二百七十七話
「んで、気になってる特殊進化ってのはなんだよ?」
「レッサーグレムリン」
◆レッサーグレムリン
機械に乗り移っていたずらする魔物。
対象の認識を誤認させる力を持つ。
進化条件 Lv30 スライムデビルコア、またはジャックパラボナからの派生進化。もしくはこの二種のどちらかの解析。
「生憎進化条件は満たしてないけど出てきたからわかった」
「レッサーってのは無視してグレムリンが気になるのか? 確かグレムリンって魔導兵に乗り移って悪さする魔導兵の天敵だぜ」
「そんな魔物も居るんだな」
「ああ、生憎この世界に魔導兵はいねえから心配しなくて良い。むしろいらねえんじゃねえか?」
「そこはこれが気になってな」
と、俺はデリルインと戦った際に逃げようとした異世界の戦士の力を内包した何かを取り込んだ際に残された基盤を取り出して見せる。
「機械に乗り移る……機械操作が得意な魔物に進化出来りゃ、これが一体何なのかとか解析出来るかもしれないだろ」
「なるほど、妙な奴の手だてを調べるって方法か」
「スライムデビルコアとジャックパラボナを解析出来ればすぐに進化出来るんだが健人知らないか?」
少なくともこの辺りに生息してる魔物では無い。
何処にいるのか分かれば解析で一発だ。
「スライムデビルって魔物はスライム系の一種で見た覚えあるな。ここから遠いダンジョンに居た。ジャックパラボナってパラボナラビット系の一種だろうがこっちは知らねえな。そもそも魔物名を知らずに戦う事もあるしよ」
「そう言えば健人や他のみんなは鑑定スキルとか使わないと魔物名が分からないんだったか」
俺の場合は当たり前の様に魔物名が分かるから忘れがちだけどみんなは任意で調べないと分からない。
結構この差は大きいみたいなんだ。
「ケントの言うとおりっきゅ。ジャックパラボナ、パラボナラビットの希少種、パラボナラビットが大量発生した際に群れに混じっている可能性があるそうっきゅ」
ラウがここでまたも謎の玉を持ってぼんやりした後に答えた。
パラボナラビットの居場所は知ってるけどあそこで見つけるのか? 結構どこにでもいるから何処かで探せば居そう。
「じゃあとりあえずスライムデビルが何処にいるか教えて貰うか。飛んで行けばすぐに解析出来るはず」
「とは言ってもよ。大型スライムでそこまで強くはねえから見に行かなくても出てくるんじゃねえの?」
「ふむ……キラーヒュージブロブよりも弱いか?」
「時々湧く賞金首クラスの魔物名だがそこまでじゃねえな」
そもそもの話としてスライムコアもハイスライムコアも強くは無いよな。
むしろ必要進化Lv高く無いか? って次元。
コアのあるスライムは強いとか何かしらの法則がありそう。
コアの部分を抜いた場合は雑魚魔物な訳で。
キラーブロブコアとかもいずれ出てくるかもしれないと思うと進化先多すぎないか? になる。
今も多いんだけどさ。
俺の赴任先には生憎居なかったけどスライムもジェリーより強いかなくらい。
俺の初戦闘は実質エレキジェリーとスリープラビット……懐かしいな。
「まあ、ムーイの祝福があるから少し様子見で進化して確認するか。ハイスライムコアに進化っと」
ぐぐっと進化した訳だけど今回はそこまで変化は無い。
ハイスライムコア Lv1
固有能力 スライム寄生 宿主経験値&Lv強奪 魔力吸引 生命力吸収 粘液干渉 感覚・思考制御 増殖促進 強酸 酸性強化 火弱点軽減(小)
Lv15になった時 液体疑似操作 甲殻形成
って事でダンジョンで宝探しをしながら魔物を倒したらやはりあっさりと次の進化Lvに到達してしまった。
早いなー。
ターミナルポイントでチェックしないと進化可能になったか一目で分からないのが難点だ。
常時自分のステータスが分かれば良いのに……。
「あ……スライムデビルコア」
ハイスライムコアの上位派生進化にあっさりと出てきた。
