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異世界転生したら女になっていました!  作者: しぇいく
最終章

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631/644

【規格外の男】

 巨大なピリオド。

 その巨体を、たった一人で食い止めている勇者がいた。


 『ま〜さか、ひとりで来るなんてね〜♪』


 「……」


 星々が瞬く虚空。

 青い星を背に、黒と金色の日本甲冑を纏った男が立っていた。


 大地も重力もないはずの場所で、まるで地を踏みしめるかのように仁王立ちし__その眼はただ前だけを見据えている。


 『そういえば、アナタに会うのは本当に久しぶりね♪……勇者、ヒロユキ♡』


 「……お前なんて知らない」


 『あら? ユキちゃんから何も聞いてなかった? 私のこと』


 「……知らん」


 『ひど〜い』


 ヒロユキは静かに日本刀を抜き放ち、ピリオドへ向けた。


 『なぁに? やるつもり?』


 解っていながら、あえて煽るように問いかけてくるピリオド。


 「……お前を斬る」


 『キャハッ♡ 何それおもしろ〜い♪ 私を斬る? そんっな小っちゃい体で? 私の小指を斬るだけでも何年かかるのかしら〜?』


 「……」


 『ねぇ、それより……私と一緒に新しい世界に行かない?』


 「……新しい世界?」


 『そうよ♪ 今、私のお腹の中で新しい世界を育てているの。そこにはリュウトくんもいるし……ヒロユキくんの望みは、なんでも叶えてあげる♡』


 「……俺の望み……」


 『そう! なんでもいいのよ? 超人みたいな力? 超絶モテモテ? お金持ち? 法律なんて関係ない自由? ぜ〜んぶ叶えてあげる♡』


 「……兄さんを返せ」


 『……』


 「……俺は兄さんさえいれば、それでいい」


 『あんな人間のどこに魅かれるのよ? 今みたいに私が容姿を飾ってあげなかったら、ただの頭ハッピーなおバカちゃんじゃん? そんな兄弟を持って、恥ずかしくないのー?』


 「……言いたいことはそれだけか?」


 『あれ〜? 言葉設定間違ってるかな? 通じてない? ちゃんと質問してたんだけどぉ?』


 「……兄さんは、確かに他の人から見れば馬鹿だ。馬鹿だから損ばかりして、人生は決して勝ち組なんかじゃなかった……だが」


 ヒロユキは太刀を構え、虚空に声を響かせた。


 「兄さんはそれでも__前を向き、上を向いて歩いていた!」


 『!?』


 刹那。

 ヒロユキが振るった日本刀が、宇宙を裂く閃光と化し、迫り来る巨大なピリオドの腕を真っ二つに断ち切った。


 『そんな……!? 【神の力】は封じているはず!』


 「……これは、俺の力だ」


 『まさか……自力で辿り着いたというの!? “神の領域”に!』


 「……」


 『――なるほどね』


 斬り落とされた巨腕の切断面から、無数の赤黒い手が伸び、絡み合い、繋がり、やがて再生していく。


 『どうやら勇者3人の中で――一番見ておくべきは、アナタだったみたいね♡』


 「……」


 『いいわ……全力でアナタを倒してあげる。最後の勇者――!』


 次の瞬間。

 宇宙に散らばる星々が次々と軌道を変え、流星のごとくヒロユキに向かって殺到する。




 ――こうして、闘いの火蓋が切られた。





 

 

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