『はぁ〜作らなければ良かったなぁ』
『今更出てきて……何しに来たの?』
「あーおい、何しに来たか?そんなもん――わかるだろ」
トミーは足元の木の枝を無造作に二本つかむと鋭い槍へと変形する。
『ふーーん、やる気満々って事ね♡』
ピリオドはゆっくりと立ち上がる。その仕草は遊び半分の余裕すら漂わせていた。
「あーおい……レナノス!」
「なんだ?」
「アオイ様を頼んだぞ」
「フッ……承知した」
レナノスはアオイを抱えたまま、影に紛れて姿を消す。
『かかって来なさいトミー、あなたと同じ“土俵”で戦ってあげる♡』
ピリオドもまた、足元の木の枝を手に取り、二本の槍へと変化させる。
「あーおい……じゃあ――遠慮なく!」
風を裂く一閃。間合いを一瞬で詰めたトミーの槍が突き出される。
しかし――
ガキィィィン!!
ピリオドの槍が、寸分違わぬ正確さでその槍先を受け止めていた。
『キャハッ♪ いい突きね』
「ちっ!」
すかさず横薙ぎにもう一方の槍を振るうが――それもまた、寸前で交差する刃に阻まれる。
『それにしても、哀れよねぇ⭐︎』
尚も二人の槍が激突し、火花と衝撃波が周囲の森を吹き飛ばしていく。
だがピリオドは余裕の笑みを浮かべ、語り続ける。
「おらぁッ!」
『人類を殲滅させるためにアナタ達を造ったのに……揃いも揃ってすぐに壊れて、あの時は笑っちゃったわ♪』
「黙れッ!」
トミーは槍を放り投げ、代わりに掴んだ砂を投げつける。
その瞬間、砂は空中で鋭い針へと変じ、雨のように降り注ぐ。
『……ふふん♪』
ピリオドは舞うような身のこなしで全てを弾き返した。
『でも今さら出てきて、私に逆らうなんてどういうつもり? 忘れたの? アンタが必死に守ろうとしてるのは――勇者よ?』
「さっきから……ごちゃごちゃとうるせぇんだよッ!」
大きな岩を掴むと一瞬にして大剣へと変わり、振り下ろされる。
ピリオドもまた同じ大剣を生み出し、受け止めた。
ガァァァン!!
衝撃だけで周囲の森が粉砕され、夜空が一瞬、白く焼ける。
「……その顔と、その声で……話すんじゃねぇぇぇ!!」
『!』
次の瞬間――ピリオドの目が見開かれる。
彼女は素手で大剣の腹を砕き、反対の腕で彼の頬を掴み取り――狂気の笑みを浮かべる。
『なるほど……なるほど、なるほどぉッ! キャハハハハ! あなた、“心”を手に入れたのねぇ!』
「は、な……せッ!」
『アンタ達みたいな“量産型の兵器”が、心を持つなんて……奇跡以外の何物でもないわ!』
「……悪りぃかよ」
『いいえ……悪くはないわ。むしろ最高に愉快!__ただ、残念で仕方ないの』
「残念?」
『えぇ。せっかく心が芽生えたのなら……私がこの目の前で、あなたの“愛する者”を殺してあげたかった』
「やっぱり……心を持って良かったぜ」
トミーの腕が背中からもう2本生えてくる。
「アンタは本当に存在しちゃならねぇ……」
そう言って剣を2本、槍を2本持ち、ピリオドに攻撃を仕掛けた!
『!?』
ピリオドすら知らない奥の手。
「オラオラオラオラオラオラオラ!! オラァ!!」
『キャハハハハハ! 何それ気持ち悪ーい!』
だがピリオドの強さも別格。
トミーの4本腕から繰り出される波状攻撃を、ピリオドはたった2本の剣で全て受け止めていた。
『残念だけど、さすがにそれは気持ち悪すぎて真似できないわ〜ないわ〜』
「あーおい! そりゃぁ良かったよ!」
奥の手のおかげでピリオドからの攻撃は止まったが、まだ決定打には足りない。
そう__だからこそ、このタイミングでこの場所で待機していた“勇者”が居た。
「……」
『な……』
その言葉と同時に、ピリオドの影から1本の“美しい日本刀”が伸び、彼女の心臓を突き刺した。
『ま、さか……』
ピリオドの身体がガクリと力を失い、刀を抜かれると同時に地面に倒れ込む。
「あーおい……やっと来たかよ、【勇者】」
「……遅くなった」





