表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
323/1341

323

 ログインしました。

 時刻は午前5時50分。

 普段通り?

 いいえ、実に柔らかい感触のベッドの中です。

 何か違和感が半端ない。

 感触よりも匂いがあるからだと思うのだ。

 ラベンダーの匂いだ。


 昨夜、屋敷の門からこの客室まで案内してくれたのはドールアイだ。

 若い男の方だったんですがね。

 その様子はまさにホラー。

 真面目な話、僅かな違和感があるからこそ怖いのです。

 これが文楽みたいなタイプであれば逆に安心出来るのですが。

 久々に昨日は何度も背中に汗をかいた気がする。



 客室のドアがノックされ、そのドールアイが部屋の中へ入ってきます。

 ふむ。

 朝の光の中では同じドールアイなのにまるで恐怖を感じなくなる。

 夜の闇は恐怖を増幅させますね。

 身支度を整えると、そのまま食堂に案内された。

 既に先客がいる。

 師匠だ。



「昨夜はどうであったかな?」


「まあまあです」


「まあまあ、か?」


「ええ」


 魔物の強さとして見たら?

 オーガやトロールに比べたら数は多くともそう強い魔物ではない。

 でも稲穂を剥げた意味は大きい。

 ファーマー系のプレイヤー、特にハンネスやリュカーンに渡してみたいよね?

 彼らならば間違いなく飛び付くだろう。



「おはようさん!」


 ジュナさんなんだが。

 その格好が違う。

 普段は村や町にいる商家の若妻みたいな印象なんだが。

 今日はまるで神父が身に着けるかのような白い衣装。

 いや、ややクリーム色に近いかな?

 光沢はなく、装飾も殆どないのだが、肌理が細かい事は分かる。

 目立たないようで存在感がある。

 まあジュナさんの態度は衣装の印象を激しくぶち壊している訳だが。



「枢密院、ですかな?」


「ついでに貴族院の元老連中も追加よー」


「危険ではありませんかな?」


「まだ私の事を知ってる連中も残っているもの。そう心配はしてないけど?」


「しかし魔人の一件、政争の具にするのは間違いないでしょう」


「そうよねー」


 食事が運ばれて来た。

 やはり豪奢な部屋に似合わない簡素なものだが。

 たまらん。

 煮込み料理だ。

 いい匂いが胃を直撃する。



「いっそ、私に責任を押し付けてくれないか、期待してるんだけど?」


「師匠が枢密顧問を辞めたがっておるのは知ってますが。挑発はいけませんぞ!」


「むー」


「金紅竜の件もあります。自重はして下され」


「それもつまらないのよねー」


 話が分からん!

 いや、どうもジュナさん、今の肩書きが嫌だって事は分かる。

 それに魔人絡みである、と言う事もだ。

 過去に魔人と何かあったらしいんだけど、何だろう?


 それはそれとして。

 煮込み美味いよ!

 最後に皿の表面に残った分もパンで回収して味わい尽くしました。






 その馬車はジュナさんの職業を連想するような威圧感があった。

 大きい。

 そして漆黒。

 極めて頑丈そうな印象がある。


 2頭立ての馬車であるのだが、繋がれている馬がそもそも凄い。

 スレイプニルが2頭だ。

 御者はローブを目深に身に着けたバンパイアデューク。

 死神のような雰囲気があります。



 馬車の中で会話はなかった。

 オレと師匠が並んで座っている目の前でジュナさんはおとなしく目を閉じている。

 こうして見てると本当に高貴な身分の御婦人に見えます。

 しかし、おとなしい。

 師匠は?

 こちらも目を閉じて黙して語らず。

 仕方ない。

 外の景色でも見るか。




 森の狭間から幾つか立派そうな屋敷が見えたが、木々が邪魔でゆっくり鑑賞出来なかった。

 だが。

 そう時間を置かずに城の中へ。

 門衛はいたようだが、馬車を止めて誰何される事もない。

 通り過ぎる際、門衛の様子が見えた。

 鉄兜の下の表情は、恐怖に彩られていますが。

 バンパイアデュークが何かしたのか?



 城の中は広い。

 明らかに夕闇城よりも広いだろうな。

 城郭そのものも広いが、城壁が凄まじい。

 あのキムクイ・スレイブでもこの城壁を突破するのは容易ではないだろう。


 王城で最も目立つのは塔だ。

 王城の中で最も高い場所を占拠する巨大な建屋と繋がっているようだ。

 一段と高い塔が1つ、やや低くそれぞれ同じ意匠の塔が4つ見えた。

 凄いな。

 見応えがある。

 だが馬車はその塔を左側に見ながら別の場所に向かっているようです。






 それはどう形容すべきか?

