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幕間4-1:脱出行/有勝とフォー

 俺、ビークラスターのフォー――

 俺たちは一通りのやり取りを終えて雑談を交わしていた。無論、互いに差し障りのない範囲で。

 俺は田沼って奴に問いかけていた。興味が湧いていたのは奴が陥っていた境遇だった。


「コケシって、そんなにあっさり使い捨てにされるのか」

「はい、鉄砲玉なんてのはザラです」

「鉄砲玉――生きて帰ってこれない鉄砲玉だな」


 俺の問いに田沼のやつは頷いている。

 

「敵対組織への潜入調査を命じられて帰ってこれたやつはいません。欲しい情報がつかめると簡単に見捨てるんです。救出すると言っておきながら合流しない。捨て石にされたコケシはそのまま(くび)られます」

「女もか?」


 田沼は顔を左右に振る。

 

「女は別な用途です。榊原の腹心の部下たちの慰みものか、用済みになるとそのまま海外に転売されます」


 そらきた。ヤクザが女を処分する際の常套手段――〝人身売買〟だ。

 

「――この仕事をこなせば開放して助けてやると騙して、外国の地下オークションに連れて行くんです。帰ってくるのは本人ではなくオークションの売上だけです。まず日本には帰ってこれません」


 海外の闇社会市場では日本人の若い女性は高値がつく。それを見越しての闇ビジネスなのだろうが――

 

 その言葉を耳にして脳裏をよぎったのは、俺の部下の3子と6美、そしてもうひとりの女性メンバーの7恵だった。3人とも腐った大人に食い物にされていたところを助けたのがきっかけになりチームを組む縁が生まれたのだ。

 アイツらも榊原ってやつのところに迷い込んでいたら今頃どうなったか――


「――胸糞だな。流石に」

「えぇ、正直話していて気持ちいいものではありません」

「悪ぃな、思い出させちまって」


 俺がわびを口にすれば田沼ってやつはそれを否定した。

 

「あ、いえ――気にしないでください。今回の榊原のヤツの件を解決するにはコケシがどう言うものか分かってもらう必要がありますから。俺と同じく格闘技に強いやつもいましたが、地下闘技場に連れてかれて賭けの対象になり、箸も握れなくなって捨てられたやつもいます。癌がわかって余命が宣告された奴は、良い治療法があると言いくるめられてそのまま〝臓器牧場〟に閉じ込められました――」


 俺はその話を耳にして思わず両手を強く握りしめていた。腹の底から怒りが湧いてくる。

 

「どうせ消える命なら金になって消えろ――ってところか」

「えぇ」


 俺が吐いた言葉に田沼はぐっと両手を握りしめる。

 

「ほんと、殴り殺してやりたいです」


 その言葉に俺は言った。

 

「心配すんな。落とし前はきっちりつけてやるよ。俺達とお前たちとでな」


 その言葉に田沼が満足気に頷いていた。

 上等だ。絶対に赦しちゃいけないやつがこの世には居るってことなのさ。


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