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異世界転生したら女になっていました!  作者: しぇいく
最終章

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609/644

『孫も殺しちゃいなさい』

 「おじいさま……?」


 『ホッホッホ、若い姿なのに良くわかったのぅ』


 目の下に隈を作り、髪もボサボサで囚人服を着たアイは目の前の状況に困惑していた。


 「どうやら、間に合ったみたいだね」


 「お前は!?」


 アイの後ろから現れたのは白衣を着たミカだ。


 「やぁ、僕からの手紙はどうだった?」


 「この手紙の主……お前か」


 「そう。君が知りたい答えを、彼は知っている」


 「おじいさまが……?」


 アイはゆっくりと、自らの祖父へと歩み寄る。


 『ここに来たのなら、お前も儂を手伝ってくれるという事であろう?』


 「手伝う?」


 『こやつらは悪じゃ。殲滅しておかねばならん』


 「……悪……」


 もう一度周囲を見回す。

 限界が来て気絶しそうな代表騎士の2人。

 最後の人類を守る為に自分を犠牲にしている国王。

 そして、それを支える女王。



 それら全てを悪と呼ぶ自分の祖父。



 そして、真っ直ぐにマクリの赤い瞳を見据えた。



 「お爺さま……“悪”とは何でしょうか」


 『何を言い出すかと思えば……悪とは“己の道を邪魔する奴”のことだ』


 「……え?」


 『自分の決めた道は正義、その邪魔者は悪、簡単な話じゃろう?』


 「ならば今、お爺さまはどこへ向かおうとしているのですか!」


 『決まっておる。人類の殲滅だ』


 「どうして!?」


 『どうして、か……ふむ、確かになぜ儂はこんなことを決めて進んでおるのだろうな?』


 マクリは頭をぽりぽりとかきながら答える。


 「……は?」


 『理由は思い出せぬが、そうせねばならんと儂の心が告げておるのだ』


 ちぐはぐな言葉に、アイは違和感を覚える。だが口を開いた。


 「では、人類を殲滅したその先はどうするのですか?」


 『さぁな。だが“悪”は殲滅せねばならん!』


 ――呪い。

 アイは悟った。祖父は呪いに囚われている。だが同時に、自分の過去を重ね合わせる。


 今の祖父と何が違うのだろうか……正義を自分勝手に決め、疑いもせず突き進んでいた、かつての自分。


 「……私と戦いながら問いかけて来ていたアオイも、きっとこんな気持ちだったのかな……」


 『?』


 小さく呟いた後、囚人服の上半身を破き腰に巻き、アイは構えを取った。


 「お爺さま……私は、アナタの“正義”を否定します!」


 『ほう、儂に仇なすか。……貴様の父のようにな』


 「そうです!」


 自分は人間は嫌いだ。

 だが、祖父が行なっている事は絶対に正義__いや、それが正義なのか理解できないが、絶対に違う!


 アオイ達に敗れ、気づけばアバレー王国の牢の中。何もかもを失い、ただ死を待つだけだった自分。


 「だけど、まだ死ねない……! 私は、生きている限り探究し続ける! 何が正義で……何が悪かを!」




 だからこそ、今は獣人を……人間を……人類を守る為に闘う!




 ドゴォォン!!

 大地を割るほどの轟音と共に地震が起きる。

 マクリが地面を思い切り踏み抜き、威圧を叩きつけたのだ。



 「っ……!」


 だが、恐怖を押し殺し、アイもまた地を踏みしめる。


 「――行きます!お爺さま!」


 『――来い!』


 

 __こうして、かつて世界を変えた男と、その孫娘との壮絶な戦いが幕を開けた。










 

 

 

 

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