057 神界
2部の投稿を開始します。
更新は遅めになると思います。
体が動かない。
目を開けることさえできない。
目を開けている感覚はないのに何で暗くないんだ?
俺は何を?
・・・ここは・・・以前に・・・既視感?
このぼやっとした白いような空間はもしかして死後の世界か?
そういえば俺って一度死んでいるんだよな・・・
そうか、奴と戦いレビスを再生させようと・・・
・・・それでまた死んだのか?
レビス・・・助かったかな?
助かったら良いな。
もし神様がいるんならレビスを助けてやってほしい。
拾い物みたいに第二の人生を送れたんだし、たった2年だったけど楽しかったな。
結構濃密な2年だったし魔法なんてファンタジーなものにも触れさせてもらって結構満足だよ。
ただ、母上や父上、それに皆にも別れをしたかったけど・・・
元々はただのサラリーマンで面白みのない人生を送っていたオッサンだった俺に面白いことを経験させてくれてありがとうって言いたい。
俺を転生させてくれた存在がいるのなら感謝するよ。
『何をゴチャゴチャ言ってるんだ、お前は』
こんな状態でも空耳って聞こえるんだ。
意外と新鮮だな。
『俺を無視するとはいい度胸だ!』
『ちょっと創造神様、彼は心の整理をしているのですから邪魔しては悪いですよ』
空耳が増えた?
え?
創造神様?
はい?
『整理ではなく混乱しているぞ』
『・・・少し待ってあげましょうね』
空耳ってこんなリアルだっけ?
俺って妄想癖ってあったかな?・・・否定はしないけどね。
それに創造神様ってあれだよな・・・俺に加護を与えてくれた神だよな・・・
ってことはここはヤッパリ死後の世界?
『ここは神界だ』
ああ、神界ですか、ありがとうございます。
『何が有り難いのか?』
って、言葉のキャッチボールできているしっ?!
『当然だ、それに今までだってお前が『天啓』を使えば話せていたぞ』
・・・
・・
・
それでは貴方が創造神様なのですか?
『お、やっと整理できたようだな。その通り、俺が創造神だ』
え~っと、できれば姿とか見せていただけると話しやすいかな~なんて思うのですが、ダメですか?
『ふむ、まぁいいだろう。ほれっ!』
ぼやっとした世界がいきなり書斎に変わって俺の体が自由に動かせるようになったと思ったら俺は椅子に座っていた。
そして目の前には父上が使っているような豪華でデカイ机が存在し、その向こうには幼女?が偉そうに胸を張りふんぞり返って椅子に座り、その斜め後方には金髪美人! ナイスバディー! の巨乳美人が佇んでいた。
ここ大事です!
試験に出ますのでもう一度、巨乳美人ですっ!
『え~っと・・・貴方が創造神様でしょうか?』
『そうだ、俺が創造神だ。こっちは『最上級神のメリナードと申します』・・チッ』
ははは、発言を被せられ創造神様が舌打ちしましたよ?
『あ、おれ、じゃなかった、私はクリストフ・フォン・ブリュトゼルスと申します。創造神様に最上級神のメリナード様にお会いできて光栄です』
俺は失礼にならないように椅子から立ち上がり名乗りをあげ、軽く会釈をする。
『早速だが単刀直入に言うぞ』
『はい?』
何だろう?
また転生とか?
あっ、もしかして水神の八岐大蛇をぶっ殺した・・・はずだからお怒りとか?
ぶっ殺したよな?
生きてたらレビスやプリメラがヤバイじゃん。
『心配せんでもヘビを殺した程度で俺は怒らんわ』
そうなの?
それは良かった。
あれで因縁付けられても困っちゃうしね。
なんたって正当防衛ですから。
俺がそんなことを考えていると創造神様がメリナード様の手から書類を受け取って目を走らせる。
『本題だ。クリストフ、お前は俺が施したロックが解除され魔神化してしまった』
ロック?
魔神化?
え、俺って魔神になっちゃったの?
