071 いっぱい作っています
ふ~、これで良しっと。
切り立った断崖絶壁、その断崖絶壁は優に100mはあるだろう。
そして断崖絶壁の下には青く広がる海。
断崖絶壁を削るかのように荒々しく攻め寄せる波。
崖から目を移して逆を見る。
一面の木、木、木、木、木、木、森である。
森の奥には魔物も生息しているが、その程度は想定内だ。
「クリストフ様、お茶の用意ができました」
「ありがとう、フィーリア」
フィーリアが俺の喉の渇きに合わせてお茶を用意してくれる。
ルーナもそうだが、フィーリアも俺がほしいと思った時にお茶をいれてくれる。
ハンナの弟子である2人は侍女レベルが高い。
ん?
俺たちがいるところは何処だって?
それは・・・ひ・み・つ♪
なんて言わないよ。
実は軍事物資を提供したことで陛下からある土地の所有を認めてもらったんだ。
その土地ってのが、ここですよ。
え?
だから何処だって?
それはね、神聖バンダム王国の東には僅かだけど海があるんだ。
あ、これは人間の支配領域で海に接しいている土地が少しあるってことね。
で、その地から海を越えて南東に少し行くと島があるんだけど、今はその島にいるんだね。
この島は周囲を断崖絶壁に囲まれているので船で近付いても上陸ができないのだけど、俺の場合は空間転移でチョチョイノチョイってね。
神界の英知によればこの島の大きさは1,400平方Kmほどで、日本の沖縄島よりやや大きいって感じだね。
え、分からないって?
じゃぁ、静岡県の静岡市くらいの面積では?・・・分からないって?・・・各自で調べてくれ。
そんな誰も上陸できないこの島を俺の所有物として陛下に認めてもらったわけですよ。
まぁ、神聖バンダム王国の法では未開拓の土地は開拓した者の所有と認めてもらえるので問答無用で開拓して所有を認めてもらっても良かったけど、それだと面倒な処理もあるし鬱陶しい貴族が横槍を入れてくることもあるから、事前に陛下より俺の土地だと認めてもらったってわけですね。
というわけで、上陸中のクリストフ君とフィーリア君であります。
この島には俺がほしいと思う物が多くある。
だからこの島を俺の所有にして自由に開拓することにしたんだ。
さて、先ずは屋敷を建てると思うだろ?
違うんだな~・・・ゴーレムを作る。
作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る、作る。
いや~、作った、作った。
これだけのゴーレムを前にするとさすがに壮観だよ。
都合、50体のゴーレム。
ゴーレムは命令されたことを忠実に実行する疲れ知らずの労働力なのだよ。
「ゴーレム001からゴーレム010は木を伐採、整地後に屋敷を建築。ゴーレム011からゴーレム020は木を伐採、整地後に塀を築け。ゴーレム021からゴーレム030は周辺の木を伐採後に田畑を作れ。ゴーレム031からゴーレム050は周辺2Kmの魔物を駆除しこのマジックバッグに死体を回収。以上、速やかに作業に移れ」
ん?
ゴーレムは魔法陣でプログラムされた命令でしか動かないって?
その通りですよ。
だから、ゴーレムには俺の命令を忠実に実行するようにプログラムしているんだね。
そして俺がイメージした事をダイレクトに命令として伝えることができるので、楽なんだよ。
まぁ、普通の人にはこのゴーレムを作ることは難しいだろうけど、俺にならそれができるんだよね。
何と言っても俺は魔技神ですから!
「よし、後はゴーレムたちに任せて俺たちは帰るよ」
「はい、しかしこのゴーレムたちは放っておいて大丈夫なのですか?」
フィーリアの懸念は当然だね。
でもこれも実験と言うか検証の内なのですよ。
俺の命令がどの程度実行されるのかを検証するためにゴーレムを敢えて放置するのです。
ゴーレムは疲れ知らずの労働力として期待しているので、どの程度のことができるか検証です。
「大丈夫、大丈夫。1週間後にまた様子を見に来るから、それまでは放置だね」
チョチョイノチョイ!
俺が何をしているかって聞かれる前に教えておくけど、今は裁縫中です。
先日、俺が手に入れた島を訪れた時にシルクスパイダーの糸を入手したので、布にしてそれで服を作っているのです。
このシルクスパイダーの糸で織られた布は滅多に市場にでない。
何故かと言えば、シルクスパイダーは個体数が少ない魔物だからだ。
しかしあの島にはこのシルクスパイダーが多く生息しているので入手することができるのだ。
勿論、ゴーレムが魔物を駆除する範囲にはシルクスパイダーの生息域は入っていないので安心してください。
それで、皆は俺の服を作っていると思うよね?
でもそうじゃないんだね。
勿論、俺の服も作るけど、最初はイグナーツの服だ。
俺の可愛い弟君へのプレゼントだね。
神聖バンダム王国では生まれた時と、15歳の誕生日以外は誕生日を祝うことはない。
15歳の誕生日を祝うのは一般的に15歳が成人となるからなんだね。
他の国も同じようで15歳の誕生日以外はあまり重要視されていない。
だからイグナーツの誕生祝いとしてできるだけ上等な物を贈ろうと思い、この服を作っているのだ。
それと来年はクリュシュナス姉様が15歳になるので盛大に祝うことになる。
今から何をプレゼントするか考えておかないとね。




