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スキルマ剣姫と歩くトラットリア  作者: 宮地拓海


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227/227

100 スキルとレベル


★★★★★★★★★★



『あなたは、本当によく頑張っていたようね』


 ミサキさんが、わたしを褒めてくれる。

 しかし、その後に続いた言葉は、よく分からなかった。


『この世界のシステムも、ほとんど把握していないのに』


 しすてむ?


「あぁ、知っている。シェフが作ってくれた美味しいオヤツだ」

『え、なにと勘違いしてる? カステラ?』

「かすてら?」

『カステラじゃなかったかぁ~! じゃあなんだろう、もう完全にお手上げだ~!』


 ミサキさんは、なんというか、とてもユニーク。

 ちょっと、シェフに似ている気がする。


『まぁ、ボーヤは私の息子みたいなものだからね』


 少しだけ嬉しそうに言って、ミサキさんが両手を広げる。

 その途端、わたしの目の前に向こうが透けている石板のような物が現れた。


「……これは?」

『ステータスウィンドウよ』

「す……んどう?」

『四文字しか覚えられないの、あなたは? 8Bit?』


 よく分からないが、呆れられたらしい。


『これは、あなたの強さを示した表よ』


 そこには、様々な文字と数字が並んでいた。

 そこに書かれている文字は、読めなかった。


「古代文字?」

『残念、日本語よ』

「にほんご?」

『そう、私の故郷の言葉。私が開いたステータスウィンドウだから私の国の言葉で表示されちゃうの』


 よく、分からないが……


『ここを見て。ここにはあなたが習得したスキルが表示されてるの。すべてのスキルをマスターしたことが分かるわ』


 スキルマ。

 この世界での最高到達点と言われる称号。


 その称号を得てもなお、我々人類は魔人や魔王の足元にも及ばない。


『その原因は、レベルアップをうまく活用できていないからなのよ』


 レベルアップ?


『ほら見て、ここ』


 ミサキさんの指さす先には、なんだか物凄い桁の数字が並んでいた。


『あなた、どんな無茶な戦い方してきたの? レベルがえぐいんだけど』


 えぐい……

 確か、シェフが以前、「ほうれん草は下処理をちゃんとしないとえぐみが出ちゃうんですよ」と言っていた。


「……ほうれん草?」

『ん、ごめん。あなたの思考の飛び方を追いかけるの、今の私には無理っぽいから、ちょっと黙ってて』


 黙って見ていればいいらしい。

 じぃ~……


『でね、レベルは上がってるのに、ボーナスポイントがステータスに全然割り振られてないのよ』


 じぃ~……


『割り振らなくても、それなりにステータスは上がるけど、やっぱりボーナスポイントがないと強さはある一定を超えられないわけ。分かる?』


 じぃ~……


『……相槌は許可します』

「分かる、気がする」


 何故か、ミサキさんにため息をつかれた。

 何故だろう?


『ようするに、強くなれるのに、強くなっていなかったのよ、あなたは。ううん。あなたたちは』


 そして、ミサキさんの指が、ステー……なんとかの下の方へと向かう。

 そこには、さらによく分からない桁の数字が並んでいた。


『これをステータスに割り振れば、あなたは魔王と同じくらいの力を得ることが出来ます。これ、たぶん私より強くなっちゃうな』


 歴代最強の魔王を倒した勇者よりも?

 凄いな、それは。


『人類の規格から外れると、それはそれで生きづらくなるけれど――それでも、平気?』

「それでシェフが救えるのなら」

『迷いなし、か』


 そう言って、ミサキさんはにっこりと笑う。


『恋、してるんだね』


 こい……とは?


『それじゃあ、時間もないし、私がいい感じに振り分けてあげるね』

「よろしく頼む」

『うん。まかせて……私、こういうのめっちゃ大好きだから』


「ステ振りとか、一番燃える」と瞳をギラつかせて、ミサキさんはわたしのステ……なんとかをイジリ始めた。


 瞬間――



「んっ!?」



 体の奥底から、力が湧き上がってくる。

 なんだ、この感じは……


 力が……どんどん、湧き上がってくる。



 これなら、自我を忘れかけているシェフを救える――


「ありがとう、ミサキさん! シェフと話をしてく――」

「エクスぅぅうあぁああ! 貴様、よくもこの俺様をぉぉおお!」



 物凄い速度で、禍々しいオーラを巻き散らしながらシェフへと迫る魔人。


「今ちょっと忙しいから、あとにしてほしい!」

「どぅっ!?」


 わたしがシェフと話をしようという時に割り込んで来ようとしていた魔人を殴ったら、物凄く飛んでいった。


 おぉ、物凄く飛んでいった。


「物凄く飛んでいった」

『驚き過ぎて語彙力消滅してるよ、お嬢ちゃん』



 力が漲って、まるでわたしではないようだ。

 これなら、シェフを止められる。



 なんだか、今のシェフは、泣いているように見えて、心がザワザワする。

 止めてあげたい。


 いや、止めてあげなきゃ!


「いってきます!」

『うん。がんばって』



 ぽんっと、背中を押され送り出される。


 その瞬間――


『眠れる恋人を目覚めさせる魔法は、いつの世界もたった一つだけなんだよ』



 頭の中に、ミサキさんの声が流れ込んできた。



 とある映像と共に――







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