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027 新商品

学年の表記を変更しました。

1期生 → 1回生


15年7月9日

誤記修正

顔をだしたから → 顔をだしてから


15年10月18日

誤記修正

障壁の指輪 → 障壁の腕輪

 


 週末はブリュト商会に赴き、現状確認をする。

 最近は奴隷も接客に慣れたようだし、魔術師奴隷たちのマジックアイテム生産についても不良率がかなり減っている。

 つまり商売の方は軌道に乗ったという感じだ。


 で、今日は新商品として常時発動型の防御障壁を展開する腕輪を魔術師奴隷のセルカに教える。

 この防御障壁は時空属性の無色無臭の障壁を展開するものなので、時空属性に適性があるセルカに作成を任せることにした。


 ロックやジャモンは羨ましがって自分たちにも新商品をと懇願してきたので、次は2人にも新商品を任せると言うと引き下がっていった。

 ジュリエッタは今の仕事にやっと慣れてきた。

 ジュリエッタとセルカの魔力は相性が良いので最近ではウォータリングの作成の他にセルカの補助で魔力水の作成をしているので新商品と言われてもキャパ的に難しいだろう。


 売り上げに関しては順調で、平均すると1日に19万Sの売り上げになる。

 月に570万S以上を売り上げており、日本円で月商5700万円相当です。

 新商品を出すとまた忙しくなると思うが、今度発売する障壁の腕輪は作成に時間が掛かるので販売数は多く見込めないし材料費もそこそこ高いので高額商品になる。


 何と言っても腕輪自体が銀製で付与している属性が珍しい時空なのだからプレミア商品として販売することにしたのだ。


「障壁の腕輪には魔力供給源として魔結晶を使っているので、一定間隔で魔結晶の販売も見込める。障壁の腕輪は20万S、障壁用魔結晶は5万Sで販売をするけど、この2つは値引き対象外の商品とするから明記しておいてほしい」


 ブリュト商会では一定金額以上を購入すると最大で3割引きしているが、元々の販売額が高いこの2種類は対象外とした。


「それとこの障壁の腕輪は常時発動型のマジックアイテムになるので魔結晶は5ヶ月ほどで魔力切れになる。4ヶ月毎に魔結晶の交換作業が必要になると説明をすること。あ、5ヶ月ってことは言わなくていいからね。それからこの説明書が箱に入っているかも確認して販売するように。シリアルナンバーについてもしっかり控えてほしい」


 障壁の腕輪は魔結晶の魔力を消費するので魔結晶の交換が5ヶ月ほどで必要になる。

 このことを周知しておけば魔結晶の魔力が無くなり発動しなかったと言われてもこっちには落ち度が無いと言える。


「シリアルナンバー0は店頭でのデモンストレーション用にする。クランプ、剣で私に切りかかってくれ」


「え? しかし・・・」


 奴隷が主人に攻撃を加えるなど有り得ないからか、クランプは躊躇する。


「大丈夫だ、やってくれ。命令だ」


 ここで護衛騎士のプリメラが止めにはいるが、これを説得しクランプに剣を振るように指示をする。

 奴隷の誰かに障壁の腕輪を嵌めさせ試しても良いのだが、こういうのは俺自身が体を張るのが一番だろう。


 仕方が無くクランプが俺に向かって剣を振る。

 クランプの剣は俺の右肩へ向かって振り下ろされたが、俺の20cmほど手前で剣が見えない障壁に遮られ止る。


「この障壁の腕輪には空間属性の魔法を付与している。上級魔法程度であればしっかりと防御ができる。これは何度も検証しているので間違いない。だが、特級魔法の場合は障壁が破壊される可能性がある。特級とは書いていないが説明書には強力(・・)な攻撃には耐えられないと記載している。口頭でも強力な攻撃には耐え切れないと言っておいてくれ」


 俺の検証では特級でも問題なく耐え切れていたが、特級だと言って特級魔法で破壊された時に面倒だし、状況によっては上級で破壊されることだってあるかも知れないから敢えて強力な攻撃と言わせることにした。

 ・・・自分でも日本人的な考えだと思うよ。


 全員が頷くのを確認して説明は終了だ。


「フィーリア、後は頼んだよ。私は屋敷に顔をだしてから寮に戻る」


「はい、お気を付けて」


 屋敷に戻ると母上が迎えてくれた。

 入学式より日が経っていないので俺的には寂しくも懐かしいという感じもない。

 だが、母上は俺の顔を見れて嬉しいとはしゃいでいる。

 身重なのにそんなにアクティブに動いて良いのか?


