エピローグ
始まりがあるのなら終わりもある。
漫画、パンドラの契約者のそれは連載から丁度9年目のことだった。
【パンドラの契約者を語るスレ3469】
1:名無しのパンドラー
パンドラの契約者なら何でもOKの雑談スレです。
喧嘩、アンチはNGでお願いします。
只今、完結5秒前。
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712:名無しのパンドラー
遂に、終わってしまった。感無量だわ。
713:名無しのパンドラー
最後の最後まで良かった。9年間楽しかった。
714:名無しのパンドラー
もう、パンドラちゃんのおみ足が見れないなんて! 俺は明日から何を楽しみに生きていけばいいんだ⁉︎
715:名無しのパンドラー
↑はあのラストを見て、よくその軽口が出てくるな。俺は悲しすぎてやるせないんだけど。
716:名無しのパンドラー
パンドラちゃん。結局、最後まで黒矢に想いを告げずにさよならかよ……泣ける。
717:名無しのパンドラー
戦いが終わって、悪魔が消えて、黒矢と葵がこれから普通の生活に戻って……確かにすっきりしたハッピーエンドだけどさ、でも、パンドラちゃんがいつまでも側にいてもいいじゃないか? と、どうしても思ってしまう。
718:名無しのパンドラー
↑わかる。非常にわかる。
719:名無しのパンドラー
あああああ! パンドラちゃん! パンドラちゃんがあああああ! (ノД`)・゜
720:名無しのパンドラー
パンドラちゃん! 逝かないでくれえええ!
721:名無しのパンドラー
くそう! あのラストは酷くないか⁉︎ 本屋で立ち読みして、つい人目もはばからずに号泣してしまった。
722:名無しのパンドラー
↑買えよ、馬鹿!
723:名無しのパンドラー
↑単行本は買うよ。パンドラちゃんにはいつまでも、俺の側にいて欲しい。
724:名無しのパンドラー
↑馬鹿やろう! パンドラちゃんは俺の嫁だ!
725:名無しのパンドラー
最終話、読み終わったからやってきたぜ! やっぱり、パンドラちゃんがせつないな。葵派の俺も今日だけはパンドラちゃんの為に泣くわ。ところで、もう続編出ないのかな? パンドラの契約者2とか?
726:名無しのパンドラー
出ないだろ? 確かに悲しい最後だったが、これ以上ないってくらいに綺麗に終わってる。伏線も全部回収されてるし、これ以上は蛇足にしかならない。
727:名無しのパンドラー
わかんねえよ? 例えば、日常に戻った紫歌ちゃんだけど、その何気ない日々のなかで、「私、やっぱり黒矢くんのことが……」と、ドロドロの三角関係に。
728:名無しのパンドラー
↑おい! 馬鹿! 止めろ! ジャンルが違うだろう⁉︎ なにより、あの清純ビッチな紫歌ちゃんなら本当にやりかねないから怖えんだよ!
