラルオンがここに居ないからってその呼び方はどうなんだ?


「おー! ユキカズー」

「はいはい」

「捉えた! はああああ!」


 って何やら勝機を見たのかアポ・メーカネース・テオスが魔導兵から高出力のエネルギーソードで俺とムーイを縦に、冒険者が回避を妨害するように突進交じりにフルムーンスラッシュを横に放ってきた。


「クラエ!」


 なのでムーイと俺は屈んで横からの攻撃を避け――アポ・メーカネース・テオスの放った一撃に物の見事真っ二つにされてしまった。


「うわ――」

「フフフ……お粗末な回避だな。その程度で私の前に立ちはだかっていたとは」

「ガハ――」


 で、味方であるはずの操っているラルオンの仲間らしき冒険者が吹き飛んで行く。

 何ていうか味方とすら思ってない、使い捨ての駒なんだろう。

 非常に不愉快な奴だ。


「と、思ったかー?」

「残念、これくらいはよくやってるんでね」


 と、左右に裂けたムーイは各々分離、片方はムーイ本体、もう片方は俺が寄生した分身体ムーイを操作して、ムーイはアポ・メーカネース・テオスに、俺は健人に攻撃する冒険者の方へと腕を刃に変えて切りつけた。


「ぐ……おのれ!」

「急所に当てなきゃ話にならないぜ? 味方を巻き込んでこれとはお笑いだ」


 避けられないなと思った所でムーイが高速思考で俺に伝えて来てね。

 咄嗟に左右に分かれておいたのさ。

 いやームーイの体はスライムみたいなもんだからね。俺も端によって避けれたもんだ。

 ブチっとちぎれての戦闘継続……人間技じゃないとはこの事だ。

 とはいえ、この方法は中々に博打で、ムーイの体の中にある加工済みの力の源をしっかりと移動させるのが難しい。

 先の戦闘で相当数を確保しててこの力の源がムーイやエミールの戦闘力に結びついている。

 一部は俺に渡されているのだけどそれでも量が多い。

 そこに当たると洒落にならない。

 特にムーイ本体に位置する力の源には絶対に当てる訳には行かないし、俺も当たったら痛いじゃすまない一撃だった。


「ユキカズ!」

「おう!」


 ブンっと! アポ・メーカネース・テオスへと振りかぶって避けさせた竜騎兵用の剣をムーイは流れざまに俺の方と戦っている操られた冒険者へと投げ当てる。


「ぐああ!? ま、マダマダァアア! ギギ!」


 っと操られた冒険者が異世界の戦士の力で胴体切断は免れたけれど大きく吹き飛び悶絶しながら起き上がった所で俺が大きく魔眼を展開して狙いを定める。

 そう、ムーイの一撃で異世界の戦士の力が大きく揺らぐほどのダメージが入っている。

 そして……ドン! っと魔法弾を放ち命中させる。


「ウグウアアアア! ギギギーー!?」


 俺の放った魔法弾がムーイがのけ反らせ、異世界の戦士の力の揺らぎに深々を楔を与える。

 戦闘中、スキルを放っている異世界の戦士の力に今まで俺は吸収することが出来なかった。

 けれど今の俺は戦闘中であろうと揺らぎが発生することで強引に外付けの力を引きはがす事が出来るようになっている。

 もしかしたら機械の部分が自爆シークエンスに入ってしまうリスクはあるけれど……助けたいけど躊躇していられない。


「何度も一方的にやられて、どうにかしたいと思ったからか、こういう風に……戦闘中に因子を奪い取ることだってできるようになってんだ」


 ラルオンの時は下手に自爆されたらどうしようって警戒してて使えなかった方法、それが……魔眼展開による因子吸収と言う技だ。

 バキン! っと完全に異世界の戦士を内包した操られた冒険者の機械の部分から分離されるのを目視する。


「おらよっと!」


 そこから強引に異世界の戦士の力を魔眼で引きずり出して吸収する事が出来た。


 第15神獣の力。


 と言う表示が見て取れ、ボン! っと異世界の戦士の力を奪われた冒険者の……機械の部分から煙が放たれて自爆モードに入る。


「く……!」


 素早く駆け込み、高速ハッキングと電脳爆弾を機械部分に施し、爆弾の無力化を行い。魔眼の結界で包んで蹴り飛ばして戦場から離脱させる。

 高い所から落ちても死なない様にと祈ってね。

 もしかしたらあれで生き残れるかもしれない……それくらいの淡い希望を抱いて一人戦闘不能で外へと追い出した。

 で、流れるようにムーイの方へ竜騎兵用の剣を投げ渡し、ムーイがアポ・メーカネース・テオスへと切りかかりつつ、蹴り飛ばした。

 一人巻き添え、一人は戦闘不能、残り一人をそのまま健人がけん制している。


「ヒュー! やるじゃねえか。こっちの連中も抑え込んでくれね? やー本当、ムーイと息があった連携してんなー羨ましい限り、だぜ?」


 健人も負けじと俺やムーイと連携して敵の攻撃を避けて足を引っかけてムーイの大ぶりな攻撃に突き飛ばして当てようと試みる。

 ステータスは劣っても、嫌らしい動きってのを健人は出来るもんだ。

 アレだ。いい女、レルティさんとかリイとかと連携して戦っていたんだろうってのが動きだけで見受けられる。

 ルセトさんとかもこの辺り上手だったもんなぁ。


「出来たらな。おかわりとか来そうだからササッと本気で行かねえと」

「もちろん! あんまり調子に乗ってんじゃないぞ! オラァアアア!」


 っとガラの悪い雄たけびを上げてから俺はアポ・メーカネース・テオスに向かって殴りかかり、流れるように蹴りと同時に論理爆弾を内部に仕込んだ。

 アポ・メーカネース・テオスは俺の蹴りを食らった直後にドゴン! っと派手に体を爆発させつつスパークさせる。

 魔導機械な部分はかなりガタガタになったのか分離して浮かぶ機械の目玉みたいな形相になったな。

 第一形態撃破って形だ。

 次のボディなりなんなりが来る前にコアを畳みかけて仕留めたいところだけど、あれが本体とは限らない反応が周囲にちらほらあるのでハッキングが出来るように周囲の通信を傍受するために耳を広げる。


「ギギギ……おのれ。ふん……こいつらがどうなっても良いか? 邪神の使徒共」

「悪いが出来たら程度、本気で人質にされたら容赦はするつもりはない。そもそも、俺はお前の頭脳に対して爆弾を仕掛けられるくらいはわかるんじゃないか?」


 とは言いつつ、嫌な汗が流れる。

 本当は嫌なんだけどね。ラルオンに念押しされてるんだ。

 ラルオンに仕掛けられていた機械をハッキングでぶっ壊して助ける事が出来る。


「あまり増援を増やしたらこっちの味方に引き込めるかもしれねえなー」


 それはアポ・メーカネース・テオスに対しても厄介なジャミング攻撃を所持しているくらいはこの短いやり取りで解析されるだろう。


「むしろそんな脅しをしてる暇があったら仕留めてやるぜ?」


 と、言いつつムーイ本体と再度寄生……ムーイ同士で合体してやるぞ?

 あまり隙は見せない方が身のためだ。


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