 外から見たら野球場のようにも見えるんですが。

 馬車はその建屋の前で止まる。

 周囲には幾つも馬車が並んでいたりする。

 厩舎のような建物まで立派だ。

 馬用の水飲み場にまで彫刻で飾りがある。

 無駄に豪奢だ。


 御者席の辺りからコツコツと何かで叩く音。

 バンパイアデュークの合図だろう。

 到着のようだが。


「師匠?」


 返事がない。

 沈思黙考。

 何やら難しい顔付きです。


「ジュナさん?」


 これも返事がない。

 こっちはすまし顔だが。



 あれ?

 様子がおかしい?


 師匠の頭が一瞬、前に落ちそうになって目を開けた。



「む?着いたかな?」


 師匠。

 居眠りかよ!


 じゃあジュナさんは?

 まさか。


 師匠がジュナさんの頭を杖で軽く叩く。



「到着したようですぞ?」


「いたー」


 ジュナさんもでした。

 あれ?

 2人共、居眠りしてたの?

 なんという名人芸!





 そこは野球場じゃなかった。

 野外の歌劇場?

 観客席が扇状になっている。


 その舞台の上にジュナさんはいた。

 周囲には豪奢な衣装を身に纏った老人達。

 数十人といった所か?

 それぞれに身分の高さを競うかのような有様だ。

 もう誰が誰やら。


 場所は歌劇場の観客席の最後方。

 一番高い場所にオレと師匠は立って、舞台の上を見ていた。

 オレ達以外にもあの老人達の侍従らしき人々がいる。

 舞台上を見るのも興味はあるが、この侍従達も興味深い。

 様々な身分の面々。

 そんな中に明らかに侍従とは思えない連中もいる。


 王子、王弟、王女とか。

 親王、大公、宮中伯、方伯、辺境伯とか。

 公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵とか。

 それぞれ、やんごとなき方々がいたりします。

 中には煌びやかな鎧を装備して帯剣している者までいる。

 まあこれらには興味はなかったりするんですが。


 護衛であろう兵士もまあそれなりだ。

 帯剣している者はいないようだが。

 クラスチェンジ後の職業であろう、ソルジャー、フェンサー、ランサー、アーチャーがいる。

 防具は身に付けていて問題はないようだ。


 属性特化のエレメンタル・ソーサラー、それにメイジといった魔法職も僅かにいるようだが。

 中には無視できない存在もある。

 というか、凄く気になります。



 竜騎兵 グリエル Lv.8

 ドラゴントルーパー 護衛中

 ???



 うわお。

 その男は脇に兜を抱えて王族らしき人々の背後にいる。

 鎧は使い込まれている様子で無骨、この人々の中ではむしろ目立ってしまっている。

 若い。

 その顔付きは実直な印象を感じさせる。



 竜騎士 子爵 ラーフェン Lv.3

 ドラゴンナイト 護衛中

 ???



 今度は肩書き付だよ!

 壮年の男でその鎧は僅かに光沢がある。

 だが、鎧以上に身に纏っている男自身の威容が凄い。

 目が合いそうになったんで視線を外したんだが、視線を感じる。

 おいおい。

 見られちゃってるよ!




 竜騎兵 王女 サビーネ Lv.4

 ドラゴントルーパー 待機中

 ???



 男装の麗人、だな。

 良く見ると線が細いようだが、雰囲気に弱々しい感じは皆無だ。

 しかしドラゴントルーパーにドラゴンナイト?

