三百四十九話
「階層を跨いで徘徊する……あっちの異世界でもそう言った魔物が居たって事なのか」
肯定……特異個体として観測されています。
高度な知能を保持している個体であり、意思疎通及び協力者として共に活動していると判断。
「まあ、ムーイに始まりエミールも……頭は良いもんな」
二人とも人と差異の無い程、頭が良い。
観測情報からの照らし合わせによると魔王個体でもある可能性……71%
「ん? 魔王個体? それって、確か……これまでの情報から考えて過去にこの世界の神が、俺たちが居た世界で暴れさせた神獣じゃないのか?」
あの俺が臨界を迎えて仕留めたローブの奴が語っていた事やこの世界に来て知った話なんかを纏めて出てくる話だろ?
健人もなんか戦った理由を説明していた覚えがあるぞ。
そういえば……オークって神獣に居るっぽい。藤平を選んだのがそいつなんじゃないかと睨んでいる。
世界を壊滅にまで導いた人類の脅威個体を魔王と私を創造した人々は定義していました、であると同時に迷宮から現れ人類に甚大なダメージを与えた魔物を魔王としています。
前者も後者も魔王と言うカテゴリーで判断されています。
「神獣も魔王で迷宮種も魔王……? ああ、人類に敵対する存在の頭はすべてそこにカテゴリーしているという事か。となると今回の、異世界の戦士の力を使って世界を滅茶苦茶にした奴の黒幕も魔王って事になるのか」
肯定。脅威度からして魔王とカテゴリーし殲滅対象とされるでしょう。
便利と言うか何かあるとすべて魔王って扱いっぽい?
異世界だから何だろうけど悪いのは全部魔王って事なのかな?
より明確化する際の名称として神獣と迷宮種で分けるのが良いと判断。
「そういや俺が最初に召喚された際は魔物の侵略を受けているって話だったっけ、神獣の勢力が関わっている訳じゃないとするなら……」
レラリア国に侵略していた勢力は迷宮に巣食う魔物と言うデータあり、可能性としてあり得るのは神獣の関係する者……47% 迷宮種……33% その他20% と思われる。関係すると定義しても神獣と直接関りがあるかは別と区分できます。
「神獣自体は関わっていないとしても?」
オーク種の侵攻は神獣に連なる、関係者とは独立した勢力と化し侵略に来たとの情報があるため、直属でなくても眷属が活動しているのは十分に可能性あり。
うーむ……バルトは多角的な思考を常にしてるんだなぁ。
分離したコアのバルトも文字での会話となるとこんな感じだったもんな。
日常だと何かあると俺に噛みついて来たし、動物っぽい感じだったけど……。
しかし……うーむ。
ブルってオークだろ? で、親が異世界の戦士という事は神獣の加護を受けた父親の子供な訳で……そうなると神獣の遠い先祖と言うか影響を受けたサラブレッドって事になるんだな。
そりゃあ組み合わせとしては十分なのかもしれない。
ああ……ブルに逢いたいなぁ。
……マスターがあのオークに関して思考している可能性、89%
と言う表示と共にバルトと最初に会った時、俺がブルを庇った時の映像を表示しやがった。
いや、懐かしいな!
と言うか俺の考えを見抜くなよ。わかりやすいのか?
それとも寄生を作動させて思考を読まれたか?
『纏う空気で察したんだと思うぞ』
『ほう……オークか』
『小柄な品種であるな』
『ちなみにオーク似と言うよりオーク似の迷宮種もいるぞ』
『あれは、おそらくオークの迷宮種なのではないか? ここで得られた情報からすると』
聖獣たちが俺の思考を聞きながら、聞き捨てならないことを言ってきた。
そんな迷宮種も居るのか。
と言うか迷宮種って階層主なのか?
『迷宮種の生まれに関してより詳しい事はあずかり知らない』
『あまり話せる話題ではないが、神様にとって重要な存在であるのは間違いは無い』
ふむ……聖獣側は明確に答えてはいけないっぽい。
とはいえ……オークが階層主をしていたら迷宮種とも言えるか。
ボスに居ても不思議じゃない。オークジェネラルとかもある意味それだろうとは思う。
まあ、オークジェネラルとかは迷宮の外に出歩いていたけどさ。
ただ……少なくとも迷宮種って感じでは無かった。
この違いは何なんだろう?
