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049 学生旅行2

15年8月10日

誤記修正)岐路 ⇒ 帰路

 


 旅は順調に進み3日ほど進んだ。

 この移動砲台・・ではなかった馬車と護衛たちの一行に出くわした魔物は近寄る前にカルラたちに駆除されていく。


 しかも4人共、俺の訓練で魔力感知の初歩はできるので、魔物の気配を素早く察知できる。

 ランクC程度なら瞬殺できる魔法使い4人が乗る馬車にランクFやランクEの魔物が近づけるわけがないのですよ。


 俺は相も変わらずアポートで魔物の死体を回収する。

 ダンジョンの魔物は良いが地上の魔物の死体は放置すると死霊化するのでしっかり回収しなければならない。


 騎士団は何をしているかと言うと、魔物が近付く前にカルラたちが殺しまくるもんだから暇をもてあましている。

 仕方がないよね、遠距離砲台と化した馬車に近づける低ランクの魔物はいません。


 で、俺たちの目的地は南部のブリュトゼルス辺境領だ。

 何でかって?

 それは俺の故郷であるブリュトゼルス辺境領を見てみたいからだ。

 勿論、領都ブリュンヒルまでは行かない。

 片道だけで15日かかる領都ブリュンヒルだと移動して終わりになってしまうので、ブリュトゼルス辺境領で4番目の規模の街であるセジャーカの街に行く予定だ。


 ブリュトゼルス辺境領は山脈で南北に分断されているのだが、その山脈の北側にあるのがセジャーカの街だ。

 領都ブリュンヒルから王都に向かう道からは外れているので俺が上京する時には通過もしていないが、ブリュトゼルス辺境領で4番目に大きい街だ。


 実を言うとセジャーカの街は我が家の発祥の地であり、神聖バンダム王国建国当時は山脈から北側のセジャーカの街が領都だったのだ。

 5代目の当主の時に山脈越えをして開拓を始めたことで広大な領地を得て、7代目の時に辺境伯となり、領都をブリュンヒルに定めたのだ。

 それにセジャーカの街は鉱山都市でもあり今でも賑わっているのだ。

 つまりセジャーカの街はブリュトゼルス辺境伯家にとっては歴史的にも経済的にも重要な街なのだ。


「クリストフ、何でセジャーカの街に行こうと思ったの?」


 今それを聞くのか?!

 旅行って時点で何しに行くとか聞かずに付いてくるのを決めたのか!

 さすがはカルラ!

 そして巻き添えにあい可哀想なペロン!


「理由は幾つかあるのだけど、先ずはブリュトゼルス家の発祥の地であることだね。それから鉱山があることかな。ブリュト商会で販売する商品を作るのに鉱石がほしいと思ったので鉱山があるセジャーカの街に行こうと思ったんだ」


「観光地はないの?」


 クララもカルラと同じレベルだった・・・

 プリッツも可哀想に・・・


「観光地は近くにルイジ湖があるかな。セジャーカの街に赴任したことがある家臣に聞いたんだけど、ルイジ湖は少し高地なので涼しくこの季節の避暑には丁度良いし、景色も綺麗だから目を楽しませてくれるって言っていたね」


「滞在は1週間の予定よね?・・・そのルイジ湖には行くのよね?」


「セジャーカの街で2泊してからルイジ湖の別荘に移るよ。そこで5泊して帰路につくことになるね」


 本当はもっと色々と見て回りたかったけど、護衛の騎士と一緒だと気軽にあっちこっち行けないし、何より移動速度が遅くて仕方がない。

 俺1人っていうか、この馬車だけなら悪路も関係なしで速度を上げてあっちこっち行って色々な町を見て回るのにな。

 成人した暁には子爵も良いけど冒険者にでもなって世界中を見て歩くってのも良いかなって思う。


 そんな感じであれこれ話しながら―――主にカルラとクララだけど―――セジャーカの街に向けて進む。


 途中で立ち寄った村で村長の家に泊めてもらったのだが、その時にこの先は盗賊が住み着いており困っていると聞いた。

 そしたらカルラが盗賊退治をしようと言い出してしまった。

 ここはブリュトゼルス辺境領でもないし、カルラの家が治める土地でもない、勿論クララ兄妹も関係ない土地なので下手なことはできない。

 ここで俺の護衛に連れてきた騎士たちを動かしたりするとこの土地を治める貴族に対して敵対行動とも取られかれないのですよ。


「クリストフはこのまま盗賊を放置するって言うのっ?!」


 カルラ君や、鼻息が荒いですよ。


「こちらから動くのは良くないけど、向こうからやってくるのを退治するのは問題ないよね。寧ろ色々と言えるよね」


「クリストフ・・・お主も悪よのぉ~」


 クララ君や、君は何処の悪代官だい?


「でも、騎士たちに守られた僕たちを襲うかな?」


 ペロン君、久し振りの登場ですね。


「それは襲いたくなるように仕向けるしかないね」


「それってどんな風に?」


 プリッツ君、君はヘカート家の次期当主なのだからこういう悪だくみ・・・じゃなかった、策略を練ることもできるようにならないとね。


「私たちが運んでいるものが金貨数千枚って噂が立ったら盗賊はどうでるかな?」


「あ、それいいね。盗賊ってバカだから金に目が眩んでのこのこ現れるんじゃない?」


 バカかどうかは分らないけど、バカ寄りだとは思うよ。

 だって、盗賊なんかしているんだから。

 俺が思うに盗賊って割りにあわない気がするんだよね。

 だって、捕まったら死罪か一生犯罪奴隷となるんだから、こんなリスクを負うぐらいなら真面目に働いた方が良いんじゃないかなと思うのだけど・・・

 人それぞれかな・・・


 でも俺の前に出てきたら容赦はしないよ。

 ここはブリュトゼルス辺境領ではないから積極的に動かないけど、貴族ってのは一歩間違えれば盗賊と同種の人種になってしまうから、その貴族の端くれである以上、盗賊と同種とならないためにも民を守ることが絶対条件なわけよ。

 貴族と民の関係は、民が税を納める代わりに貴族は領地の整備と民を守るってものだと思うんだよね。

 じゃなければ、貴族なんてただの害悪でしかないわけですよ。


 貴族だから搾取するのが当たり前だと思っている貴族ってのは盗賊となんら変わらないと俺は思っているから、この一線は絶対条件だと思うわけですよ。


 

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