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異世界転生したら女になっていました!  作者: しぇいく
最終章

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【ラストスパート駆け抜けろ!』

 まず、勇者たちの前に現れたのは――。


 それは「穴」などという生易しいものではなかった。

 光を、音を、時間すらも飲み込む“宇宙の断絶”。


 視界の端で瞬く星々は、まるで糸を引かれるように一つ、また一つとその漆黒へ吸い込まれていく。

 近くの空間は軋みを上げてねじれ、無数の流星群が一瞬で砕け、光さえ逃げられずに呑まれていった。


 『これで終わりよ! 死になさい、勇者!』


 もはやピリオドに余裕はなかった。

 全力で、ただ3人を殺しにかかる。


 【死なないもんねー!ヒロ!』


 アオイの言葉で一歩前に出たヒロユキは構えを取り__


 【……】


 心を剣とし、振り抜く。



 次の瞬間、“理不尽に全てを呑み込む黒の渦”は真っ二つに裂けた。



 ――ブラックホールを斬る。



 ただ、それだけのこと。

 それが、最強の勇者だから。


 『っ!? それなら――!』


 宇宙の虚空に散らばる星々、星雲の輝き……それらすべてが引きずられるように揺らぎ、収束していく。


 星が砕け、燃え尽きた恒星が光の奔流に変わり、ブラックホールすら引きちぎられながら渦に呑み込まれる。

 それはやがて一点に凝縮され――宇宙誕生の“はじまり”を再現するかのように光と熱が膨張した。


 『この全宇宙の力で消し飛べッ!』


 ビッグバンそのものを凝縮した“巨大な矢”が形を取り、周囲の空間をねじ切りながらリュウト達へと放たれる。


 【リュウト!』


 【矢か……なら俺の出番だ!】


 リュウトは一歩前に進み出る。

 漆黒の弓を握り、黄金のレイピアを矢として解き放った瞬間――。


 【貫け!】


 光速すら追い越す閃光が宇宙を裂く。

 “ビッグバンの矢”と衝突した小さなレイピアはその刹那、風穴が開き、爆発的な奔流は一筋の閃光に変わって霧散していった。


 【俺のよく知ってる奴の方が、もっとすごい矢を放ってきたぞ】


 『……っ!』


 そのまま矢の軌道はピリオドの巨体を直線上に射抜く――はずだった。

 だが、ピリオドは咄嗟に攻撃を止め、ただ一点に魔法陣を発動させた。

 透明な壁のような防御層が生まれ、一撃を必死に受け止めている。


 【……なんだ?さっきまでと違う?】


 【リュウトくんの攻撃を必死に止めてるんだね』


 【だが……ピリオドは攻撃を受けてもすぐ再生するはず】


 【そう、再生はするよ……普通ならね】


 アオイは目を細め、鋭く言い切った。


 【だけど今のアイツは違う。――“痛み”を知ったんだ。だから恐れてる。再生よりも、その瞬間に走る苦痛を……必死に避けてるんだよ』


 【……それなら、俺もリュウトに続く__』


 【待って』


 【っ?】


 【どうせ斬るなら、ちょっと待ってね。構えてて』


 【……】


 ヒロユキは何も言わずに剣を構える。


 【……分析』


 アオイの瞳に、蛇の紋章が浮かび上がった。


 【なるほど……』


 映し出されるのはピリオドの詳細。

 その巨大な身体の奥を移動する、小さな光点――“弱点”。


 【目押しって奴だな……店員さんに頼んでたくらい下手だけど、いいかな?』


 【……?】


 【ヒロ、俺が今!って言ったら――迷わず真っ直ぐ斬って』


 【……了解】


 ヒロユキは深く息を吐き、心を静めて集中する。


 そして____


 【今だ!』


 【……ッ!】


 ヒロユキの不可視の剣閃が横薙ぎに奔り――

 次の瞬間、宇宙を覆う巨神ピリオドの胴体が、腰から真っ二つに裂けた。


 『……ッ!!』


 同時に、リュウトが放っていた一撃も護りを抜け、分断された上半身を穿つ。

 風穴が開き、そこから光と血と悲鳴が溢れ出した。


 『ぎゃぁぁぁあああああああああああああああああ!!!!!!!』


 咆哮とも断末魔ともつかぬ絶叫が、テレパシーを通じて全宇宙に響く。

 星々が共鳴するように爆ぜ、砕け、光の粒子となって消え去り――空間そのものが“無”へと沈んでいく。


 【っ……!】


 【……ぐ……】


 脳髄を直接掴まれるような衝撃。

 耳を塞いでも意味がない。

 本能が悲鳴を上げ、勇者たちはただ立っているだけで意識が引き裂かれる錯覚に陥った。


 【いやぁ〜……キールさんの魔法がなかったら、体の中から消し飛んでたね。マジで危なかったよ』


 軽口を叩きながらも、アオイの視線は鋭く一点を射抜く。


 【――そこだ!』


 魔法陣から奔る無数の糸が、ピリオドの斬り口へと突き刺さり、何かを絡め取って引きずり出す。


 『っ……!?』


 現れたのは、血に染まり赤黒く輝く“月”だった。


 血潮は腕の形となって月を取り戻そうと蠢く。

 だが、“痛み”を味わい判断が遅れたピリオド。



 赤い月はアオイの魔法陣に吸い込まれていき、勇者たちの頭上に転移した。



 【一度言ってみたかったんだよね……かりるよ、リュウトくん』


 【え? あ、うん】


 リュウトから漆黒の弓を受け取るとアオイはふざけた様に厨二病のポーズを取る。

 

 【全ての条件は揃った。これで__』


 そして弓を構えると先端がハートマークになったおもちゃの様な矢が出現する。






 【__チェックメイトだ』





 放たれた矢は光の尾を曳き、宇宙の闇を切り裂いて走る。




 『÷€%〒」|÷*☆<°々\〜/〒$+__』




 もはや言葉にならない声を出すしかピリオドは出来ず、星からしたら本当に小さい矢は赤い月に命中した。


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