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006 旅2

15年6月20日

誤記訂正

始めて見て回る町 → 初めて見て回る町

眼を楽しませてくれる → 目を楽しませてくれる


15年6月27日

誤記修正多数。

 


 山道では何度か魔物の襲撃を受けた。

 いつもこんなに多いのかと聞いたら前回の定期討伐から日が経っており、繁殖しているのだと言う。

 幸い、もう直ぐ定期討伐が行われるとのことだが、それなら俺たちの旅の前に討伐しておけよと思う。

 しかし魔物が大量に発生する時期が決まっておりそれに合わせて討伐を行うそうだ。


 俺的にはこの山道の途中に砦や騎士団の駐留拠点でも作り魔物の駆除を小まめに行った方が良いのではと思うが、そうしないのには理由があるのだろう。


 山道を抜けると草原や森が続き、大きな町にやってきた。

 ブリュンヒルに比べれば小さい町だが、それでもこれまでに通り過ぎてきた村や集落に比べれば遥かに大きい町だ。


「今日はここで宿を取ります。ここまで来ましたら王都まであと少しですがクリストフ様の体調は大丈夫ですか?」


 体調は大丈夫だが、長旅でお尻がバカになっているので、早く旅が終わってくれることを望むばかりだ。

 馬車の旅がここまでお尻に負担が掛かるものだとは思っていなかったよ。

 馬車にはサスペンションも何も無いようでベンチにはクッションが付いているが、日本で乗り慣れた車や電車などと比べると乗り心地としては天と地ほどの差がある。


「体調は大丈夫だよ」


 母上は旅慣れているのか、それとも我慢強いのか、平気な顔をしているが俺の顔からは疲労の色が見て取れたのだろう。


「ここで2泊しますので、出発は3日後の朝になります」


 助かった。

 馬車のサスペンションはいつか改造するとして、緊急処置を施さなければいけないな。


 今更だって?

 だって、ここまで小さな村や集落はあったけど、町はなかったので何かしようと思っても物資が手に入らないのだ。


「母上、町の中を散策しても良いでしょうか?」


「そうねぇ、どうしたものでしょうね」


「奥様、クリストフ様も長旅で気が滅入っていると思いますので、護衛を何名か付けてスラム街には行かないということでお認めになってはいかがでしょうか?」


 ハンナ、ナイスフォローだよ!


「分りました。ハンナは護衛の手配をして頂戴。それとクリストフは決して護衛の者から離れてはいけませんよ」


「はい!」


 この町はフィルズと言うのだが、フィリアム伯爵が治めている。

 名産はオレンジで、王都で消費されるオレンジの6割はこの地域の物だと言う。


 それに近くの森が魔物の発生スポットなので魔物から得られる魔結晶や素材も町の経済を支えているそうだ。


 俺の護衛は4人で、俺の両脇と後方を固めている。

 ハッキリ言ってウザイのだけど振り切る必要も感じないのでそのまま町中を見て歩く。


 しかし、初めて見て回る町がブリュンヒルでも王都でもないというのは感慨深いものがあるな。

 レンガ造りの建物はヨーロッパのような趣があり目を楽しませてくれる。

 オレンジの産地だけあってオレンジだけではなくオレンジの加工品も多くあるようだ。

 代表格は町のそこかしこで売られているオレンジジュースだろう。

 100%のオレンジジュースは日本人だった頃に飲んだオレンジジュースより濃厚で酸味より甘味が強く美味しかったが、温いのがマイナスだ。


 この世界では飲み物を冷やすという習慣は無く、エールのようなものでも温い状態で飲んでいる。

 だからブリュンヒルの屋敷の倉庫を改造し飲み物やエールを冷やす部屋を作った時は母上や家臣から喜ばれ、騎士団員などは冷たいエールを手に入れるために屋敷の警備を進んでするようになったと聞く。


 町中を見て歩いていると時々自分とは耳の形が違う人を見かける。

 あれがファンタジー世界の定番であるケモ耳というものだろう。

 尻尾もあるし極稀に翼がある種族も存在した。


 俺の種族はヒューマン、そしてこの世界にはヒューマン以外にも多くの人間が存在するのだ。

 代表格は獣人やエルフ、他にもドワーフや魔人も居るし、もっと多くの種族が存在する。


 神聖バンダム王国はヒューマンの国だが他の種族を差別することは少ない国で、公には魔人でも差別していない。

 これは建国をした初代国王が日本人勇者だったことで種族による差別を厳しく戒めたためである。


 ただ、他の国が神聖バンダム王国同様に差別をしないかと言うとそうではないし、どちらかと言えば神聖バンダム王国のように差別が少ない国の方が珍しいようだ。


 差別の激しい国の代表が聖オリオン教国であり、ヒューマン至上主義の国だ。

 この聖オリオン教国は教皇という人が国家元首で宗教国家なので神官が国を運営している。

 ・・・宗教というのは何で種族とかを気にしたり差別するのかね?

 俺には理解できないな。


 ついでなので他の国についても少し触れておこう。

 俺が住んでいるのは中央大陸という4つある大陸の中で一番大きい大陸なのだが、この中央大陸には4大国と言われる国が存在し、その4大国の1つが神聖バンダム王国であり、他には先ほど触れた聖オリオン教国、そしてドワーフの国でジェガン共和国とヒューマンの国のボッサム帝国がある。


 ボッサム帝国も差別が激しい国でありヒューマン以外は暮らし難い国であるが、ジェガン共和国は種族による差別は無い。

 但しジェガン共和国は生産の技術力や戦闘力により階級が存在すると聞く。


 

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