729:名無しのパンドラー
あれだけ世の中を騒がしながら、最終的には、悲劇のヒロインとして助けられた怪物だしな。きっと、親友の恋人を寝取るぐらい、容易くやってのけるだろう。
730:名無しのパンドラー
隣人を助けたいという、天使の如き慈愛の心を持ち、悪魔に取り憑かれても、必死に抗い、少しでも犠牲を減らそうと孤独な戦いを続けた紫歌姫の事を悪し様に言う奴を俺は許さない。727、728、729が将来、つるっ禿げになる呪いをかけてやる。
731:名無しのパンドラー
↑はなんて恐ろしい呪いを⁉︎ 怖すぎる。
732:名無しのパンドラー
729だが、確かに恐ろしい呪いだが、俺には効かない。何故なら既に禿げている。
733:名無しのパンドラー
wwww。でも、まあ、パンドラの契約者はこれで終わりだろ。むしろ、瀬戸先生には次回作を期待するわ。
734:名無しのパンドラー
大作の次は凡作っていうね……。
735:名無しのパンドラー
漫画家あるあるだ。そもそも、次回作を作るかもわからないしな。パンドラの契約者の印税だけで、一生、遊んで暮らせるだろ。
736:名無しのパンドラー
それでも、次回作を切に希望する。
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パンドラの契約者の最終話が雑誌に掲載されてから、早5日。僕はこの5日間を、のんびりと過ごしていた。
時折、雑誌の最終話を見返しては、終わったんだなぁ……と感慨にふけっている。
およそ9年間の連載は、楽しく、やりがいもあった。
アニメ化もしたし、映画化もした。常盤さんから借りていた金塊は3巻が発売された頃に返したし、10巻を出した頃に家を建てたりもした。今の僕は一人前の漫画家だと誇ってもいいんじゃないかな。
でも、同時に凄く大変でもあった。締め切りに苦しむ事もあったし、キャラのデザインに悩むこともあった。何より常盤さんが、突拍子もないワガママを言い出すことが度々あって、それが一番大変だった。山崎さんなんて胃潰瘍で入院したぐらいだ。
当時は、振り回されるたびに「もう、勘弁してくれよ」って思ったけど、全てが終わった今となっては、少し懐かしい。
そして、
「今日のお昼は、常盤さんの分も作るね」
今日は、約一月ぶりに常盤さんがやってくる。
「ありがとう、花梨……でも、今日は仕事はいいのかい?」
「うん。今日はお休みです。私がそう決めました」
「そうなんだ……」
花梨は現在24歳、2年前に大学を卒業して、今は大学中に創設した会社の社長をやっている。
親の贔屓目を差し引いても、凄い娘だと思う。
きっかけは律子ちゃんとの動画作りだった。丁度、僕が連載を始めた頃に、律子ちゃんは動画作りを始めたらしいんだけど、花梨はそんな律子ちゃんを頻繁に手伝っていた。時折、完成した動画を見たけど……というか見せられたんだけど、確かにこう、ホッとしたり、優しい気持ちになったりと、少なくとも僕はいいと思っていた。
そして、二人の動画作りは、二人が同じ大学に進学してからも続けられたんだけど、
「お父さん! 大学ですっごい人達に出会ったよ! 同い年だけど、もう二人ともすっごいの! でね! 今度、私とりっちゃんとその二人で動画作る事になったの!」
ある時、花梨が目を輝かせながら、そんなことを言った。
僕はへーって、その時は感心しただけだったんだけど、でも後から、花梨に、
「今度、みんなで会議するからウチに呼んでいい?」
って訊かれて了承した時に、花梨を含めて4人が集まっている所を見て、ビックリした。良くも悪くも個性的メンバーだった。
一人一人で切り取ってみると、どの娘も美人さん揃いなんだけど、4人が集まってると、物凄いカオスな感じになるというかなんというか。打ち合わせの様子がまるで、映画で見る赤穂浪士の討ち入り前を見ているようで……。うん、とにかく凄かった。
そんなこんなで、律子ちゃんを監督とした4人組で動画を作るようになったらしいんだけど、花梨が大学3年の頃に、
『例え、明日、人生が終わるのだとしても、青空の下を歩こう』
という凄く挑戦的なタイトルの作品が、物凄い反響を呼んだ。
僕も目を通したんだけど、凄いインパクトだった。とにかく無性に外に出たくなる作品で、その日から僕のライフスタイルに散歩が加わり、今に至るまで続いている。