あ、そうか、ここは神界だから神の世界なんだから魔神化した俺がここに現れても不思議はないのか?
『お前がとるべき行動は2通りある。1つ目は悪神となること、2つ目は善神となること。この2つだ』
『クリストフさん。ヘカートには過去に2回、人から神格化した魔神が顕れております。その2回とも魔神は悪神となりヘカートを滅ぼそうとしました。貴方はどうしますか?』
はははは、またえらい話になってきましたね。
魔神になってヘカートを滅ぼすか・・・
でも創造神様の話だと善神にもなれるんだよな?
『悪神になれば自由に生きていいが、俺とは敵になるぞ。そして善神となれば俺の部下だ』
創造神様に敵対って・・・そんなことしたら直ぐに滅ぼされるんじゃないのか?
てか、ヘカートを滅ぼす気なんてないし1択じゃね?
『クリストフさん。悪神と善神のメリットとデメリットをお伝えしておきますね』
『はい、お願いします』
『悪神になると誰の命令を受けることはありません。所謂、フリーランサーですね。基本的には自由ですし好きなことをして生きていただいて問題ありません。但し、創造神様の庇護を受けることもできませんしクリストフさんの行動次第では守護神を送り滅ぼすことにもなります。ここまで良いですか?』
『質問してもいいですか?』
『どうぞ』
『悪神というのはたくさんいるのでしょうか? また、たくさんいるのでしたら何をされているのですか?』
だって、悪神がたくさんいるのならどういった神なのか気になるじゃん。
『そうですね、たくさんという言葉は個人差があると思いますが、悪神の数は10や20どころか100を超えるでしょう。我々としては力のある悪神は把握していますが雑魚までは把握していません。そして何をしているかは・・・色々ですね。犯罪者に加護を与え人の命を捧げさせたり、邪教をつくり信仰を集めたり、人間に戦争を起こさせたり、好きに生きています』
あ、やっぱり想像してた通りの神なんだ。
『話を続けますが、善神になれば創造神様の部下になり神として働くことになります。メリットとしては創造神様の庇護が得られることですね。デメリットとしては忙しいことでしょうか?』
『忙しい?』
『創造神様がお創りになった世界はヘカートだけではありません。クリストフさんが転生前に住んでおられた日本がある世界もそうですし、他にも幾つかの世界があります。我々善神はそれらの世界を管理するのが主な仕事になりますが、常に人手不足なのです』
なるほど、多くの世界を管理するには人手が足りないので忙しいというわけですね。
『その仕事とは?』
『神にも栄養と言うかエネルギーが必要ですから基本的には布教活動や自然保護活動ですね。善神なら信仰心や自然から発せられるエネルギーなどが必要ですし、悪神であれば信仰は勿論のこと、憎悪や恐怖などがエネルギーとなります。ただ、我々善神は世界を管理していますので多くの仕事を抱えております。つまり信仰心を上げたり広めたりするのにあまり時間が掛けられないのです』
ほうほう、そうするとエネルギーはほしいけど、エネルギーを量産できる環境ではないということかな?
『クリストフさんは魔神化したばかりなので半神となります。これは善神だろうと悪神だろうと変わりません。そして善神の場合はエネルギーを蓄え神格を上げ中級神になるまでは、地上で人間たちを導いたり自然を保護したり悪神の活動を妨害したりしてもらうことになります。中級神になりますと神界に上がっていただき、転生する魂の管理や下位の神の管理などもしてもらいますね』
当面は地上で活動ね・・・
あ、そうだ・・・クリストフとして生きていけないってことか?