 なんというロマン。



「師匠、竜騎士、それに竜騎兵というのは?」


「うん?おお、そう言えばここにもおるようじゃな」


 その視線の先に竜騎士。

 師匠と視線が合ったようだ。

 目礼をしていた。



「暇潰しにええじゃろ。少し説明しておこうかの」


「はい」


 そうなのだ。

 正直、興味のある存在を目で追うだけでは暇なのでした。




 竜。

 この場合はドラゴンなんですが。

 建国王、賢政王もまたドラゴンに騎乗する騎士でもあったのだとか。

 そう。

 この王家は竜騎士を戦力として保有している。

 一時期はいなかったみたいですけどね。


 ドラゴンに認められたトルーパーはドラゴンの卵かドラゴンパピーと契約を交わす事を許される。

 但し、それは主従ではない。

 同盟者なのだ。

 竜騎士の家系には代々その騎竜を受け継ぐ竜騎士が現れる事が多いそうです。

 でもね。

 途切れる事も珍しくないようです。

 実際、建国王の騎竜ですら4代目の王を見放し、王族の誰も背中に乗せる事なく去ったそうですから。


 非情だ。


 賢政王が現れる前の時代には竜騎士はいなくなって久しかったそうです。

 それを復活させたのは賢政王とその仲間が苦労してドラゴンと友誼を結んだ結果なのだそうで。

 その仲間の1人がジュナさんというのも驚きですけどね。


 つまり、これって。

 トルーパーを選択しているプレイヤーですが、ドラゴンを騎竜とする可能性があるのかな?

 そんな夢が広がります。

 つかサモナー系でドラゴンを従える事って出来るのか、気になる。



「師匠は召喚モンスターにドラゴンはいたりしますか?」


「所謂、ドラゴンはおらんな。じゃがジュナ師匠はおる」


「え?」


「あれをドラゴンに数えていいのか、悩ましいがな。ドラゴンゾンビ系がおる筈じゃ」


「ええ?」


「まあワシ自身も数回しか見ておらんがな」


 うわあ。

 ドラゴンゾンビ、ですか。

 確かに魔物がスケルトン化しているのは良く見掛けます。

 ゾンビ化している魔物もいておかしくはない。



「ジュナさんは大丈夫、ですよね?」


「ここまではな。じゃが王国そのものが危ういかもしれんぞ」


「え?」


「ジュナ師匠の恐ろしさ、そして重要性を把握しておらん馬鹿者が多いのでな」


 これにも解説が入りました。

 例えば、レムトの冒険者ギルド。

 その長であるルグランさん、そしてゲルタ婆様。

 ジュナさんとも近しい。

 つまりは、このまま放置していては、冒険者に探索させている領域の権益を横取りされないか、懸念しているようだ。

 なんとまあ。

 器が、小さい。

 冒険者ギルドに出資しているのは王家だけではなく、貴族達も加わっているそうで。

 どうもその分配にも不満があるらしいのだが、直接王家には言えない。

 体のいい矛先がジュナさんになっているらしい。

 それにジュナさんがいる間に魔人襲来があった事そのものを問題にしている筋もあるとか。


 なにそれ?

 ジュナさんがあの魔人を手引きした?


 ちょっと信じられない。

 魔人の力を借りなくても、実力でどうにか出来ちゃいそうな気がしますが?



「む?いかんな。ここで待っておれ」


「はい」


 師匠が舞台に向かって観客席の間の通路を降りて行く。

 ジュナさんは?

 なんと舞台上であの衣装を脱いで、床に叩き付けていた。

 つかあの衣装の下はいつもの格好だったんだ。

 抜け目がない。

 というか最初からやるつもりだったんじゃないかな?



「失敬。そなたはオレニュー様の弟子であるのかな?」


「えっと」


 いきなり話し掛けてきたのは?

 あの竜騎士だ。

 ラーフェン、でしたっけ?

 近くで見ると凄いな。

 いい体格をしていた。

 鎧兜も近くで見ると良く分かる。

 何かの鱗でその表面を覆っているのだろう。



「まあそんな所でしょうか」


「某はラーフェン。竜騎士である」


「サモナーのキースです」


 そして互いに目礼。

 ふむ。

 何か言葉遣いが古臭いし、ぶっきらぼうにも聞こえるが、対応は丁寧なようだ。



「縁あってオレニュー様には恩義がある由、汝にお頼みしたい」


「え?」


「王城からは暫く距離を置くが無難でありましょう。そうお伝え下され」


「はあ」


「オレニュー様であれば全てを察しておろうが、念の為である。よしなに」


 そこで目礼。

 こっちも目礼を返す。


 そんなオレ達の様子を気にする者は?

 皆無だった。

 舞台の上で起きている騒動に注目しているようだ。


 いや。

 2名、こっちを見ていたかな?

 例の竜騎兵2人だ。

 舞台の上を見ているように見えるが、意識を竜騎士ラーフェンに向けていると知れる。

 そして、オレにも一瞥。

 その視線に込められている感情は何だろう?


 警戒。

 疑惑。

 興味。

 そんな所だろうか?