そして、それを見た引きこもりの人や不登校児が、家の外に出て、学校に通い出したり仕事に就いたりと社会復帰した、という例が相次いだ。
それこそ何十件という報告が寄せられ、その怪奇現象が全国ニュースとして取り上げられると、ほどなくして社会現象にまで発展した。
今では、『青空の下を歩こう』は文部省や厚生労働省が推奨する社会復帰プログラムに取り入れられている程だ。
そして、『青空の下を歩こう』が注目されると同時に、これまで律子ちゃんが作ってきた動画も脚光を浴びて、律子ちゃんは一躍有名人。世間からは風景アーティストとか、そんな呼ばれ方をされる様になった。
そんな経緯で時の人となった律子ちゃん……というか4人は、その流れに乗り、程なくしてアスティという名前のグラフィック会社を立ち上げた。4人だけの小さな会社だが、これまでの経緯から数多くのスポンサーが名乗りを挙げて、仕事の依頼も殺到した。
そして何故か花梨が社長の役に就いた。
社長は律子ちゃんじゃないの? と疑問に思って花梨に尋ねると、花梨曰く、
「私以外の全員が、こだわりの職人さんタイプだからね。消去法で私が社長なんだよ」
との事だった。
僕はそんな花梨のことを、凄いなあ、と思う反面、心配もしたので、
「もし、資金繰りに困ったりして借金するぐらいなら、僕を頼って欲しい」
そう言ってあるが、今のところ順調そのもので、僕に頼る様子は全然ない。
花梨は花梨の人生を歩いている。
それに、交際している異性もいるらしい。まだ、名前も知らないけど、今度、僕に紹介するそうだ。
僕に紹介するってことはそういうことなんだろうけど、正直、複雑な気持ちだ。
この気持ちは娘を持つ父親なら分かってくれるだろうし、そうでない人には分からないと思う。
ピンポーン。と、家のチャイムが鳴った。常盤さんだ。
僕は考えごとを一旦中断して、玄関まで常盤さんを迎えに行った。
「やあ! 久しぶりだね!」
朗らかな第一声を聞いて僕は、ーー確かにそうだ。と、そう思った。
連載中は一月、顔を合わさないなんてことはあんまりなかった。改めて、終わったんだと感じてしまう。
「確かにそうですね……どうぞ、入って下さい」
そう促して、いつもの茶の間に案内した。
そして、いつもの様に座布団に座ると、花梨がお茶を用意してくれたので、有り難く頂いた。
「いやー、雑誌を見たけどね、最高のラストだったよ! 感動のあまり、つい泣いてしまった」
そんなことを言う常盤さんに僕は苦笑した。
「いや、常盤さん、入稿前に何回も見たじゃないですか?」
「それはそうだけどね、雑誌で見るのは、また別の話だよ。最後のページの、ご愛読ありがとうございましたの一文も哀愁を誘ってくるしさ」
それからしばらく、僕たちはパンドラの契約者の話をしてから、本日の要件である。パンドラの契約者の最終巻の打ち合わせに入った。
といっても、もう最後のページまで描き切ってあるので、仕事としては、ほぼ終わっている。あとは、あとがきとか、本当に細かいことが2個、3個残っているだけだ。
最終巻では、僕と、常盤さんと、轟先生のあとがきが入る予定だけど、僕の分は既に終わっている。
それを見た常盤さんが呆れた様な表情を浮かべた。
「どうしました?」
思わず尋ねると、
「いや、相変わらず謙虚なあとがきだな……と。君は今や、天下の瀬戸京介なんだから、もうちょっと偉ぶってもいいんじゃないか?」
「いや、僕は僕ですし……」
「それもそうか……瀬戸さん、貴方は変わらないな」
「そうですか?」
そんなやり取りをしながらも、あっさりと僕らの分の仕事は終わってしまった。後は出版社にお任せだ。
「これで、全て終わったな……」
「そうですね……」
僕が祭りの後の様なしんみりとした感傷に浸っていると、常盤さんが、
「瀬戸さん、貴方に出会えて良かった」
そう、真剣な表情で僕に言った。更に続けた。
「パンドラの契約者は打ち切りで終わる筈だった。もし貴方がいなければ、今も途中で途切れたままで、きっと永遠に私の心残りとなっていた筈だ。それが、こうして、最後まで見ることができて、私はこの上ない満足だ。……いや、私だけじゃない。沢山の読者が……本当に大勢の人が満足していると思う。ーーだから瀬戸さん、本当にありがとう」
最後のありがとうの言葉と共に、頭を下げた常盤さん。
唐突な感謝の言葉に、
ーー一体、どうしたんだ?
