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異世界転生したら女になっていました!  作者: しぇいく
最終章

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632/644

【心の剣】

 __どれほどの時間が経ったのだろうか。


 「……」


 ヒロユキの甲冑はあちこち砕け、露出した身体は血と傷に覆われていた。

 それでも、まだ立っている。


 『キャハッ♪ 途中、本当に肝を冷やされたわ。でも――この私を相手に、たった一人でここまで耐えるなんて……大した男ね♡』


 星を覆う無数の隕石、世界を押し潰す巨腕。

 その全てを、ヒロユキは止めていた。

 ――本来、彼の器には到底合わないその力を、無理やりに。


 『身体に合っていない魔眼で皆を守り、私の攻撃まで凌いで見せるなんて……ほんと、規格外。ほれちゃうじゃない♡』


 「……」


 『でもね、あと一歩、届かなかったみたいよ』


 「……!?」


 次の瞬間――。


 ピシリ、と音を立て。

 ヒロユキの握る日本刀が、無惨にも折れた。


 『キャハッ♪ 残念。耐え切れなかったのは、あなたじゃなく武器の方だったみたいねぇ』


 折れた刃先が、重力のない宇宙をゆっくり漂っていく。


 『ねぇ……これが最後のお誘いよ?』


 ピリオドの胸前に、巨大な魔法陣が展開される。

 幾重にも重なった紋様が唸りを上げ、中央に凝縮された光が世界を塗り潰すほどに膨れ上がっていく。


 『私の世界に来なさい』


 「…………」


 ヒロユキは折れた刀を横に投げ捨て、睨み据えた。


 「――死んでも断る!」


 『……あっそ。なら――消滅しなさい』


 魔法陣が閃光を解き放つ。

 それは一直線に、ヒロユキを貫こうと迫っていった。


 『こんな攻撃、今のアナタなら避けられるでしょうけど――後ろのみんなはどうなるかなぁ?』


 「……」


 『帰る場所もなく、この世界の宇宙で彷徨って……孤独死しなさい。――さようなら』


 「……誰が、避けると言った」


 ヒロユキは動かない。


 『ふぅん? 避けないの? まぁ、そうよねぇ。どうせ死ぬんなら、他の人たちと一緒に死んだ方がマシかぁ♡』


 「……俺は死ぬつもりもない」


 『何言ってるの? もう武器も折れて、防具もボロボロ。宇宙に立ってるのだって限界でしょう?』


 「……」


 『言っとくけど、これだけ耐えても誰も助けに来ないわよ? 地上のみんなは手一杯だし、宇宙に来られるわけがない。

 頼みの勇者2人は運命力で来たかもしれないけど――少し前から、私の世界に封じているしね♡』


 絶望を突きつけられたヒロユキは__


 「……フッ」


 笑った。


 『……何がおかしいの? もしかして最後は笑って終わろうってわけ?』


 「……そこに居るんだな」


 『……は?』


 「お前の世界に__二人とも居る。それが分かれば、何も問題ない!】


 ヒロユキは無手のまま、腰を落とし、構えを取った。


 『まさか……いや、そんな……あり得ない!!』


 【これが……俺の剣だ】


 次の瞬間、何も握っていない腕が振り抜かれ――


 『っ……!?』


 宇宙を埋め尽くす巨大な魔法陣ごと、ピリオドの巨体が斜めに両断された。




















 そして、その裂け目から__





 【……さぁ、来い】




 ヒロユキの声に応えるように。

 光の中から、もう一人の勇者が姿を現した。


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