「それでバルト、俺を乗せて知りたい事の整理は済んだか? まあボディ側だからコアの方とのやり取りは一部しか把握してないそうだが」
ある程度の推測は行いました。fusionモードのdivine beasts因子をユキカズ=トツカから更なる新種の因子として把握。
これまでの情報からユキカズ=トツカは新たなdivine beastsと化したと判断。
「ああ、そうだな。その辺りは既に説明した事だ。バルトからしたら製造目的としては敵となってしまった形になるのか?」
divine beastsの討伐の為に搭乗者にdivine beasts因子を移植した研究がされていました。
であると同時に竜騎兵と定義する兵器群は元々divine beastsを元に作成された計画データが存在します。
敵と定義する事は可能ではありますが現状では保留。
より脅威となる勢力の存在を認識。
「まあ、俺が異世界に来ることになるすべての元凶が居る訳だし、バルトやラルオンを操って居た奴らがいるもんな」
俺は迷宮種や聖獣たちを操って居た奴らの残骸をハッキングした情報をそっとバルトに送る。
こういう時に寄生能力って便利だな。
明確にハッキングデータを渡せる。
世界救済センター神話討伐プログラム、ラグナロク
世界救済センター・邪神討伐プログラム・アポ・メーカネース・テオス
って言うロゴだ。
「これが黒幕の勢力みたいだぞ」
収集データ内で前者に該当データあり。
「お? 何か知ってるのか?」
世界救済センター神話討伐プログラム、ラグナロク
バイオモンスター計画に近い、神獣とその創造者を討滅するのをコンセプトに計画されたとのデータ有。
「まあ、名前からしてそうだよな。ラグナロクって俺の世界でも割と有名な神話の話だし」
神々の黄昏、神代の時代の終焉って意味で有名な話だ。
その名を冠するプログラムなら間違いなく神殺しが目的だろう。
まあ……この世界に居るらしいし、目的は神を殺すために聖獣たちをあんな目に遭わせたのは間違いない訳で。
「神殺しが目的なのかねー……バルトみたいに古いプログラムが虎視眈々と滅ぼされたから復讐しようとしてるとかさ」
どうも神獣によって文明が後退したんじゃないかと思われるんだ。
あっちの異世界。古代文明の遺産的な勢力かな? ってね。
さすがにこれだけ争っていたら察することくらい出来るだろう。
迷宮内の暴走した魔道兵などから得られるサルベージデータ内の危険ウィルスデータにも該当データを確認。
人類と敵対組織と判断。
当、機体とはコンセプトやデータ構造の違いから書き換えには限界があるため、完全な制御下から逃れる事が可能。
「竜騎兵とは構造が異なるからバルトも支配から逃れられたと」
肯定。データの正常化のキーとしてマスターの登録情報を参照しました。
「なんか規格違いって竜騎兵と魔道兵の違い的な感じに聞こえる」
互換性は一部ありますがシステムは別系統です。認識に違いはありません。
お? 俺の認識に間違いは無いって事ね。
現状得られたデータでは決定的な判断材料が足りないと判断致します。
「ま、神ってのは時々空耳で声が聞こえては居たんだけどさ、この辺りは神って奴に直接会った時にでも聞くかね。最近はだんまりで答えてくれないんでね」
了解。
継続してマスターの指示を仰ぎます。
「そんで話は戻るけどムーイ達、迷宮種に関してバルト、知っている情報とか無いか? 例えばなんで迷宮種は迷宮の名前を冠するのかとか」
命令確認……検索。
推測が含まれますが情報を閲覧致しますでしょうか?
「ああ、バルト也の推測を教えてくれ」
命令了解……迷宮種の名前に関しての推測……。
該当迷宮の階層主個体に何かしらの変異が発生しその後、該当個体に迷宮名が付与されたのではないかと推測。
「つまり……その迷宮のボスをしていた個体だからって事か?」
肯定。
ただし、当機体の推測なので正確なデータにはあらず。
いや……それなら可能性としては十分あり得るんじゃないか?
だってこれまで遭遇した迷宮種の名前を考えると……。