って戸惑ったけど、
ーーそうか……これが最後だしな……。
って、納得した。
そして、納得すると同時に感極まった僕は思わず涙ぐんでしまった。
袖口で涙をぬぐいながら言う。
「や、やめて下さいよ、常盤さん。そのセリフは僕のセリフですよ。僕の方こそ、貴方に出会えて良かったです」
本心だった。この人が僕を選んでくれなければ、そして、最初、全然駄目だった僕を待ってくれなければ、僕はこうして漫画を連載することなんてできなかっただろう。
「貴方に出会わなければ、僕は漫画家を続けていなかったでしょうし、花梨を大学に行かせてやることも出来なかったでしょう。貴方は僕の人生の恩人です。ーーですから、もし何か困る様な事があったら僕に相談して下さい。僕に出来ることなら、絶対に力になりますよ」
万感の思いを込めた言葉は紛れもない本心だった。
もし、この先、いつか常盤さんが困ったりするなら、絶対に助けようーーそう思った。
が……。
結論から言うと、僕は僅か5分とたたずに、今の言葉を後悔することになる。
常盤さんは僕の言葉を聞いて、一瞬、目を丸くしたが、次の瞬間、心の底から嬉しそうな笑みを浮かべた。
そして、
「本当かい、瀬戸さん! いや、あるよ、あるよ! 君に頼みたい事が! 君にしか出来ない事があるんだ!」
ーーはい?
常盤さんは、今にも踊り出しそうな、弾んだ声でそんな事を僕に言った。
更に、自分のカバンの中から、紙の束を取り出すと、ウキウキと僕に手渡してきた。
一番上の紙には大きな文字で、『三傑のサッカー』とだけ書かれている。
「何なんですか、コレ?」
唐突な展開に、本当に訳が分からなくて尋ねた僕に、朗らかな笑顔で常盤さんは言った。
「次回作のネームだよ、瀬戸さん!」
「次回作のネーム?」
ーーえっ?
「いやー、長らくパンドラの契約者の制作に関わっている内に、いつしか自分でストーリーを作って見たくなってさ。それで色々と考えた末にサッカー物がいいと思って、パンドラの契約者の制作の合間に少しずつ作っていたんだよ!」
ーーえ? えっえっ?
「そして、パンドラの契約者の連載が終了したら、瀬戸さんに作画をお願いするつもりだったんだ! いや、どう持ちかけようかと思っていたんだが、それなら話が早い。瀬戸さん! 私と貴方で、もう一度、漫画を作ろうじゃないか!」
「………………」
作ろうじゃないかと言われても、ちょっと待ってほしい。
確かに、困ったことがあるなら力になるとは言ったが、漫画を描くとは言ってない。
連載中の常盤さんのあれやこれやは、全てが終わったから懐かしいのであって、今からやるとなると勘弁して欲しい。もう、本当に勘弁して欲しい。
背中にじんわりと嫌な汗をかきながら、僕は言った。
「いや、ちょっと待って下さい。僕は連載が終わったら、少しゆっくりするつもりだったんですけど……」
言いながら、無駄だろうなと思った。常盤さんにこんな婉曲な言い回しなど通じる訳がない。
案の定、無駄だった。
「もちろん、今直ぐにとは言わないよ。連載は大変だっただろうからね。だから、1月程休んでからで構わないよ」
いや、1月後だろうが2月後だろうがやりたくない。
「いや……その……半年ほどは、のんびりしようと思っているんですが……」
僕がそう言うと、常盤さんは呆れた。
「おい、おい、何を言っているんだ瀬戸さん? 貴方は、一体、幾つだ?」
「幾つだ……とは?」
「年齢のことだ」
「それなら、48ですけど……」
「だろう? 因みに私は49だ。つまり、仮に100まで生きるとして、私も貴方も、まだ半分も生きていないじゃないか?」
「常盤さん……100まで生きるつもりですか……」
そこは平均寿命にしとけよ、と思ったけど、でも常盤さんは本当に100まで生きそうだ。
「とにかく、これから先、何十年という時間があるのに、今から隠居してどうするんだ? そりゃ、私も貴方も金は持ってるよ? この先、働かなくても、遊んで暮らせるだろうさ……でも、だからって遊んで暮らすのか? 違うだろう? 我らが轟先生を見習いたまえよ。あの人80を超えているのに、先月、新シリーズを始めたんだよ? なのに、私たち若者が呑気に隠居している場合じゃないだろう。漫画家はスポーツ選手とちがって年齢なんて関係ないし、サラリーマンとちがって定年もないんだ!」
