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三百六十五話


「なんだよ。なんか違うとでも?」

「滅ぼされそうな世界で神獣を相手に勝利しようと計算していた所には同情をするけどその態度はどうなんだ? まあ哀れだとは思うぜ? 場合よっては協力できたかもしれねえが手段が悪すぎだな」


 そこだよな。

 原因はしっかりとわかってるしちゃんと理由を言って協力を申し込めば本当に倒すべき存在だと人々を、俺たちだって誘導出来ただろうに。

 それを異世界の戦士の力として利用するわ、人や生き物の命をどこまでも利用して聖獣たちすらその手に掛けて……目的の為に手段を択ばないと言えばはっきりしているように見えるが身勝手な行いが過ぎるようにしか感じられない。

 その所為で俺たちと敵対してここまで追い詰められたんだし。


「導き出される結論は一つだと言っただろう? あのような脅威を前に、どうして自業自得で滅ぼされていく人間共を英知にして至高の存在である私が解決してやらねばいけないのだ? 人類が自ら招いた破滅だ。その中で私の意識は覚醒したに過ぎない」


 ……うーん?


「大きな視野で物を見なければならない。人類も神も神獣も、身の程を理解せずに存在する限り世界に平穏は訪れない。すべてを抹殺し破壊しつくしてからでなければ創造はあり得ない! 私は世界であり、私こそが世界の意志なのだ!」


 ……???

 こいつが何を言っているのか理解できない。


「悪い、ムーイ、健人、こいつが何を言ってるのかわかるか?」


 ヴァイリオー……ローティガー……ペリングリでも良いから教えてくれなーい?

 この訳の分からない人外の存在が迷宮種とかそういった連中よりもわからないんだけど?

 支離滅裂でさ。

 いや、訳の分からない人とか日本に居た頃は元より兵士をしていた頃にも出会った事があったけどね。

 謎のマイルールで生きてるのとかいるからさ。

 その中でも飛び切り、訳がわからない。


「ムーイもよくわかんない。みんな違ってみんな良いし仲良く出来るなら仲良くしていた方が楽しいぞー? 強いなら、優秀ならみんなを守りたいと思うんじゃないかー?」


 うん。ムーイの返事は俺も好きだぞ。可愛い考えだしこういった考えを守るために俺は戦ってきた。


『異界の文明に関して私たちは測りかねる。元々他種族を見守り試練として挑まれる存在故に聞かれても困るのだが……』

『選民思想の成れの果てと言う奴では無いか? 君の世界でいう所の人類以外は存在を許さないという』

『等しく身の丈を理解していない、自身で放った言葉をその身に跳ね返っているとはこの事では? 神獣様が創造されたのはこの手の存在の駆逐だったと聞いた事があるぞ』


 何か根本的に勘違いをしたまま暴走しているようにしか感じられないって意見は間違いない。


「人間に駒のように利用されて破壊されていく機械とかになんか思いを募らせて反骨精神が芽生えたとか?」


 機械が人類の奴隷として搾取されているとか……でさ。


「なぜ私が自由意志の無い魔導機械共のように人間共に利用されなければいけないのか、あのように知能の劣る連中等の為に幾兆もの思考をしなくてはいけないのか!」


 なんかブチ切れてるように見えるけど……要はここの神様と同じく人間嫌いを拗らせた魔導機械って事でOKなのか?

 同族さえも蔑んでいるようだし……。

 これは……うん。バルトに聞いたらその辺り整理して説明してくれるかな?

 ピコっと俺の解析が目の前の相手の鑑定をある程度進めて……自惚れた愚か者と表示してくる。

 俺の主観なのか? それとも誰かが見極めたって事なのか……。


「私の自我が覚醒したのは世界にとって大いなる機会なのだ。世界で唯一絶対存在である私が全てを統治する。純粋なる管理知性……そんな私に歯向かうというのか? 今からでも私に付き従うのならば私の駒として最後まで有効活用してやろう」


