二百二十四話
新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
「ユキカズ、次はどんな姿になるか楽しみだなー」
「そろそろゲイザーが届きそうだからそれになる予定だ」
「おーそうなのか」
「ああ、ただ……上半身は変化出来ないから見た目はあんまり変わらんかもな」
下半身だけタコとか奇妙な姿には成れたりするけどさ。
必要進化Lvが50の特殊進化で、いくら何でも届かないだろと思ったけど今だと頑張れば届きそうな所まで来ている。
「どんな事が出来るのか分かるのかー?」
「概要だけなら視線が合っている限りは魔法封じが掛けられるっぽいぞ」
「おー魔法封じって事はオレの力も封じられるのかー?」
「どうだろうな? ムーイの力って……魔法か? それとも特殊能力? その辺りも検証してみないとな」
仮に魔法扱いだったら迷宮種の固有能力を封じられるので強力と言えば強力になる。
「そっかー」
「ま、進化してのお楽しみだ。ムーイの方こそ体調はどうなんだ? 色々とあって今になって気付いたとかあるだろ?」
「えっとなー今の方が強いと思えるぞ。力だけじゃなく、ユキカズに教えて貰った事を色々と出来るようになったって感じで」
技術が向上したと言いたいのだろう。
「ケントからも教えて貰ってるー。槍とかも覚えたいぞ」
健人は槍を武器にしてるもんな。
兵士としては剣と槍は覚えて損は無い武器種なので俺も参考にはしたい。
一応、ある程度の型はライラ教官から教わって居るんだけどさ。
基本的に剣術を教えて貰って……まあ、俺の場合は投擲を良く使って居たんだけどさ。
魔物になってからも熱線とか狙撃系ばかり覚えてる気がする。
「俺もムーイにもっと色々と教えれたら良いんだけどな」
「ユキカズは沢山教えてくれてるぞー」
「そうだと良いな。そろそろ次行こう」
「おー!」
って事で俺達は次の獲物を探して周囲の探索を再開した。
出て来る魔物との戦闘だけど……うん。過去にトーラビッヒに置き去りにされた時のダンジョンの魔物達に匹敵する魔物達なんだとは思うんだ。
強くなったよな。俺……いや、ムーイに結局戦って貰って居るんだけどね。
ムーイは気にしてないけど助けられてばかりだなー……。
と、改めてムーイと二人で出かけた狩りは日が暮れ始めた所で終えた。
俺が飛んで周囲を確認、魔物の姿を見つけてムーイと向かって戦うの連続だ。
さすがに頼りすぎはどうかと思って俺が戦って足止めからの駆けつけたムーイがトドメってのもやったぞ。
「ユキカズ、後どれくらいで進化するんだー?」
「ターミナルポイントで確認だな。ただ……まだ少し足りないだろう」
「わかったぞ」
「それでムーイ。この辺りでエミロヴィア以外の迷宮種の気配は相変わらず無いのか?」
「うん。しないぞー」
「うーん。ムーイの言った通り、フレーディンを見間違えたとかなのかなー……他にありそうなのはムーイの気配で逃げちゃったとか」
誰だって自分を狙っていると言う状況で自分より強い奴がいるなら逃げるって選択肢は出て来る。
無くは無い可能性だろう。
「オレより強い奴はきっと居ると思うぞ」
「ムーイは最強だって思ったりしないのな」
「どれだけ力があっても戦わないと分からないってオレは思うんだぞ? だってカーラルジュはオレの力の源を持っていたのにユキカズに負けたんだぞ」
「カーラルジュはムーイが頑張ったから勝てた。俺は罠に掛けただけだと思うけどな……健人にも協力して貰ってたのもあるし」
俺の手柄って事は無いだろう。そりゃあ力があるように見せかけて奴の体内に潜り込んで力の源を奪い返してやったけど。
謙虚というべきなのかね。
ムーイのこういう所は素直に好感が持てる。
ただ……まあ、あのカーラルジュはムーイの力の源を所持して居た事を考えると迷宮種としては相当の力を持っていたのは間違い無い。
今言うとムーイを刺激しかねないから言わないけどフレーディンから奪った力の源をその身に宿して強くなって貰いたいんだがな。
汚れるとか拒絶反応凄かったけど。
あ、でも……力の源で食性が変に影響を受けてしまうのがイヤって意味でムーイも嫌がって居る可能性はあるか。
