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器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。  作者: 武雅


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戦いの後

ウェアウルフとそれを率いていた白い魔獣を倒した後、カトレアとルイーズさんはウェアウルフの死骸を血抜きしてから一か所に集める作業をはじめた。


あ~、多分自分のアイテムBOXに収納させて持ち帰る気だ…。

まあいいんだけど。

そんな作業を眺めつつ、自分は身体全体に回復魔法をかけて身体を癒し続ける。

白い魔獣はカトレアの言っていたレイムダリーアと言う魔獣で、身体は大きいが若い個体との事だった。


どう見てもネコ科のレイムダリーアがイヌ科のウェアウルフをどうして統率していたかは謎だったけど、カトレアいわくレイムダリーアがウェアウルフを狩って餌にしようとした際にウェアウルフが勝手に服従したんじゃないかとの事だったけど、そんな事ってあるのか?

イヌは忠誠心に厚いって言うけど、流石に野生のウェアウルフが服従するとは思えないんだけど、それ以外の理由は思いつかないし、そういう事でいいか…。


空が白みだす頃には、ウェアウルフの死骸は一か所に集められ後はアイテムBOXに収納するだけという状態になっていた。

自分はやっとの事で歩いて動くことが出来る状態までは回復したものの、魔力の枯渇気味で回復魔法を全開で使用できない為、全身筋肉痛のような状態で何とか歩いている感じだ。


「カツヒコ、これ全部アイテムBOXに収納して頂戴」

カトレアはこともなげにそう言うと、野菜を収穫しに畑の方に向かって行った。

ルイーズさんに至っては朝飯が出来たら起こしてくれと言い、拠点としていた家に戻りひと眠りしている。


なんか完全にポーター扱いされているような…。

とは言え3人の中で最弱だから当然と言えば当然なんだけど、依頼の魔獣を倒したんだし少しは労わってくれてもいいのに。


そんな事を思いつつ、ウェアウルフの死骸をアイテムBOXに収納し、拠点としていた家に戻る。

レイムダリーアに関しては、ほとんど手に入らない得物なので血抜きはせずアイテムBOXに収納するように言われた為、傷口を氷魔法で凍らせて収納をしている。


拠点の家に戻るとルイーズさんは爆睡をしており、カトレアは野菜と肉で煮込み料理を作っていた。

「カツヒコ、朝食が出来るまでまだしばらくかかるから少し寝てなさい。 私はある意味数日寝なくても大丈夫だから」


そう言いながら料理を続けるカトレアにふとした疑問を投げかける。

「そういえば、戦闘中に思いっきり瘴気を振りまいたけどアレ大丈夫なの? ルイーズさんとかカトレアの事教えてないから後々面倒事にならない?」

「ああ~、あれね、ルイーズには聞かれたら答えようかと思うけど、言いふらすような人間では無いから大丈夫でしょ…。 それに私が瘴気を振りまいて周囲の気を惹かなかったらあなた死んでいたのよ」


「いや、まあそうなんだけど、あれだけ強い瘴気を振り撒いた以上ルイーズさんに黙ってていいのかなって…。 一応今まで信頼関係を築いてきたわけだし、説明をしておいた方が良いんじゃないかと思うんだけど」

「そうね、どうせ今日はここで休息して明日出発するつもりだから、朝食を済ませた後にでも話すわ、だからそんな事気にせずあなたは少し寝なさい」


身体は全身筋肉痛のような状態でかつ緊張の糸が切れた事で急激に眠気が襲って来たのでカトレアの言う通り板の間に横になり目を閉じるとそのまま急速に闇の中に意識を吸い込まれていった。


「カツ…」

「カツヒコ…」

「カツヒコ起きなさい!!!」


何処からかカトレアの声が聞こえる。

聞こえるけど、瞼が重く目を開けるのが億劫だ。


ゴン!!!

「カツヒコ!! 起きろって言ってるでしょ!!!」


頭に強烈な痛みが走り、まどろみから一瞬で覚醒する。

「カツヒコ! すぐに装備を整えなさい!! もう1匹、それも夜のとは比べ物にならない奴が向かって来てるわ」


カトレアは真剣な表情でそう言うと、拠点としている家を飛び出して行く。

夜のとは比べ物にならない奴?

…。

……。


「マジか!!!」

慌てて飛び起き、皮鎧を身に着け剣を持って家を飛び出し門に向かう。


門に向かうと、カトレアとルイーズさんはすでに門の前で臨戦態勢とも言うべき状態で森を凝視している。

「おお、カツヒコ起きたか。 良く寝てたな、昼を過ぎてもう暫くしたら日も沈みだす時間だぞ!」

「ええ~~!!! 朝食出来たら起こしてくれるって言ってたのにもう夕方近くなの?」


「あなた、朝食が出来た時も、昼食が出来た時も、何度呼んでも起きなかったでしょ!!」

全く記憶がない、いやむしろ爆睡していて呼ばれたことすら知らない…。


「そんな事はどうでもいいわ、もうすぐ森から出て来るわよ、カツヒコあなた気を抜いたら一瞬で死ぬわよ、集中しなさい!」


そういい、カトレアは剣を抜き、ルイーズさんはバトルアックスを構えゆっくりと森の方へ歩き出す。

自分も数歩遅れて剣を抜き歩き出した時、大型犬ぐらいの大きさの白い魔獣、レイムダリーアが 1匹悠然とした歩みで森から現れる。


「カツヒコ、お前は戦いに加わるなよ! 自分の身を守る事だけに専念しろ!」

いつもと違い、緊張した声のルイーズさんを見ると、動いても居ないのに身体じゅうから汗が噴き出している。


「ルイーズとカツヒコは下がってなさい、あれはあなた達じゃ相手にならないどころか一瞬で殺されるわよ」


いつになく真剣な表情のカトレアがそう言った直後、

ガキィィィーン!!!

