第3章-第33話 うらめ
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ニホンに送還された翌日に、こちらの思惑通り、自殺した行員の父親と弁護士が大々的に記者会見を開き、謝罪と慰謝料を求める民事訴訟を起こすことが伝えられ、記者会見上で例のDVDも紹介され、おそらくコピーされたと思われるDVDがTV各局で昼のワイドショーの時には流れだした。
このままいけば、いなほ銀行グループ全体が世間に叩かれ、その影響が富国銀行に行き、うまくすると副頭取の辞任まで追い込めるかもしれない。
そこで、更に経済誌が発売されると富国銀行への不信が高まり、取り付け騒ぎに発展するだろう。騒ぎが大きくなれば、日本銀行の緊急融資が始まるだろうが、近辺の日本銀行の現金輸送車をパンクさせておけば、さらに騒ぎが大きくなるに違いない。
そこへ、コンピューターシステムの停止や火事などが発生したら、もう火の車状態になるだろうし、元妻と頭取の写真週刊誌が出回れば、副頭取の支持者も逃げていくに違いない。
しかし、いなほ銀行の対応は、早かった。夕方には、記者会見が開かれ、訴状の全てを受け入れると表明したのだ。さらに、あの副頭取も登場して、おそらく演技だろうが涙を流して謝罪していたのだ。
しかし、本人の進退については、まだなにも決められないの一点張りだった。食い下がる記者もいることは、居たのだが、この異例とも言える一方的な受け入れに対しては、評価する声が高かったのが印象的だった。
おそらく、いなほ銀行が融資をしている会社がTVに広告を出している所為で圧力が掛かっているのでは、ないかと思われる。
いなほ銀行としても、早い幕引きを狙っていたのは透けて見える。しかし、カノングループがバックに居てさらに蓉芙グループの次期当主からの恩恵を天秤に掛けた結果が今回の結末のようだ。
慰謝料を合わせても数億円ならば、銀行としては痛手にならないのだろう。さらに翌日には、あの父親の前に土下座する姿も見られるほども徹底ぶりだ。
ここまでされたからには、あの父親といえども、和解するしかないのだろう。
・・・・・・・
「しかし、ここまで、裏目裏目に出るとはな。」
その後、発売された経済誌の記事もいなほ銀行が太っ腹な態度を見せたせいか、あの土下座がまだ効力を発揮していたのか。不発に終わり。
その後に発表された頭取と元妻のスキャンダルは、副頭取を悲劇の主人公に押し上げ、頭取が引退を表明することで幕引きをされてしまったのだ。
「そうですね。これでは、どんな悲劇が舞い込もうと相対的に評価は、上がってしまいかねないですね。」
コンピューターシステムの停止とか、火事とかがあってもそれを指揮する副頭取が逆にクローズアップされる可能性が大きいのだ。
副頭取の過去は、TV局が暴いたのか。ひそかに情報が流れたのか。都合のいいようにどんどん情報がTVで伝えられる。それによると俺の元妻が副頭取の独身時代の恋人だったらしい。つまり、俺は二股をかけられていたのだということだ。
これで、アキエを認知したことが表沙汰になったら、副頭取の評価が上がってしまうだけなのだ。これでは、切り札が切り札の役に立たない状態だ。
「くそっ、打つ手が無い!とにかく、アキエに会わせないことしか、対策は、無さそうだな。」
「でも、アキエちゃんのことが、あちらから漏らされたなら、こっちに注目が集まるかもしれないですね。」
「怖いことを言うなよ。いっそのこと、異世界に引きこもるか。いや、そういうわけには、いかない。なにがなんでも、この勝負勝つしかない!」
いよいよ、来週にも、あのお屋敷で次期当主が決定されるらしい。
・・・・・・・
いつまでも考え込んでいても仕方が無いので、週末は異世界の開拓に専念することにした。しなければいけないことが目白押しなのである。
もちろん、召喚の際には、体育館のなかに資材を詰め込み空間魔法で持ち込んだ。
都市設計通りに体育館を据付、温泉を掘る。そして、資材の中から側溝を取り出し、排水のため、少しずつ高低差を付けながら、川に流れるように配置する。
その高さに合わせて、周囲に盛り土や道路のための岩石を設計書通りに配置した。
そして、王都に戻り、募集した騎士たちの面接だ。
フォリー大尉と俺は、面接を行う。面接と前後して、アルム少尉が連れてきた右軍の正騎士との手合わせを行い剣の実力を判断する。
俺は指輪を『鑑』にして、ステータス的にどうなのかとか、応募書類にどれくらい下駄を履かせているかなどで判断する。
フォリー大尉は、俺が質問することに対する受け答えや士官としての資質という観点で判断して貰っている。
あとは、3人でリーダー候補生、正騎士、見習い騎士の募集ごとに順位付けをするのだ。
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