表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/158

008 クッション

15年6月27日

誤記修正多数。

 


 奴隷の女の子はフィーリアという名前だ。

 気が付いた時に知らない部屋でベッドに寝かされていたことにしばらく困惑していたと聞く。

 説明はハンナがしてくれたので俺の手は煩っていない。


 それと俺を警護していたレビスを問い詰めてやったら、予想通り「私たちが出るまでもなくクリストフ様なら大男を半殺しにされると思っていました」と抜け抜けと言いやがった。

 このレビスは俺の剣の師匠の1人でもあるので、俺の実力を知っているのだ。

 イケメンだし天罰が落ちれば良いのに!


「ご、ご主人様、お助けいただきありがとうございました。私はフィーリアと申します」


 今回、フィーリアが暴力を受けていても殆ど何も思うことはなかったのだから、あまり仰々しく考えてほしくはないが、フィーリアは嬉しそうに俺に尻尾を振ってくる。


 因みにフィーリアは犬の獣人なのでケモ耳も尻尾もある。


「私はクリストフだ。ご主人様ではなくクリストフと呼んでくれ。それと体調はどうだい?」


「おかげ様でどこも痛くありません。クリストフ様」


 フィーリアはしっかりとした受け答えをしているし、字も書けると言うのでそれなりの教育を受けていたのだと思い、奴隷になった理由を聞いてみたら元商人の子で親である商人が魔物に殺され借金を返済することができずに奴隷として売られることになったそうだ。


 よくあるパターンではある。

 これも命の重さが軽いファンタジー世界の常なんだろう。


 奴隷とは言え、ブリュトゼルス辺境伯家の使用人なのでハンナに預けルーナ同様に俺の侍女として教育をしてもらうことになったのだが、母上がしばらくフィーリアを着せ替え人形にしていたのでフィーリアもグッタリしていた。


 翌日、再び町中に繰り出した俺の傍らには6人の護衛が存在した。

 昨日より増えているのはハンナの指示だそうだ。

 俺がトラブルを起こさないように見張るように護衛たちに指示をしていたのが聞こえてきたぞ!


 今日は何事も無く買い物ができた。

 宿に帰って早速魔法陣を書き込む。

 これで俺の尻も王都までもつと思いたい。


 今回、馬車が4台に俺と母上と侍女長のハンナに俺専用の侍女のルーナ、他に侍女が2人と従者が6人に騎士団員が33人と魔術師団員が3人と大所帯で旅をしているが、俺の馬車には母上とハンナとルーナが同乗している。

 今回、俺がフィーリアを連れてきたのでフィーリアも同乗して王都まで行くことになった。

 当然のことだが、フィーリアは恐縮しっぱなしだった。

 小動物みたいで可愛いな。


 俺たちの乗っている馬車は貴族用の豪華な作りに居住スペースも大きいので5人でも余裕で乗れる馬車になっている。

 それと俺が魔法陣を書き込んだクッションが役立った。

 クッションには振動吸収の魔法陣を施している。

 母上にも好評で褒められてしまった。

 母上は相変わらず俺を猫可愛がりで、べた褒めである。


 一応、馬車に乗る者たち全員分を用意したので配っておいたのだが、家臣たちにも好評だった。

 ただ、騎馬に跨っている騎士たちにはさすがに用意していなかったので、馬車組の家臣たちはかなり羨ましがられたようだ。


「相変わらずクリストフ様は面白いことを思いつきますね」


「先生が良かったのですよ。ロザリア団長」


「私は何もしていませんよ」


「しかし、これを王都やブリュンヒルで売り出したら売れると思いますよ」


 フェデラー副団長が商売気を出してきたが、この程度のマジックアイテムでは直ぐに真似され値崩れしてしまうだろう。

 しかし、真似される前に数量限定で売り出すっていうのは考えておこう。


 王都の屋敷に着くと直ぐに父上の執務室に挨拶に向かう。


「来たか、旅は辛くなかったか?」


 父上は母上とハグをした後に、俺にも抱き着いてきたのでちょっと引いたが、それだけ俺を愛しているということで許そう。


「途中、何度かお尻にヒールをかけましたが、大丈夫です」


「アーネスト、クリストフがとても有用なクッションを作りましたの。そのおかげで最後は大分楽になりましたわ」


「ほう、そうなのか?そのクッションを見てみたいものだな」


 父上に請われてクッションを見せるとその座り心地に父上も感嘆する。

 このクッションの真価は馬車などの振動を吸収する性能だが座り心地も良いのだ。

 そんな感じであれよあれよと販売が決まってしまったが、この両親は俺が受験生だということを忘れている気がする。


 それとフィーリアのことも父上に話したら俺が責任をもって管理すれば良いと言ってくれた。

 その後は久し振りに家族でディナーを摂ることになったが、ここで他の家族と顔を合わすことになった。


 長男と長女は騎士団員なので騎士宿舎、次女も王立魔法学校の寮で暮らしているので会えたのは妹で三女のアントワネットと第2夫人のフリージアさん、第3夫人のアンネローゼさんの3人だった。


 11歳以前の記憶が無いことは皆知っているようで俺の行動に不審は抱いてないようだが、妹のアントワネットは俺に本を読んでもらった記憶があるということで少し悲しい表情だった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