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追放されたが、それでも収縮拡張スキルで英雄へと駆け上がる  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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防具を作ってもらうレリアーノ

「ほう。ベルトルトさんの紹介状を持って来たのか。見かけによらずやり手なんだな。あのベルトルトさんから紹介状をもらえる奴なんてそうそう居ないぞ」


 紹介状を受け取った男性が紹介状の中身を読みつつ何度も頷き、レリアーノの身体を確認するように何度も視線を上から下まで往復させる。


 そして唐突にレリアーノに手を伸ばすと身体を触り始めた。


「なるほど、体幹がしっかりしているな。基礎訓練をきっちりとやりこんでいるのが分かる。それに下半身も安定している。ちなみに武器は何を使っているのか聞かせてくれ」


「剣と杖だ。メインは決まってない」


 男性の説明にレリアーノが答えると、一瞬黙っていた男性だが徐々に声を出しながら笑い始めた。


「は? 剣と杖を両方使っているだと? ぶははははははー。なんじゃそりゃ? しかもメインが決まっていないだって? 剣士なのか魔法使いなのかどっちなんだよ。ん? 俺が知りたいだって? なるほどな。面白すぎるだろうお前」


「さっきから言おうと思っていたが勝手に身体を触るなよ。それとメインを決めてなくて悪かったな。それよりもお前が店員なのか?」


「店員じゃねえよ、俺が店主だよ。ハンスってんだ覚えておけ」


 ベタベタと身体を触っている防具屋の店主と名乗るハンスにレリアーノが抗議をするが、ハンスは気にすることなくレリアーノの体を触りながら質問を続ける。


「今までの戦闘経験を全部話せ。戦っている時に困ることはなかったか? 依頼を受けて活動をしている時に気になることは?」


「ん? 戦闘では剣を中心に戦っている。魔法は大物と対峙する場合や、遠距離から先制したい時に使うぞ。依頼を受けて困るのは収納が少ない事かな。背負い袋を大きくすると戦闘の際にいったん置かないと駄目だろ?」


「なるほどな、じゃあ次の質問だ。パーティーは何名で活動している? 食事は肉が中心か? 休暇の際は何をしている?」


 矢継ぎ早に質問するハンスに律義に答えていたレリアーノだったが、あまりにも質問が多すぎるために辟易した表情を浮かべる。


「食事まで聞いてどうすんだよ? それが防具を作るのに関係あるのか?」


「当然だ。食事によって体形は変わるだろう。それに合わせた防具を作るのが俺の流儀だ。だが……お前みたいなタイプは初めてだな。魔法と剣の両方を使える奴はお前さん以外にもいるが、そいつは剣士として俺の防具を求めてきた。それがお前ときたら通常は剣で戦って大物は魔法でけん制しながら戦うんだろう? 変わっているが、さらに驚きなのは、そこまで戦い方を決めているのに自分では戦闘スタイルが分かっていないと言っているんだぞ。実に面白い」


 近くにあった紙に猛烈な勢いでメモをしつつ、質問を続けているハンスを眺めながら完全放置状態のルクアが呆れた顔でハンスに話しかける。


「ハンスが店主だと分かったけど、まだ私達はここで防具を買うと決めたわけじゃないわよ?」


「ん、なんだ? レリアーノの仲間か?」


「リーダーのルクアよ。彼と二人でコンビを組んで依頼を受けているわ」


 ルクアの言葉にハンスの目が細くなり、ルクアを値踏みするような視線を向けていたが、なにかを理解するように頷くと姿勢を正した。


「ルクアさんの事はベルトルトさんの紹介状に書いてあった。かなりのやり手の商人なんだろ? すまなかったな。レリアーノがあまりにも素晴らしい素材すぎて好奇心が抑えられなかった。改めて俺の名前はハンスだ。この防具屋の主人だ。よろしくなルクアさん。それでベルトルトさんの紹介状を持って来たくらいだから買ってくれるのは間違いないと思っているぞ」


 悪びれない表情でルクアに挨拶するハンスにルクアは苦笑しながら答えた。


「もう一回言うけど、まだ買うか決めてないわよ」


「ほら、レリアーノ後ろを向け。普段は杖を背後に担いでいるのか。それは動きにくくないか?」


「動きにくいけど、どうしようもないだろ?」


「なるほどな。よし、分かった。これで採寸は終了だ。受け取りは1週間後に来てくれ。素材はこっちで用意をしておく。料金は金貨5枚だ」


「ちょっと!? 金貨5枚ですって!」


 ハンスがルクアの話をまるで聞いていないようにレリアーノに防具代を伝えたが、それを聞いたルクアがあまりの安さに驚きの声を上げたが、ハンスは勘違いをしたようだった。


「ん? 俺としてはかなり値引きをしているぞ? なんせベルトルトさんが認めた逸材だからな。だから他の仕事を置いても優先してレリアーノの防具を作る。それに面白い素材だからな」


「いえ、逆よ。安すぎるわよ。まあ、ハンスが問題ないと言うなら構わないけどね? 後で後悔しないでね。でも安いからと言って、中途半端な仕事だったら料金は払わないわよ!」


「当たり前だ。安いのはレリアーノを気に入ったからだぞ」


 ルクアの台詞にハンスは当然とばかりに頷くと、メモに何かを書くとレリアーノに手渡した。


「これが引換証だ。ここに『レリアーノの身体に合わない、または気に入らなければ料金を払わなくてもいい』と書いといた。まあ、俺が作る作品を買わないやつなんて今までいなかったけどな」


「そこまで言い切るなら期待しているぞ」


「私も楽しみにしているわ。一流と呼ばれる防具を見るのは商人としての血が騒ぐわ。ここに置いてあるのは今一つだものね」


「当たり前だ。ここに置いているのは試作品だ。これでもいいと買って帰る奴はいるからな。オーダーメイドじゃないから多少は動き辛いがな」


 見せに置いてあるのは誰でも使える試作品だと言い切るハンスに、レリアーノは苦笑しながらも楽しみだと伝えながら引換証を受け取るのだった。

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