ツイノベ文化祭
ツイッターにあげていたものです。☆付きは花*様とツイノベで遊んだもので、ストーリーが連動しています。
ちなみに、花*様のツイノベは「twno-baby」(https://book1.adouzi.eu.org/n5584cm/)内の「2017.9」に掲載されているので、ぜひ一緒にご覧になってみてください♡
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文化祭間近、にわかカップルが増えた。
「イベントでもないと告白できないチキンな奴らめ」やっかみつつトンカチをふるうと、向かい側で木材を押えていた男友達が「……そう云われると切り出しにくい」と呟く。
「何を?」
「あ、いや、文化祭終ってから云うわ」
「ふーん、分かった」
台風で、完成間近のアーチが無残に壊れた。
皆が嘆き悲しむ中、黙々と残骸を拾い集める彼。
「とりあえず、やれることをしよう」ともう一度木材を切り、組み立てて色を塗る。
猛スピードで作り上げたアーチの中で一人丸くなって寝ていた彼の頭を撫でられる、その権利が欲しい。今。
「はい」
目の前に差し出されたドーナツ(by2-4カフェ)を彼は不思議そうに見る。
「アーチの再建、頑張ってたからごほうび」
「……他のも所望していい?」
ドーナツを、差し出した手ごと取る。挙動不審な私を見て満足げな顔になる。
「いいなあ」
文化祭の準備期間、生徒達は皆楽しそう。思わず出た言葉を、隣にいた同僚は聞き逃さなかった。
「粒のアイスやら仕入れただけのドーナツやら食いたいですか?」
「そういう事じゃなく……」
「だったら、恋人の隣で羨ましそうに『いいなあ』なんて言わない」
……スミマセン。
恋愛はいつもあっさり系(あっさり別れちゃう)の兄が、朝からそわそわしててなんか面白い。
「吹部の演奏は」
「体育館で2時から」
「彼女に花束を贈」
「個別では受け付けてないからやめてね迷惑だよそういうの」
項垂れた兄はほっといて、行ってきます!
↑ ツイノベ定期演奏会に同じ兄妹のネタがあります
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「カワイイのはアタシ」
「いいえ私」
「あたくしよ!」
バチバチと火花散る戦い。これは学校一を決めるコンテスト。この日の為に何でもしたわ。美白に脱毛、立ち振る舞いまで完璧よ。だから負けない、この学校で一番美しいのは私なの……!
「それでは女装コンテストの結果発表でーす」
体育館のステージにたった一人、小っちゃな女子が長い髪をざんざん乱しながらネックの太い六本弦のギターをかき鳴らしてる。
圧倒されている間に演奏が終わり、彼女は魔法が解けたようにはにかむとぴょこんと頭を下げて退場した。慌てて追いかける。何を言うか決めないまま。
「折り紙同好会の発表なんて閑古鳥だよ」
「だから来てやったわよ」
「うん、ありがと」
こうやって来るのも三年目。気持ちを伝えられないまま、三年目。あーあ、ばかみたいと思っていると、「大学でも折り紙同好会入るから、来てくれるよね」ナニソレ、行くけどさ、行くけど。
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ホームメイキング部の手作り品はどれも高品質低価格。あ、このシュシュかわいい――でも私、髪切ったんだった。がっかりしていたら部活の先輩がそれをお買い上げして、「はい」と手渡してくる。
「あげる」
「でも、今短いし」
「別に、手首につけたっていいじゃん」
「ほらかわいい」
高校名に星を抱く学校が、文化祭の交流試合に来てくれた。いつもは濃紺の袴だけの弓道場に混ざる漆黒。実力は同じ位、だけど、一人皆中の男子がいた。
黒い袴に刺繍された星、それから彼の名前。胸の中で、輝く。
↑皆中=弓道の用語 弓道において一立ち(四射)中、四射とも的に中ることを指す。(ピクシブ百科事典より)
同じ組になった幼馴染と、クラスの出し物の休憩中、一緒に文化祭を回ることに。
「ほら、ソースついてる」
「拭いてー」
「……しょうがないなあ」
しっかり者の筈の彼は、私の前では相変わらずの甘ったれだ。
「手もだして」
「んー」
「よし、きれいになった」
「お前もね」
「え?」
前夜祭も中夜祭も後夜祭も声掛けらんないまま、終わる。――一年も二年も結局今年も意気地のない私と違って、ちゃんと勇気を出した子は彼と楽しそうに踊ってた。いいな。いいなあ。俯いて足先だけで踊ってたら、「踊りませんか」と誘う彼の手が、返事をする前に私を輪の中へ引き込んだ。
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後夜祭の目玉はラップバトル、誰でも参加OK。決勝は教員同士の戦いだ。
「古文は読めても地図読めない、もっかい勉強した方がよくない?」
「文系ディスんな理系脳、オマエの方こそ情緒NO!」アツいバトルの行方は「俺に一生古文教えてください」という地学教師の求婚でドロー。
↓一番最初の話のその後
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文化祭の片付け中、彼女と二人きりになった。……いいよな。もう終わったし、伝えてもいいよな。決意を固めた俺に彼女は「そういえば友達もにわかカップルになっちゃってさー」と顰め面。
「私らは友人として末永く仲良くしようね!」
「あ、ああ……」
俺が想いを伝えられたのは、三年後。