キィィィーン!!


森から悠然と出て来たレイムダリーアとカトレアが視界から消え、金属同士がぶつかり合うような音が数度し、直後間合いを大きく取ったカトレアとレイムダリーアの姿が視界に飛び込む。


「い、いま何が? 音しか聞こえなかった…」

「カトレアの剣とレイムダリーアの爪がぶつかった音だ、目で追うのがやっとで、あたしでも完全に動きをとらえきれなかった」


全身から噴き出した汗をぬぐう事も無く立ち尽くすルイーズさんがそう言うも、次元の違う戦いを目にし驚きと悔しさがにじみ出ている感が伝わって来た。


レイムダリーアは対峙するカトレアに対し強い殺気を飛ばすでもなく悠然と尻尾を揺らしている。

「ふむ、汝らが我が子を殺したのに間違いないな、じゃがそなたからは我が子の匂いはせん。 残る2人のうち我が子を殺したのはだれじゃ?」


し、喋った~~~~~!!!!!!

カトレアからは人の言葉を話す個体も居るとは聞いていたけど喋る魔獣を初めて見た!!!

ルイーズさんも言葉を解す魔獣は初めてではないにしろ喋る魔獣は初めてだったようで驚いたような表情をしている。


「ふむ、だんまりか…」

「いえ、多分、霊獣の域に達し言葉を話すレイムダリーアを前にして驚いて言葉が出ないだけよ」


「ほぅ、そういうヌシは平然としておるようじゃが?」

「そうね、私は魔獣や霊獣と言葉を交わすのは初めてじゃないからかしらね。 とは言え霊獣の域に達したレイムダリーアは初めて見るわ」


恐らく両者はいつでも攻撃を仕掛けられる状態なのだろうと思うけど、互いに戦いをしているとは思えない程ゆったりとした感じで言葉を交わしている。


「そうか、縄張りを飛び出して行ったわが子の匂いを追いかけ来てみたら、ここで匂いが消え、代わりに血の匂いがする。 そこの女…、いやその後ろに居る小僧より血の匂いがする…。 汝が我の子を殺したのか?」


怒りは感じない、殺気も感じない、ただ悠然としたレイムダリーアの問いで我に返り言葉を発する。


「そうだけど、死にかけるぐらい苦戦したけど何とか勝って討伐した」

「ほぅ、一人で戦ったのか?」


「そうだけど。 カトレアとルイーズさんはレイムダリーアが率いて来たウェアウルフ200匹近くと戦っていたら自分目掛けて襲い掛かって来たから応戦して倒した」


レイムダリーアは自分を無言で見つめ、そして興味を失ったのかカトレアの方に視線を戻す。

「嘘はついていないようだな、あの者と剣から我が子の匂いと血の匂いがする。 1対1で戦い敗れたか…。 それで小僧! 我が子は正々堂々戦ったか?」

「レイムダリーアの正々堂々って言うのがどういうものかが分からないけど、卑怯だと思う事は無かった…。 むしろ自分は剣だけじゃなく魔法を使って倒したから自分の方が卑怯と言われても言い返せないけど…」


「ふぁははははは、面白い小僧だ、魔法を扱う者が魔法を使い戦うのは当然の事であろう? そんな事は卑怯とは言わんぞ」

「そうなの? ガチで力勝負しなかったから卑怯と言えば卑怯かと思ったんだけど…」


「ふん、人間が我らレイムダリーアと力勝負だと? 笑わせる…。 人と獣、身体の造りも育ちも違う者が力勝負など出来る訳が無かろう! じゃがおヌシのような小僧は嫌いではない」


そう言い、機嫌良さそうに話すレイムダリーアを前に、いつの間にかカトレアは剣を鞘に納め、成り行きを見守っている。


いやカトレアさん?

剣を鞘に納めちゃだめでしょ!!

襲い掛かってきたらどうするの?


自分もルイーズさんも瞬殺されますよ!!!

お読み頂き誠にありがとうございます。

ブックマーク、評価を頂けると大変励みになります。


また、どなたかレビューを書いてくださる猛者は居ませんでしょうか?

と思う今日この頃…。


既にお読み頂き、ブックマーク・評価、感想を下さった皆様、誠にありがとうござます。

拙い文章・誤字脱字が多く読みづらく申し訳ございません。


あと、図々しいお願いではございますが、評価頂ければなお幸いでございます。

また、誤字、気になる点のご指摘等誠にありがとうございます。

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