 父上は執務室に居たのでついでに顔を出しておいたが、父上にはバカボンとの決闘について既に伝わっていた。


「あまり無茶をするな。セシリアが知ったら心配するではないか・・・」


「申し訳ありません」


「勝機はあるのだろうな?」


 どうやら父上は決闘のことは怒るどころか肯定してくれるようだ。


「寧ろ負ける要素を探す方が難しいです」


「ふははは! そうか、そうか。ならばブレナンの小倅(こせがれ)を完膚なきまでに潰せ。徹底的にやれ、後腐れの無いようにな!」


 父上のブレナン侯爵嫌いは徹底している。

 大貴族には色々あるのだろう。

 てか、バカボンの親ならそれなりの大馬鹿なのかも知れない。


「本当に構いませんか?」


「構わん! 父親は私利私欲を肥やすだけで陛下を蔑ろにする輩だし、その子も悪い噂しか聞かんからな。国賊共こくぞくどもに目に物見せてやれ! 何かあっても我が家の総力をあげてお前を守ってやる」


 父上は日頃は温厚なのだがここまで過激になるとは・・・ブレナン侯爵が相当に嫌いらしいな。


「ありがとうございます」


「だが、セシリアには内密にするのだぞ。今は大事な時期だからな」


「はい!」


 父上の許しも貰った。

 予想以上の許しをもらってしまったが、これで思う存分にバカボンを叩きのめせる。


 あれ? まったり生きていくんじゃないのか?

 まぁ、個人の価値観を云々言う気は無いが、俺や俺の友達に不快感を与える者を早めに駆除するのもまったりと生きていくためには必要だろ?

 ははは、そういうことにしよう!


「それと以前から進めていた砂糖工房が完成した。すでに陛下にはお許しを頂いているので、クリストフから上白糖の生産権を1000万Sで買い取る」


 上白糖については父上の要望もあり当初から生産権を譲渡する予定だったので父上は急ピッチで体制を整えていた。

 当然のことだが上白糖は俺が魔法で生産していたので、それを魔術化し魔法陣を書き込んだ上白糖の生産設備を導入した工房の建設と人員の配備が終わったということだ。

 ただ、国王陛下から生産の独占の許可を貰っているとは思わなかった。

 俺が見つけた生産方法なので独占しても文句を言われる筋合いはないし、他に生産できる者が居ない以上、独占になるのだけどね。


 父上は俺に上白糖の生産権譲渡の書類を差し出しサインを求める。


「解りました。では今後はブリュト商会に1壷3000Sで上白糖を卸していただき、他の商会には7000S~10000Sで卸すことでお願いします」


 スラスラとサインをし、これでブリュトゼルス辺境伯が国内産の上白糖の生産権を持つことになる。

 え、ブリュト商会と他商会では価格差があり過ぎるって?

 当たり前じゃないか!

 上白糖なんて金のなる木の生産権をたった1000万Sで譲渡するんだし、しかも一族だし、価格的に超優遇があって当然じゃん。

 ん、独禁法に抵触するって? そんな法がこの世界にあるわけ無いじゃん! あったら陛下の許可もアウトだし。


「上白糖の生産については他に3家に声を掛けている。最終的には我が家を含め4家による国内生産を行うことになるだろう」


 富の独占は妬みの元だし、他に3家も上白糖を作る家があれば当家に対しての風当たりは少なくなるってことだね。

 抜け目がないですね。


「よってあの生産設備を4機生産することにした。1機100万Sで中央部の作成を4機分頼む」


「はい、ご注文ありがとうございます」


 生産設備の中央部とは、投入した材料を糖分とそうでない部分に分解抽出し、糖分を上白糖に生成する部位のことを言う。

 この中央部に俺の魔法陣が書き込まれておりブラックボックス化しているので、上白糖の生産設備を増産するには俺から中央部を購入しなければならない仕組みだ。

 父上の方では中央部以外の部品の生産と組み立てを行うことになるが、他の3家にそれなりの値段で売ることになるから儲けもあるだろう。

 因みに1機は既に父上に販売済みです。


 父上に聞いたら、上白糖の生産は神聖バンダム王国の北部、西部、東部に領地を持つ貴族家に声を掛けているらしい。

 王都がある中央とブリュトゼルス辺境伯家の領地がある南部は、ブリュトゼルス辺境伯家が上白糖を生産することになるので、それ以外の地域で現地生産させ国内の供給体制を整えるということらしい。




 休みが明けて登校すると俺とバカボンの決闘の話題が広まっていた。

 ブルーム先生から決闘は単位修了試験期間が終了した来月の5月3日の放課後に教師の立会いの下で行われることになったと聞いた。


 しかも1回生だけではなく何故か2回生や3回生にも噂は広がっていた。


「何でこんなに決闘の話が広まっているんだ?」


「ワーナーが広めているのよ。あのバカはクリストフが数年前まで寝たきりだったことを知っているから魔法や魔術に長けていないと思っているのよ」


「え? でもクリストフ君って、入学試験の実技試験で校舎を破壊するほどの魔法を使ったって聞いてるよ?」


 カルラの情報にペロンが俺の闇の部分を掘り返してくる。地味にSPが削られる。


「そのこともマジックアイテムの力を借りたから実力じゃないって言いふらしてるわよ!」


「・・・試験で使っていいのは魔術書だけだったと思うけど?・・・それに決闘ってマジックアイテムも使っていいんだよね?」


「そう聞いている・・・あいつ本当の馬鹿だな」


 決闘は本人限定で1対1という条件で、何でもありと聞いている。

 学生の決闘に何でもありっていうのもいいのかと思うが、あのバカボンがどうしてもとゴリ押ししたらしい。


 どこからそんな自信が生まれるのだろうか?

 父親が大貴族の侯爵だからアーティファクト並のマジックアイテムを持っているのだろうか?

 油断する気は無いが、何をしてくるか分らないから準備だけはしっかりとしておこう。


 

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