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第25話 婚約パーティー③

「姉さん、おまたせ」

「ありがとう、マルク」

「姉ちゃん、この野菜と鳥肉の煮込み美味しいよ。食べなよ」

「うん、もちろん!」


 マルクが私の分の食事を持ってきてくれた。早速用意された椅子に座り、フォークで野菜と鳥肉の煮込みを食べてみる。


「ん、美味しい!」


 ひと口サイズにカットされた鳥肉はほろほろに柔らかく煮込まれている。それに味も濃い目でとても美味しい!


「サンドイッチも食べよ……これも美味しい!」

「姉ちゃん、ミートボールとウィンナーもうまいよ」


 お肉系は本当にどれも美味しい! 野菜系も美味しくていくらでも食べたくなる。

 そこへ苦笑いを浮かべたマルクがやってきた。


「姉さん、食べ過ぎはよくないよ?」

「兄貴、今日くらいはいいっしょ」

「だけど、太ったら……」

「運動したらいいじゃないか」

「まあ、確かにそうだけど……」


 確かに太ったらドレスが着れなくなっちゃう。でも今日くらいはいっか……。


(いいよね、今日くらいは……)


 結局肉メニューは全種類食べてしまったし、デザートも美味しく頂いたのだった。


「メアリー、そんなに肉メニュー美味しかったのか?」


 私の食べっぷりには、レアード様も目を丸くさせて驚いていた。


「ええ……美味しかったので」

「仲間だな。俺も食べすぎてしまった。明日から運動頑張らないと」

「……私もご一緒しても?」

「ああ、一緒にやろう。誰かと一緒にした方が頑張れる気がするから」


 よし、明日から運動頑張ろう。

 こうして婚約パーティーはお開きになった。ごたごたはあったけど、食事後はスムーズに進行していったのはとても良かった。

 パーティー後、私に強烈な睡魔が襲いかかった。何とか我慢して自室に戻ったのだが、そこで力尽きてしまったのだった……。


「……リー……」

「……」

「メアリー?」

「!」


 レアード様の声で目を覚ますと私は自室のベッドの上にいた。しかも寝間着姿になっていて、お化粧は綺麗に剥がされてアクセサリーも取り外されている。


「あれ……私は」

「部屋入ってすぐの所で寝ていたぞ」

「えっ?!」


 もしかしてあのまま寝てしまっていたのか?!


「俺が見つけてベッドまで運んだ。後は全てメイドに任せたている。安心しろ」

「そうでしたか……」

(後でメイドさん達に声をかけておこう)

「疲れたか?」


 確かに今日は……疲れたかもしれない。うん、確実に疲れている。


「もう遅い時間だ。早く寝て体力を回復させろ」

「わっ」


 頭をやや乱暴にワシャワシャと撫でられた後、そっと額に口づけが落ちる。


「おやすみ、メアリー」

「……おやすみなさい、レアード様」

「ふふっお前の笑顔は可愛いな。よい夢を」


 レアード様は手を振りながら、かつかつと部屋から去っていった。

 額にはまだ口づけの熱が残っている。


「いい夢、見られそうかも」


 もし夢でもレアード様に会えたら。ふとそのような事を考えた。

 ちなみにこれまでも彼は、私の見る夢に何度か出てきてくれている。


(一緒に馬に乗って草原を駆け抜けたりとか、舞踏会で踊ったり、とか……)


 レアード様が出て来た夢を思い返していると、なんだか頬が熱くなってきたので私は勢いよく布団を頭までかぶる。


(寝られるかな……)


 期待を孕んだ状態で、私は目を閉じた。

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