ちなみにハイスライムが習得したスキル、液体疑似操作ってのは水をスライムみたいに操るスキルだ。
ただ、単純に水を操って見たけどかなり重たくて動かしづらかった。対象を溺死させるとか出来るかと思ったけど上手く行かずに水で包んでいたけど抵抗されるとすぐに弾けて霧散する。
たぶん、寄生するスライムが無い場合の非常手段だろう。
ちなみに甲殻形成ってのはコアの外側に殻を作るパッシブスキルだったみたいだけどラビュリントスイーターの部分がすでにあるので死にスキルだった。
次に習得したのは液状内移動速度アップ。スライムの体の中を早く移動しますってスキルらしい。
生憎とムーイの体の中を動き回るほどの余裕は無い。
ムーイを大きくすれば使えるかも知れないけど必要性は無い。
コツコツと育てて上位魔物になってやる。ムーイの体を最大限使いこなすのに相性が良いからさ。
ただ、スライムなんじゃなくてコアって所がスライム系への進化とは違うって事なんだろう。
「もうあったのかよ」
渡りに船とはこのことか、些か早すぎないかとも思うけどこのLvアップならあっても不思議じゃ無いのか。
しかし……俺って雑多に進化を繰り返して種類を増やしてたけど、パラサイト系とゲイザーしか強い魔物のバリエーション持ってなかったんだと見せつけられる。
とは言ってもこれって進化しようとするとすぐに壁にぶつかるんだからしょうがない。
「ハイスライムコアが駆け足で終わってしまったけれど再進化するぞー」
サクッとスライムデビルコアに進化を果たす。
スライムデビルコア Lv1
固有能力 スライム寄生 宿主経験値&Lv強奪 魔力吸引 生命力吸収 粘液干渉 感覚・思考制御 増殖促進 強酸 酸性強化 司令指示加速 宿主改造 遠隔操作範囲拡大
Lv10になった時……雷弱点軽減(弱)
ふむ……火弱点軽減が消えた。これは単純に消失したんじゃなくて火が弱点では無くなったって事だろう。
……逆に雷が弱点になったって事でもある。まあ、俺の場合は弱点があってないような代物だけど。
属性違い程度の性能かと思いもするけど基礎性能はハイスライムコアよりも高い。
司令指示加速は……うん、ムーイの体を操るときの遅れがかなり軽減というか高速化している。
元々ムーイが俺の思った動きをトレースしてくれていたんだけどそれが無くても思い通りに動かせるって感じが近い。
宿主改造はパラサイトの頃からある固有能力……ではあるのだけどスライム系により特化した改造が可能になったっぽい。
遠隔操作拡大はまんまだ。ムーイ本体が居ない状態でなら良いかもしれない?
「どうだユキカズー?」
「うん。前よりももっと動かしやすくなったかな。ちょっとムーイ……力の源がある方は離れてくれ。俺が寄生して居る方に遠隔寄生して操作してみる」
「わかったー」
ムーイに離れて貰って寄生解除しつつ遠隔操作を行ってみる。
俺が寄生して居たムーイの体が距離があるのに思い通りに動いてくれている。
が……光の帯がムーイと繋がって居る状態でみんなの視線が帯に集中している。
意識して切断する事は可能っぽいので切ると力の源の無いムーイが少し息切れ気味になる。
「なんとなく分かるがその光はなんだ?」
「力の源から流れるエネルギーだろう。こっちのムーイにエネルギーを供給してるんだ」
「どこぞのロボットの背中にあるパイプみたいな感じか」
ああ、新世紀のロボットね。
あんな感じと言えば近いかも知れない。
「本来は見えないくらいの魔力線なんだろうけど力の源からのエネルギーが強くて可視化してしまうって所なんだと思う」
少なくとも遠隔操作の力がピリピリとしているのでその魔物の器以上の効果が出ているのが分かる。
これ以上の出力増加は神経が焼ける感じがするので限界まで遠隔でエネルギーが流れてるんだ。
見えないくらいまで線を細めようとする事も出来るけどそうなると今度はムーイの体を動かす力が足りない。
一時的な分離攻撃程度なら不要かも知れないなー……。





