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012 入試1

15年6月23日

少し加筆しております。


15年6月27日

誤記修正多数。

 


 神聖バンダム王国には王立騎士学校と王立魔法学校がある。

 どちらも王都に存在する学校で優秀な人材を確保するために公民以下の平民階級にも門戸を開いており、更に優秀な者には授業料や寮費の補助があり、希望すれば生活費の補助を行う特待生制度まである。


 これほどの特待生制度を導入しているのは神聖バンダム王国だけで、他国では類を見ない。

 こういった特待生制度は勇者だった初代国王が制定したことで、代々受け継がれているのだ。


 勿論、特待生制度を利用した者は卒業後に一定期間国に仕えるか、受け取ったお金を国に返金し自分の成りたい職業に就くことになる。

 特待生制度を利用した者は優秀な者であるので、その者が国に仕えることは国にとってプラスになるし、仮に他の職業を選んだとしても優秀な人材を育てていることで神聖バンダム王国全体としてはプラスになるのだ。


 基本的には王立騎士学校を卒業した者は騎士団や軍に就職し、王立魔法学校を卒業した者は宮廷魔術師団や官僚として国に仕えることが多い。

 それ以外には出身地の貴族家に仕えたりすることも多いので、この2校の入学希望者は多いのだ。


 今年の王立魔法学校の入学希望者は定員300名に対し、588名の希望があったので、倍率1.96倍の狭き門となっている。


「筆記試験は王国史・世界史、算術、国語です。時間はそれぞれ50分で休憩が10分ですが時間内に終了した場合は席を立っても構いません。但し、その試験の時間中に再び会場に入ることは許されませんのでそのつもりで。最初は王国史・世界史です。では、筆記試験を始めます」


 簡単な説明で入学試験の筆記試験は始まった。

 午前中は筆記試験を行い、午後は実技試験になるそうだ。


 俺はこっちの世界に転生してから言語を覚えるのに歴史書を読み漁ったので意外と歴史問題は得意だ。

 恐らくほぼ満点を取れるだろう。


 次の算術も現代日本の数学の授業を受けてきた俺には朝飯前の問題ばかりだったので、こちらも満点に近い点数が取れると思う。


 最後は国語だが、歴史書や魔法書だけでは無く色々な本を読み漁っていたおかげで国語も問題なく満点が取れるレベルだろう。


 俺は成人後に子爵に叙爵されると父上は言うが、辺境伯家の次男なので下手をすれば飼い殺しになる。

 父上を見ている限りそんなことにはならないと思っているが、未だ顔を合わせていない兄上も居るので安心はできない。

 なので自立するためのステップとして王立魔法学校を利用させてもらおうと思う。


 だから、全力で満点を取りに行く!


 ただ、あまり中央に近付きたいとは思っていないけどね。


 3教科共30分ほどで見直しも終わったので他の受験者にプレッシャーをかけるために余裕を見せて会場から出ていくと、3回目には殺気が発せられた気がしている。

 俺の入試トップ10(テン)入りを確実にするためには卑怯ではないやり方で他者を蹴落とすのは当然のことだろう。

 勿論、上位の成績を取るためにカンニングや身代わり受験などする気は無い!

 あくまでも実力あっての話である。


 昼の休憩を挟んで午後は実技試験だ。

 貴族の子弟から順番に実技を行うそうなので、俺は比較的早い時間に順番が回ってくるらしい。


「下賤の者が貴族に混じり試験を受けるなど腹立たしい」


 昼の休憩も終わろうかという時に貴族のボンボンたちが話しているのが聞こえてきた。


「全くです! 特にワーナー様のような侯爵家の方と一緒に平民らを受験させるとは、教師たちは何を考えているのでしょうか?!」


 何を考えているのはお前たちだろ?

 この王立魔法学校の校風を知らずに入試を受けているのか?

 こいつらバカだろ?


 この王立魔法学校の校風は身分と種族の差別無く切磋琢磨するというものだ。

 過去の卒業生で優秀生徒に表彰される者の半分は平民階級だと聞くぞ。

 お前たちが卒業する時に優秀生徒として表彰されなければ恥だと思えよ。

 貴族と平民では教育の根底が違うのだから、アドバンテージを持っているのに追いつかれ、追い抜かされたら恥だぞ。

 あ、その前に入学できるか分からないけどな。


 俺はバカな貴族のボンボン4人組を汚物を見るような目で見ていた。

 バカのボンボンでバカボンだな。


「ん? 貴殿もそう思わないか?」


 俺が見ていたので同類だと思ったのか、俺にまでトロイ振りをしてきた。

 声を掛けないでよ同類だと思われたくないから。


「この学校の校風は身分や種族の差別はしないはずですね。貴方たちは受験する学校を間違えていると思いますよ? 今からでも受験を辞退し狭い世界で優越感に浸っているといいと思いますね」


「なんだとっ!」


 俺の論理的な提案に顔を真っ赤にしたバカボン4人組が椅子を倒さんばかりの勢いで立ち上がったのを見て、周囲の空気が冷えるような錯覚を覚える。


 4人組が俺の周りを取り囲む。

 短絡的だな。

 親に権力があるとこうなってしまうのだろうか?

 反面教師にしなければ!


「君は僕がブレナン侯爵家の者と知って言っているのかい?」


「すみませんね、田舎者なので侯爵家に知り合いが居ません」


「ならb「だから気安く話しかけないで下さい」キサマっ!」


 こんなバカボンと友達だと思われたくないし~。


 バカボン4人組の中で一番体が大きいソバカス豚の男が俺の胸倉を掴み立たせる。

 ちょっと服がやぶれたら弁償してもらうからね。

 てか、俺の身分を確認もせずにこのような行為を行うのは自滅ものですよ。


「おい、ブレナン侯爵家のワーナー様を侮辱してただで済むと思っているのか?」


 何これ、ヤクザですか? てか、チンピラですね!


 

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