「もう!いい所で邪魔しちゃって!」


「これで何度目ですかのう」


「毎年やってるわよ!」


「何年前からですかのう」


「ここ10年は確実だもんね!」


 なんとまあ。

 ジュナさんは常習犯だったのか。

 それを自慢するような態度なのはきっと何かが違う。


 帰りの馬車の中は賑やかでした。

 色んな意味で。

 この場合、師匠がツッコミ。

 ジュナさんはボケになるんだろうな。

 呆れると同時に面白かったのは確かだ。






「じゃあ逃げるわよ!」


「この邸宅はいいんですか?」


「いいのよ。留守番もいるんだし」


 ジュナさん曰く。

 枢密院や元老と揉めたら何が起きるのか?

 その日のうちに王家の人間が派遣されるのが常なのだそうで。

 その対応も面倒だから逃げる、らしい。

 これも過去に何度かやってるそうです。


 子供か。



「準備はいいですぞ」


「あ、キースちゃんは自前で付いて来てねー」


「はあ」


 つかジュナさんは移動時に自分の召喚モンスターを使っていませんが。

 今も師匠のロック鳥に便乗している。

 うん。

 まあ、いいか?


 召喚モンスターの布陣は?

 黒曜、蒼月、スパッタ、折威、イグニスです。

 移動中も戦力の底上げは狙っておきたい所でした。


 時刻は?

 午前9時30分。

 行き先は何処かと言えば、北だった。

 例のドラゴン達の居場所だ。

 ある予感がある。

 スノーワイバーンだ。

 あれと戦う事になりそうです。









《只今の戦闘勝利で【耐寒】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『折威』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 スノーワイバーンを呼び寄せているのは師匠かな?

 それともジュナさんなのか?

 明らかに昨日よりも襲ってくる数が多いんですが。

 まあレベルアップも早くなるから否はありません。

 でもね。

 ブレス攻撃が激し過ぎて避けきれませんから!


「やっぱり鍛えるならこうでないと!」


 そうジュナさんが仰ったので。

 師匠も止めてよ!


 折威のステータス値で既に上昇しているのは精神力です。

 もう1点のステータスアップは筋力値を指定しておこう。



 折威 サキュバスLv2→Lv3(↑1)

 器用値  7

 敏捷値 24

 知力値 24

 筋力値  7(↑1)

 生命力  7

 精神力 26(↑1)


 スキル

 飛翔 浮揚 反響定位 魔法抵抗[中] MP回復増加[中]

 変化 時空属性 光属性 闇属性 火属性 土属性



 そしてインフォは続く。

 まああれだけ連続してスノーワイバーンを屠っているのだから読めてたけど。



《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『イグニス』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 まあこれも順当だろう。

 ダメージはそこそこ喰らっているが大丈夫でした。


 イグニスのステータス値で既に上昇しているのは精神力です。

 ちょっとこれは悩む。

 もう1点のステータスアップは敏捷値を指定してみよう。



 イグニス ファイティングファルコンLv2→Lv3(↑1)

 器用値 12

 敏捷値 28(↑1)

 知力値 23

 筋力値 12

 生命力 12

 精神力 14(↑1)


 スキル

 嘴撃 飛翔 遠視 広域探査 奇襲 危険察知 空中機動

 風属性



 1回当たりに相手をしている魔物の数は多い。

 愛の鞭?

 単に観戦したいだけな気がする。

 つかさ。

 ジュナさん、これって逃避行ですよね?


 時刻は午前11時20分。

 移動するだけであればとっくに到着してないといけないんですが。

 まあ剥ぎ取り作業は楽ですけどね。

 死体はロック鳥が回収してくれる。

 師匠もジュナさんも手伝ってくれていた。

 何気に剥げるアイテムの数が凄い事になってきている。


 結構、激しい戦闘が続いたが、実入りはいい。

 そう思えばいいのです。





 例のドラゴンがいる谷が近い。

 ようやく到着。

 そう思ったんですが。

 雲海の中から幾つかの影が上昇してきて頭上へ。

 スノーワイバーンか?

 いや。

 その速さがまるで違う。

 翼の大きさも違うようだが。




 レッサードラゴン Lv.3

 魔物 移動中

 戦闘位置:地上、空中

 火属性 土属性 溶属性 ブレス



 レッサードラゴン Lv.9

 魔物 移動中

 戦闘位置:地上、空中

 火属性 風属性 水属性 氷属性 ブレス



 レッサードラゴン Lv.7

 魔物 移動中

 戦闘位置:地上、空中

 光属性 火属性 土属性 溶属性 ブレス



 なんと。

 レッサードラゴンじゃないですか!

