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第103話 ブンブンブンブン! ブンブンブンブンブンブン!

「じゃあもう一回行くね、2人とも準備はいーい?」


「バチコーイ!」

 キャウン!


 俺とピースケは共に、いつでも動き出せる臨戦態勢を取った。


「行くよー! うんしょ、えいっ!」

 再び春香がフライングディスクを投げた。


 再びふわりと独特の軌道で滑空するフライングディスク。

 俺は不慣れながらも、先ほどの敗北を活かし、急降下を織り込んだ落下点を目測すると、


 スッ――!

 ピースケが前に出ようとしたタイミングで、同時に俺も前に出る!


 ほぼ時を同じくしてフライングディスクが失速し、揺れながら急激に落下し始めた。


(よし、思った通りだ! そして人間の俺の方が、ワンコのピースケよりもはるかに身長が高い。落下点にさえ入れれば、俺に負ける要素はない。ピースケ、今度は俺が勝たせてもらうぞ!)


 俺は内心で勝利の確信を強く抱きながら、フライングディスクを両手で上下から挟み込みにいって――、


「くっ──!?」


 しかしそのタイミングでドッグランに強い風が吹き込み、ただでさえナックルボールのような不安定な変化を見せていたフライングディスクが、風に煽られたことで尋常ならざる変化を見せる。


 風のイタズラにいいように翻弄された俺は、対応しきれずにフライングディスクをつかみ損ね、あろうことか手で弾いてお手玉してしまう。


(しまった──! リトルリーグで4年生からショートのレギュラーを取った俺としたことが、なんという失態!!)


 俺の手に当たって跳ねたフライングディスクを、ピースケが反応よく口でキャッチした。


 ピースケWIN!


「ぐぬぬ……っ!」

「あー、こーへい、惜しい! もうちょっとだったのに」


 残念がる春香のもとに、ピースケがフライングディスクを返却しに駆けていく。


 ブンブンブンブン!

 ブンブンブンブンブンブン!


 その尻尾が『俺の勝ちだワン!』とでも言いたげに、得意げに振られていた。


 彼女の前で2戦続けていいようにやられてしまい、彼氏である俺のメンツは丸つぶれだった。

 このままでは引き下がれない──!


「くぅっ! もう1回、もう1回だ! さあ来い春香! カモン!」

「はいはい、もう1回でも2回でも、好きなだけやろうねー」


 その後はしばらく俺とピースケの、激しくも互角の戦いが続き。

 そして迎えた最終戦。


「結構いい時間になっちゃったから、次で最後ね」


「だってさピースケ。これで勝った方が今日の勝者だからな」


 ブンブンブン!


「じゃあ行くよ~! ファイナル・スロー! えいっ!」


 春香が今日、何度目かわからないフライングディスクを投げた。


 その軌道は今までとは違ってとても高い高度を描いている。

 これはいわゆるロフテッド軌道だ――!


 フライングディスクが、野球で言うフライのような高い軌道で飛んでいく。


 最後にこんな難しいのを投げるなんて、憎らしいじゃないか。

 まさに今日の戦いを締めくくる最終バトルに相応しい乾坤一擲(けんこんいってき)の投擲だ!


 俺はそこに男のロマンを感じないではいられなかった。

 男心をくすぐる、意気な一投。

 やるな春香!


「ごめーん! 力入れすぎちゃったー!」


 ……特にそういう意図はなく、単に投げミスだったようだ。

 まぁいい。


 今までとは違う軌道で高く上がったフライングディスクは、かなり高い位置で斜めに傾くとドライブ回転によって急激に落下を始める。


 俺は縦に食い込むように落ちていく動きを先読みして、落下点に入った。

 ドライブ回転したフライングディスクは、ちょうど俺のいる辺りに向かって急降下してくる。


 そこには揺れたり失速したりといった、今までのような不安定さはない。

 鋭くも美しいラインを描きながら、俺に向かって真っ直ぐに落下してくる。


(これなら取り損ねることはない。もらった! ファイナルバトルは俺の勝ちだ──!)


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