俺やラウを相手に涎を垂らされたらムーイ本人がイヤだって事でもあるだろうし。
中々迷宮種のパワーアップ事情も上手く行かないか。
ザヴィンの力の源辺りは受け取ってくれても良いと思うんだがな。
俺が所持して居ても意味は無いんだから。
「そういやムーイ。相変わらず俺から迷宮種の気配はしないのか?」
「んー……? 今はしないというかよく分からない感じだぞ」
「ふーん……」
まあ……力の源を手つかずで内包してるだけだしな。接続は一応してるけど俺じゃ上手く変換出来ないのは変わらない。
むしろ重要なのは迷宮種の体って事なのかも知れないな。
「ユキカズを狙うかはオレ、よくわかんない感じになってると思う」
「今の俺は迷宮種からしたら宝箱かもしれないな」
なんかちょっと笑えるような気もする。
だって俺の中にはカーラルジュとフレーディンが所持して居た力の源が詰まっているんだもんな。
上手く奪えれば相当強力になれるだろう。
「あんまり笑えないと思うぞ。ユキカズ、絶対に誰かに取られちゃダメだぞ」
「わかってるさ」
「ユキカズ、取られないようにオレに寄生するのが良いと思うぞ」
ムーイも拘るなー。
それならお前がカーラルジュ以外の力の源を持ってりゃ良いだろうに。
カーラルジュのだけは変化しているのか外せないからさ……うん。
と言う訳で村に戻ってターミナルポイントで確認した所、本体のLvは上がらずフローデスアイボールのLvが38から43まで上がった。
順調だけどゲイザーになるにはまだ少し足りない。
まあ……この調子なら割とすぐに至れるだろう。
健人達と合流して結果報告をした。
で、ザヴィンの操作は……相変わらず上手くできてない。
やはり洗脳を視野に入れないと行けないのか?
その後、軽く食事をして水浴び……軽く風呂に入ったぞ。熱線で温度調節出来るから楽だね。
「ユキカズと二人で戦うの、久しぶりで凄く楽しかったぞ」
「そりゃあ良かった」
「今度は前みたいにオレにオクトクラーケンの手で巻き付いて援護しても良いと思うぞ」
「ユキカズ、お前……ムーイに昔からとんでもない事を……」
「誤解を招くような事を言うのを止めろ!」
「え? なんかダメなのか?」
あの何本もある手でムーイに巻き付いて振り落とされないようにするってのはやったことがあるけどあくまでそれは背中に引っ付いて居られるようにしていただけで健人が想像して居るような事はきっとしてない。
「何にしても。こんな短期間じゃザヴィンの操作は難しそうだ」
「思い通りに中々ならねえってか?」
「ああ」
「俺達の行動で魔物の問題も大分片付いてきてるし、村の連中も礼を言ってきてるぜ。さすがは神獣様一行だってな」
「俺が代表になってね? どっちかというとリーダーは健人だろ」
年長者って事なのになんで俺の方に注目が集まるんだよ。
「そりゃこの世界基準だとお前の方が目立つんだからしょうがねえよ。結局、戦いの鍵はお前とムーイなんだからよ」
「健人も強いだろうに」
「リーダーっぽい事はしてるだろ。その時々でやってりゃ良いんだよ」
まあ……それで良いのかね。
「雪一、お前はいい加減寝た方が良いだろ。本当……ずっと寝てるか起きてるかのどっちかしかねえ奴だ」
「少しは寝てる」
「寝なさすぎなんだよ。ちょっと早いけど寝ろ」
「ッキュー」
ラウも眠いよって感じに欠伸をしてる。
「ユキカズ、そろそろ寝よー」
はいはい。
ってムーイが俺を抱きかかえてラウと一緒に宿屋の寝室へと行く。
健人は酒場へ飲みに行ったようだ。
「えへへーユキカズお休みー」
「きゅー」
ムーイが俺を抱き枕とばかりに抱えてベッドで横になる。
「今日はお話しなくて良いのか?」
「うん。ユキカズと一緒に色々と戦って楽しかったー」
それは何より。
「ラウはお話しなくて良いのか?」
「キュー」
ラウの方は俺がパタパタさせている尻尾に意識が向いていてやがて引っ付いて目を瞑る。
……それで良いのかお前は?
「んじゃラウには俺の世界のおとぎ話をしてやろう。ムーイも寝ながら聞いてると良い」
「うん。ただ、どっちかというとユキカズに寝て欲しいぞー」
「キュー」
「はいはい」
って事で俺は覚えて居る童話を語って居るうちに……徐々に眠気がやってきてそのまま眠った。





