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スキルマ剣姫と歩くトラットリア  作者: 宮地拓海


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112/227

33話 深夜の秘め事 -1-


★★★★★★★★★★


 人間には、節度というものが必要だと思う。


 例えば、とある女のこととなると途端に周りが見えなくなってデレデレし始める男とか、眠る度に他人の迷惑を考えずに万力のような腕力で抱きしめてくる女とか、隙あらば太ももの内側を長い舌で舐めてこようとするカエルとか……「体の悪い部分と同じ部位を食べると良くなるっていう伝承があるんですよ」なんてタマちゃんの言葉を信じてむね肉の焼き鳥を四十本も食べてしまったあたしとか……うっ、胃がムカムカする。


 とりあえず言い訳をさせてもらうけれど、別にあたしは胸が悪いわけではない。

 ただし、悪くなっている部位を治療してしまうほどのエネルギー、栄養、パワー、そういうものが含まれているのであれば、もしかしたら少しくらいは成長を促す力があるのではないかと……そんなことを、本当に、ふと思ってしまったのだ。

 ふと思いついて、四十本。

 後半は全部さっぱり系の塩に変更したのに……やっぱり胸が焼けた。

 よくなるどころか悪くなってるじゃないのよ、部位!


「タマちゃんの情報も、あてにならないわね……」


 あたしは、みんなが寝静まった深夜に一人起き出し廊下を歩いていた。

 深夜と言っても、【歩くトラットリア】時間の深夜だけれど。この店の外は時間がバラバラらしいから。確か……時差? とかいうやつで。よく分かんないんだけど。


 剣姫の拘束を抜けるのは至難の業――現在のあたしの腕力では不可能に近い――なんだけど、この前裏技を発見した。

 それは、剣姫にお酒を飲ませると剣姫の腕力が落ちる。

 そして、酔っている時の剣姫は他人に引っ付くのを嫌がるようになるのだ。


【ファームフィールド】でマルーラフルーツとかいうので酔っぱらった際、剣姫をベッドに運んでいく時にそれを発見した。

 ……といっても、嫌がるのは最初の十分くらいで、その後は再び引っ付き虫になるんだけれど。


 いやぁ、あの時は酷かったなぁ……

 部屋に運ぶまでは触られるのを嫌がって暴れまくったくせに、ベッドに着いた途端あたしを拘束して、そのまま起きやしない…………え? その時抱いた殺意? うん、消えてないよ。いつか抹殺してやる。


 で、今回。

 例によって剣姫に拘束されて眠っていたあたしは、どうしようもない胃のムカつきに耐え切れず、ベッドを抜け出した。

 寝ている剣姫にお酒を飲ませて。


 飲ませ方は簡単。


 盗賊のスキル『影操作』を使って、自分の影をコントロールして剣姫の口に無理矢理流し込むだけ。

 ……誰が口移しなんかするもんですか。まぁ、タマちゃんあたりに「腕が使えない状況でお酒を飲ませるには、どうやると思う?」って聞いたら、真っ先に口移しを想像するんでしょうけれど……そして羨ましがるんだろうなぁ、剣姫と口移ししたあたしを……してないけど……

 っていうか、その理論で言うなら剣姫のことも羨ましがりなさいよね。その……あたしに口移ししてもらえたんだから……いや、だから、してないけれど!


 盗賊は影を操るのが得意だ。

 ブギーマントみたいな猿真似とは違い、実践で使えるスキルが多い。

 例えば、本体とは逆方向に影を走らせて敵を撹乱したり、腕力はすごく落ちるけれど物を持たせることも出来るから火薬を持たせて敵陣で爆発させたり、そういうことが出来る。

 すごい疲れるから滅多にやらないけどね。そこまでの敵に遭遇することも、そうそうないし。


 とかなんとか、いろいろ考えているのにまだ厨房に着かない。

 相当弱っているようだ、あたしの体は。


 廊下の壁に手をついて、ふらふらと歩いていく。

 ようやくドアにたどり着き、そっと開いてホールへと出る。

 ホールを出て右手にカウンターがあるので、そこへと入る。

 シェフと剣姫は、この中に入る時には必ずエプロンを着けるのだが……今はいいよね。緊急事態だし。……とにかく、水が飲みたい。






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