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異世界転生したら女になっていました!  作者: しぇいく
第五章

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魔王メイト討伐?

  メイトは苦悶の声を上げながら体勢を崩し、私たちから距離を取る。


 

 「ッグ……ガ……っ」


 

 傷は浅いはず。だが、様子が――おかしい。

 魔王メイトは、顔を押さえたまま、苦しそうに眉をひそめていた。


 

 「ヒロユキ殿、ありがとうございます!」


 

 「……クルッポー」


 

 混乱している。

 メイトは、明らかに困惑している……効いてる!


 

 今しかない。このチャンスを――絶対に逃さない!


 

 「そのまま、畳みかけますよ!」


 

 「……クルッポー」


 

 私は鎧の内側から魔皮紙を取り出し、短剣を転送。

 そのまま、前のめりにメイトへと踏み込む!


 

 「ックソ!!」


 

 魔王は、明らかに焦っている。

 危機を察知し、咄嗟に上空へ飛び上がる――が。


 

 ……動きが、さっきよりも、わずかに――遅い!


 「――甘い! ヒロユキ殿!」


 

 「……クルッポー」


 

 その一瞬の隙を、私たちは逃さなかった。


 二人同時に、跳ぶ。


 そして――すれ違いざま、同時に斬りつける。


 

 「ッッッ!!」


 

 斬られた魔王メイトは、空中に留まることができず――

 そのまま地面に落下し、膝をついた。


 

 「我に……我に、何をした……!」


 

 斬りつけられた箇所を押さえ、うめくメイト。

 もはや、顔をこちらに向ける力すら残っていない。

 地面を見つめたまま……崩れ落ちそうに揺れている。


 

 「私とヒロユキ殿の爪には――

  アヌビス族にとっての《猛毒》が塗ってある」

 

 「……毒、だと……?」


 

 「この毒は、体内に入るとアヌビス族の組織が過剰反応を起こし、

  あらゆる能力を低下させ、血液を凝固させる」


 

 「この、我が……そのようなものに……!」


 

 「さらに言えば――先程で、三撃。

  毒の巡りも加速し……今、お前はもう“立ち上がることすら”困難なはずだ」


 

 ……これが、リラックスピルクルの“もう一つ”の効果。


 原料に使われた魔植物の毒は、通常では効かない。

 だが――加工と濃度調整によって、偶然にも“アヌビス族限定の猛毒”として作用した。


 すべては……この日のために。


 

 私はゆっくりと歩み寄り、メイトの目の前に立つ。


 もはや、メイトは動かない。

 話すことすらできない。

 ただ、時が止まったように地面を見つめている。


 

 「……勝負、あったな」


 

 私は魔皮紙から、毒を塗っていない短剣を取り出す。

 処刑人のように、それを静かに構え――


 

 「そう言えば、名乗っていなかったな」


 

 剣を振り上げながら、私は告げる。


 

 「――私の名は、キール」


 

 「……冥土の土産に、持っていくといい」


 

 無言のまま、魔王メイトはうなだれていた。


 

 そして私は――


 

 その首を、静かに――切り落とした。


 

 

 「……終わりましたね、ヒロユキ殿」


 

 「……クルッポー」


 

 あっけないものだ。

 あれほど力の差があった魔王が――毒ひとつで、逆転されるとは。


 いや……これは、ユキさんの“親友”による成果だ。


 

 我々人間が、アヌビス族や魔族と本格的に戦争になったなら――

 正面からの戦いでは、勝ち目は限りなくゼロに近い。


 だからこそ、こうして“弱点”を突くのは、当然の戦術だ。


 ……この毒の効力。

 もしかしたら――これは、歴史的な大発見になるのかもしれない。


 

 「……クルッポー」


 

 「ヒロユキ殿の身体は……まだ、変化なしですか」


 

 やはり。

 “天秤”を破壊しなければ、解放されないのだろう。


 

 「ここで少し魔力を回復して、外に出ましょう」


 

 私は魔皮紙から、《シクラメレンジュース》を取り出す。

 キャップを開けながら、もう一度、メイトの方を見やる。


 その首はすでに切り落とされていたが――

 毒の効果により、血はすでに凝固し、流れ出ることもない。


 

 「取りあえず、魔皮紙で連絡を――」


 

 私はジュースを口に含みながら、振り返った。


 

 「…………ヒロユキ殿?」


 

 さっきまで――確かに、すぐそこに居たはずの、

 黒いベルドリの姿が。


 

 どこにも――なかった。

 

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