 属性がややバラバラに見える。

 その姿、色相、威容も異なっているようだ。


 そしてその3匹だけではない。

 騎乗する人間がいる。

 彼らだ。

 朝、あの場所にいた3名。

 竜騎士、そして竜騎兵。

 ドラゴンナイト、それにドラゴントルーパー。

 その手には馬上槍?

 だが長さが凄い。

 オレが今持っている獅子賢者の騎士槍の倍は間違いなくあるだろう。



 竜騎士ラーフェンが下を指差す様子を見せる。

 眼下に昨日飛び立った平坦な場所が見えていた。

 師匠のロック鳥が舞い降りる。

 オレもその後を追う事にした。




「ペガサスをこの目で見る機会があるとはな」


「これが天馬、いえ神馬ペガサス?」


 竜騎士ラーフェン、竜騎兵グリエルは並んで蒼月を見ているのだが。

 竜騎兵サビーネ、いや、王女サビーネの様子はややおかしい。

 近寄ってきている。

 呆けたような表情。

 別の意味で危険な予感もするんだが。



「不躾なのは承知している。だが頼む。撫でて構わぬかな?」


「どうぞ」


 蒼月は翼を展開したままだ。

 嫌がるようであれば空へ逃げていいぞ?

 だが。

 蒼月は撫でられるがままだ。

 王女様も撫でるに際して両手の篭手を外していた。

 さすがに鎧を外す余裕はなかったようだが、なければ蒼月を抱きかかえていたかもしれない。




「そろそろ、ええかの?」


 王女様は夢見心地な気分を満喫したかったようだが、師匠は中断させた。

 その表情は苦笑。

 王女様相手に無礼じゃないのかな?



「失礼致しました。オレニュー様。そしてジュナ様も」


「ここはもう王城ではない故、そう畏まる事はなかろうて」


 王女様は優雅に、そして王女とは思えないほどの低姿勢で一礼する。

 師匠はリラックスした雰囲気のままだ。

 ジュナさんもいつもの調子である。



「連れ帰って来い、とか言われちゃった?」


「はい」


「いつものように逃げられた、ではダメかしら?」


「我等の面目など考慮は無用です」


「最近、竜騎士の扱いが軽くない?枢密院も元老も分かってるのかしら?」


「鍛錬と思えば苦労にはなりませぬ故」


 ジュナさんは王女の頭を撫でる。

 王女サビーネの髪は短い。

 バッサリと無造作に刈り揃えてあるようだ。



「綺麗な髪なのにまだこの格好?」


「王命ですので」


「王家の王子がどれも不作なのがいけないのよ!騎竜に認めて貰えたのが貴方だなんて!」


「王家の宿命ですので」


「でも、天馬騎士の方がいいわよねえ?」


 そう言うとジュナさんは蒼月に視線を向ける。

 そして王女も。

 まあ蒼月は知らん顔な訳であるのだが。


 つかさ。

 竜騎士達は皆、ジュナさんや師匠と良好な関係であるようです。

 王城では縁遠い関係に見せ掛けていたのか?



 師匠はロック鳥を帰還させる。

 そして谷の中へ。

 オレ達も続く。

 そしてレッサードラゴン3匹も同行するようだ。


 つかさ。

 近い!

 顔が近いよ!

 何でオレに顔を寄せてくるんよ?

 食う気じゃないよね?

 オレってば餌じゃないから!


 黒曜、スパッタ、折威、イグニスは?

 蒼月の鞍の上に退避してます。

 いいね、お前達って。

 こっちは生きた心地がしないよ!




 出迎えたのはクラウドドラゴンと金紅竜。

 もう1匹のクラウドドラゴンはいないようだ。

 そして3匹のレッサードラゴンはクラウドドラゴンの元へ。

 何か井戸端会議でもしているかのような感じになってます。

 そう言えばドラゴンって知的生物なんでしたっけ?


「ま、見送りはここまででいいじゃろ」


「承知。しかしよろしいので?」


「お主達にも迷惑を掛けるのう」


「いえ。魔人を討つ手助けも出来ず申し訳なく」


「何、王城の守りがあればこそワシ等も気兼ねなく動けるのじゃからな」


「この子もいるしね!」


 ジュナさんはそう言いながら金紅竜の牙を撫でる。

 凄いな。

 真似なんて出来そうにない。


 それにしても、魔人を討つだって?

 師匠もたまに姿を見せなかったりするんですが、もしかして?