『善神の場合はしばらく地上勤務ってことですが、今までの生活はどうなるのでしょうか?』
『大丈夫ですよ。今まで通りクリストフ・フォン・ブリュトゼルスとして生活を送ることもできますし、クリストフさんが望めばクリストフさんを死んだことにして別の存在になることも可能です。ただ、クリストフさんとして生きていく場合は普通に歳をとりどこかの時点で老衰などにより死亡したことにする必要がありますね。神々は不老なので。あ、半神でも神ですから見た目はいかようにもできますから』
見た目はどうにでもなるのか・・・すると創造神様のあの容姿は趣味なのか・・・幼女趣味か・・・
『私が善神になりクリストフ・フォン・ブリュトゼルスとして生きていくことを選んだら、人間として生きながら神として布教活動に自然保護活動・・・それと悪神の邪魔をするってことですか・・・善神になるメリットは創造神様の庇護ですか・・・』
『はい?』
『今、創造神様やメリナード様にご説明いただいたのは善神と悪神についてですが、私が神になって何の得があるのか教えて頂けたらなぁって思いまして』
微妙な空気が流れていますが、いけないことを聞いたのだろうか?
『っぶははははぁ、面白いことを言うな。今までそんなことを聞いた奴はいないぞ。お前は神になりたくないのか?』
『神になれば不死ではないが不老なんですよね? 善神は仕事が多くて忙しいってことは私にしてみればデメリットでしかないですね。悪神なら自由に生きていいと言われましたが、創造神様の敵になるってことはいつ善神の攻撃を受けるかも分からないわけですよね?・・・永遠に仕事の虫か、善神の攻撃に怯えて暮らすかの2択なんて神になるメリットが感じられないです』
『なるほど、そういう考えもあるな』
『面白い考え方ですね。・・・私も考えるところがあります』
『・・・あれだ、神になれば人を超越した存在になれるぞ?』
『・・・私にはそんなにメリットだと思えません』
『しかしだ、既に覚醒しているから今更神になりたくありませんなんて言われても困るぞ』
そうなの?
創造神様ならチョチョイノチョイって感じでその力を封印したり削除したりできるんじゃないの?
『力を封印とかできませんか?』
『他の者ならできないこともないが、お前は無理だ』
なんで?
他の者ができて何で俺にはできないのよ?
『お前の神力は一度ロックしている。ロックっていうのは封印みたいなものだ。つまり今回ロックすれば2回目になるんだが、そうするとお前の体がどうなるか分からんぞ。崩壊するだけなら構わんが、神力を暴走させたら洒落にならん』
いや、崩壊もいかんでしょっ!
人の体だと思って好き勝手言ってくれるけど、2回目ってどういうことよ?
『細かいことは言わんが、お前に神以外の選択は“死”だぞ?』
簡単で好感が持てる説明ですね。
ってなこと言わんぞっ!
しかし、困ったな。死にたくないし・・・かと言って、善神や悪神になりたいかと言われれば、答えはNO!だ。
さて、どうする。
『色々と思うところはあるでしょうが、説明を続けますね。半神の場合はまだ神力が少ないので管理するエリアは一定範囲になりますね。それと何を担当するかで対象は変わります』
強引に説明を再開しましたメリナード様。
クールビューティーですな。
しかし何を担当するかって?
・・・そうか、豊穣神や闘神に鍛冶神と色々神様もいるもんな。
その後も色々と説明してくださったクールビューティー様。
『以上ですが、どうします? 悪神か善神、どちらになりますか?』
『保留はできませんよね?』
『無理だ』
お、久し振りに創造神様が登場だ。
『今ここで決めろ。でなければお前は悪神と認定される』
保留も悪神ですか・・・
『地上での活動は自由にできるのですか?』
『俺は神を細かく管理していない。それぞれ与えられた仕事を行っているのであれば何も問題はない』
『神格を上げるにはどうすれば?』
『信仰心を集めれば神力が増える。さすれば神格も上がる』
悪神の場合は憎悪や恐怖か・・・
しかし今更だけどこの創造神様・・・なんで幼女なんだ?
『私が善神になった場合は何を担当する神になるのですか?』
『お前は・・・選択できるものが幾つもあるな。詳しく知りたければ善神になることだ』
さて、善神になれば創造神様の部下になり忙しくなる、そして悪神であれば自由に生きられるが創造神様と敵対か。
ハッキリ言って創造神様と敵対なんてしたくはないし・・・
『決めました! 私は――――――――』