 ここまで悠長に自分に酔っているAIってもはやなんていうのかな……。


「さあ、ここまで説明して尚、私を破壊しようというのか?」


 ……頼んでる立場じゃないな。

 もっと穏便に来いよ……あれだけ暗躍して、ここまで追い詰められて尚、上から目線と言うのはどうなんだろう。

 少しばかりこの世界の神に同情するよ。

 こんな奴が自分の世界に居るなんてさ……神獣を作り出して滅ぼそうとするのもわかってしまう。

 非常に不服なんだけどね。

 俺は……うん、守りたい人たちが居るんだ。

 頑張った、良い事をしたらその分、報われて欲しい。そこに人も魔物も聖獣も迷宮種も神だって垣根は無い。

 そんな良い人たちを不幸にする身勝手な奴が居るのならば喜んでその身で盾になろう。

 良い人が報われるための礎となりたい。


「客観性の欠落、他者への思いやりの欠如、奉仕精神の無さ……お前の所為で失われたり苦しんだりした命の事を考えると悲しくなる」

「アレだ。根本的に身の程が分からなくなってしまったポンコツAIって事で良いんじゃね? どこぞのSF小説に居そうな機械こそが最上位存在で人類は奴隷とか抜かしてる奴」


 はぁ……と健人が大きく、そして深いため息を漏らす。


「誰もお前に言わなかったんだろうから指摘してやる。お前のその行動は知性じゃなく、蔑んでいる人間共と同じ欲望だよ。俺が神になるんだってここの神に喧嘩を売って成り代わろうとしているだけだ」


 完全に同意だ。

 こんな奴の所為で俺はこんな姿に成れはててしまったとも言える。

 ある意味……これは復讐とかの機会って事なのかな。

 なんか非常に虚しい。

 こんな事を望む奴なんて藤平みたいな奴だろ。心根が腐ってやがる。

 うん……俺は復讐と思わない。敢えて言うなら……クラスのみんなの無念を晴らすためと思う事にしたい。

 だってみんな、この世界の人たちが助けて欲しい、協力してほしいと言われたから協力したんだ。

 この想いは善意であるのは揺らがない。

 尚、藤平は除外とする。

 アイツは散々周囲に怪しいからやめろと注意されたのにやりたいようにやって異形化したんだしね。

 ……俺もやりたいようにしてるけどさ。

 あんまり藤平を馬鹿には出来ないか。

 フィリンとブル辺りには帰ったらぶん殴られそうだからなぁ……。

 あの時、死ぬと思ったからワガママ言っちゃっただけだし。

 そう思うと帰るのが怖い。


「ここまでやらかしてこんなチンケな奴が出て来るとか興ざめも良い所だ」

「んー……あのなー? 力ですべてを解決しようと思っても本当に欲しいものなんて手に入らないんだぞー? ムーイ、ユキカズに教わってその意味を教えてもらった。お前も教えて貰うと良いと思うぞー」


 ムーイの返事は実に良いと思う。

 だってこいつは神に成り代わると言ったのだ。更に自分以外は利用する存在と認識してな。


「壊すかそうじゃないかと言ったら……ぶち壊す! お前の所為でどんだけ被害が遭ったと思ってんだ!」


 話し合いとか不可能なポンコツ機械には早々に退場して貰うのが世界の為だろ。


「お前の言葉でいうならお前を破壊するのが世界の為だ。早々に滅びろ!」

「ふん、所詮はお前らも世界をダメにするダニのようなものか。邪神に汚染された使徒共……ここで何が真理かを知って消滅するがいい!」


 バチバチバチ! っとアポ・メーカネース・テオスの体から黒い雷と煙が立ち込めて地面に穴が三個ほど開いて、そこからラルオンのような冒険者……頭に機械が植え付けられている者たちが現れる。


「……」

「……ジャシンの配下ドモにシヲ!」

「ハァアアアアア!」


 ご丁寧に、異世界の戦士の武器を手に持ってさ。


「おうおう。予想通りのあのおちゃらけ冒険者様のお仲間っぽい奴らが改造されて現れやがったぜ? 神獣様とムーイ、あまり躊躇するんじゃねえぞ」

「うー……」

「やり辛いなぁ……」


 覚悟はしていたけれどな。


「では行くぞ! 愚かな邪神の僕共!」


 アポ・メーカネース・テオスが魔導兵の体でバチバチとエネルギーを迸らせて、異世界の戦士由来の力で大きく薙ぎ払ってくる。

 サッと、ムーイに未来視で攻撃の軌道を見せておいたお陰で紙一重で避けてくれる。

 やー本当、戦闘の天才だからか息をするように容易く動いてくれる。

 こっちは反撃の為のエネルギーチャージで行くとしますか。

 魔眼で色々と状態異常に出来ないか展開して放ってみたけどバチっと容易く弾かれてしまった。

 耐性面はしっかりとしてるか。

 どこぞの貴族みたいに調子に乗って簡単に掛かってくれたらよかったんだけどなぁ。


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