 いや。

 有り得る話だ。



 竜騎士達とは金紅竜が鎮座する広間で別れた。

 王女様は見るからに蒼月に未練があるようですが。

 男装なのにまるで少女のように見えたものだ。



 谷を降りて行く。

 来た時には分からなかったが、壁に色相の異なる場所があった。

 師匠が手を当てると?

 視野が反転する。

 転移だ。


 次に見た風景は?

 島にあった、あの巨石だ。

 ふむ。

 どうやら双方向に行き来が出来る仕掛けのようだ。

 便利だな、これ!



「ここの使い方は見たな?」


「はい」


「悪用出来んよう、限られた者にしか使えんようにしてある。が、お主でも使えるようにしておこう」


「いいのですか?」


「ま、王城でも面倒事を頼む事もあるかもしれんしの」


 ですよねー。

 無条件で使わせてくれるなんて美味しい話なんてありませんよね?

 分かります。

 頭の中で計算してみると?

 マップにして10マス分、跳べちゃうのか。

 そりゃ便利な訳だ。


 登録は?

 師匠と手を重ねて巨岩に手を触れただけです。

 呆気ないんですが、いいんでしょうか?





「では、息災でな」


「じゃあ、キースちゃん、まったねー!」


 師匠達とはここで別れる事になりました。

 ジュナさんが呪文詠唱をすると目の前で消えてしまう。

 時空魔法だ。

 聞けばジュナさんの力量であれば、王城まで跳ぶ事も簡単なのだそうです。

 しないだけで。

 要らぬ騒ぎにならないよう、色々と隠しているみたいだ。


 オレも真似しようかな?

 いや、オレの場合は違うか。

 素で忘れてたりする事が多いんですけどね。


 さて。

 ここはE4マップだ。

 周囲の探索もいいが、まずは昼食としよう。

 折威を帰還させて文楽を召喚する。


 食事の後は?

 海がすぐそこにあるのだ。

 やりたい事がある。

 ようやくアプネアの出番ですな。

 マップの難易度的には高いかも知れないが、そこはそれ。

 周囲の助けがあれば問題ないと思うのでした。


主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv33

職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv19

ボーナスポイント残 24


セットスキル

剣Lv13 両手槍Lv13 馬上槍Lv14 棍棒Lv14 刀Lv14

刺突剣Lv12 捕縄術Lv12 投槍Lv11 ポールウェポンLv11

杖Lv24 打撃Lv21 蹴りLv21 関節技Lv21 投げ技Lv21

回避Lv21 受けLv21

召喚魔法Lv33 時空魔法Lv21 封印術Lv16

光魔法Lv20 風魔法Lv20 土魔法Lv20 水魔法Lv20

火魔法Lv20 闇魔法Lv20 氷魔法Lv19 雷魔法Lv19

木魔法Lv19 塵魔法Lv19 溶魔法Lv19 灼魔法Lv19

英霊召喚Lv1

錬金術Lv16 薬師Lv11 ガラス工Lv9 木工Lv13

連携Lv23 鑑定Lv23 識別Lv23 看破Lv7 耐寒Lv12(↑1)

掴みLv20 馬術Lv21 精密操作Lv23 ロープワークLv11

跳躍Lv13 軽業Lv13 耐暑Lv14 登攀Lv12 平衡Lv14

二刀流Lv19 解体Lv19 水泳Lv6 潜水Lv6 投擲Lv13

ダッシュLv13 耐久走Lv13 隠蔽Lv7 気配遮断Lv7

身体強化Lv21 精神強化Lv21 高速詠唱Lv22

魔法効果拡大Lv21 魔法範囲拡大Lv21

耐石化Lv6 耐睡眠Lv6 耐麻痺Lv9

耐混乱Lv7 耐暗闇Lv6 耐気絶Lv9

耐魅了Lv2 耐毒Lv3 耐沈黙Lv5 耐即死Lv3


召喚モンスター

折威 サキュバスLv2→Lv3(↑1)

 器用値  7

 敏捷値 24

 知力値 24

 筋力値  7(↑1)

 生命力  7

 精神力 26(↑1)

 スキル

 飛翔 浮揚 反響定位 魔法抵抗[中] MP回復増加[中]

 変化 時空属性 光属性 闇属性 火属性 土属性


イグニス ファイティングファルコンLv2→Lv3(↑1)

 器用値 12

 敏捷値 28(↑1)

 知力値 23

 筋力値 12

 生命力 12

 精神力 14(↑1)

 スキル

 嘴撃 飛翔 遠視 広域探査 奇襲 危険察知 空中機動

 風属性


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
王城回もう終わりか 楽しい時はすぐ終わるw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