しゃべってる内に、どんどんとテンションが上がっていく常盤さん。その姿には覚えがある。始めて、常盤さんと出会った時がそうだし、この9年間で、幾度となく見てきた。こういう時は、絶対に譲ってくれないんだ。
「一番やったら死ぬまでやるのが漫画道というものだろう! なあ、瀬戸さん! もう一度やろう! もう一度! 私と貴方で、どデカい花火を打ち上げようじゃないかああああっ!」
「…………ええええ?」
僕の口から、え、しか出て来なかった。
か、変わってない。今も昔も、常盤一は本当に変わらない。
僕が絶句して固まっていると、
「お父さん、常盤さん、お昼できましたよー」
花梨が僕らを呼びにきた。
そして、固まっている僕を見て、
「んん? どうしたの、お父さん?」
と、疑問を投げかけながらも、興奮している常盤さんや机の上のネームを見て、
「ああ、なるほど……常盤さんの新作ネームを見たんだ」
と、納得したように頷いた。
ーー花梨⁉︎
「えっ……その……花梨は常盤さんが新作を作ってるって知っていたの?」
「うん。この前、偶然見ちゃったんだ」
「どうして、言ってくれなかったの⁉︎」
「いや、パンドラの契約者が、丁度、クライマックスだったから、余計な邪魔はしないようにって、常盤さんから口止めされてたんだよ。パンドラの契約者が終わってから、自分の口から伝えるって」
「そんな……」
まさかの展開に、二の句を継げなくなった僕に、花梨が申し訳なさそうに告げた。
「ごめんね、お父さん……お父さんが、しばらくは、のんびり骨休めする気だったことは百も承知だったんだけど、私、この件に関しては常盤さんの味方をするよ」
「ええっ⁉︎ なんで⁉︎」
「お父さんはネームの内容は見た?」
「いや、まだタイトルだけだけど……」
「そっか……あのね、お父さん。そのネームなんだけど……凄いよ。ーーもう、流石、常盤さんって感じだった。それでね、お父さんの描いたサッカー漫画を見てみたいな〜……と、娘は思う訳です」
と、花梨が言えば、
「ほら! 花梨ちゃんもこう言っている訳だし、とりあえずネームを見てくれないか? それで、つまらなかったら描かなくとも構わない。面白かったら描いてくれればそれでいいんだ」
と、常盤さんがグイグイとネームを押し付けてくる。
つまらなかったら描かなくていい。というセリフからは、これメッチャ面白いんだぜ! という自信しか感じない。
僕は、原稿を受けとり嘆息した。
ーーきっと、これを読んだら、描きたくなっちゃうんだろうな……。
という、半分、諦めの境地でページをめくり出した。
どうやら、パンドラの契約者の漫画が終わっても、僕と常盤さんの創作活動はまだまだ終わらないみたいだ。
そのことに、心の底からうんざりして、でも、少しだけ楽しみだった。
……。
……。
そして、三か月後。
265:名無しのパンドラー
来たー! 瀬戸京介と常盤一の新作! 『三傑のサッカーは世界を揺らす!』来月から掲載だってさ!
266:名無しのパンドラー
マジで⁉︎ どこ情報⁉︎
267:名無しのパンドラー
〇〇出版社のホームページに載ってる。それに主人公とヒロインのイラストもある。
268:名無しのパンドラー
イラスト、相変らずの画力だわ。ヒロイン、凄え可愛い!
269:名無しのパンドラー
もう期待しか感じない。
270:名無しのパンドラー
楽しみ! 凄え楽しみ! 来月は朝一で本屋に並ぶよ!
271:名無しのパンドラー
凡作かもしれないぜ?
272:名無しのパンドラー
俺は面白いって信じるよ。だって俺は瀬戸先生の大ファンだからな!
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京介の戦いは、まだまだ、これからですが、エロ漫画家でも、かわいい娘の笑顔が見たい! はこれで完結です。
途中のあとがきでも書きましたが、一度、エタッたこの話を、こうやって最後まで書けたのは、読んでくれた皆さんのおかげだと思います。ありがとうございました。




