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 時刻は午前11時30分。

 少しゆっくりとした時間を過ごしたのには訳がある。

 灯台をチェックしたのは勿論ですけどね。

 ナイアスを始めとした人魚3名が大活躍です。

 魚を何匹か仕留めてました。

 魔物じゃない奴だ。


 その魚をメインに野菜、香草と蒸し焼き料理が作られていく。

 これも一種の浜鍋かな?

 味噌仕立てじゃないけど。




「ところで、昼食の後なんだが、どうする?」


「このマップでの狩りは、や!」


「ここでの狩りは遠慮したいですね」


 アデルとイリーナは即答ですか。

 ヒョードルくんも大いに頷いて同意を示している。



「本音を言えば海での狩りもしておきたい所でしたけど」


「ここの海では、ねえ?」


「それにアデルちゃんもイリーナちゃんも水中に対応出来る召喚モンスターが足りないですし」


「だよね?」


 春菜と此花もいい顔をしない。

 このマップの事前情報を把握しているだけに尚更なのだろう。

 考え様によっては獲物を独占して経験値を稼げるんですけどね。

 それならS5マップ南端の中継ポータル前でスフィンクスとスピンクスのペアと連戦した方がいい。

 絶対に、いい。

 その筈だ。



「南に行くのはどうだ?」


「S4E1マップですか?」


 春菜が少し思案顔だ。

 いや、掲示板情報を精査しているのかも?



「情報、ないですね」


「S5マップの書き込みですら私達ばかりですし。まだ攻略されていないのかも?」


 此花の意見に頷く一同。

 そんなものなのか?

 ここを攻略したというユニオンを組んでいたパーティなら攻略していてもおかしくなさそうだが。



「いいかも!」


「ボーナスポイント狙いならありかしら?」


 おや?

 イリーナも乗り気だ。

 どうもその理由なんですが【高速詠唱】らしい。

 ここ数日で得たボーナスポイントを消費して魔法技能を取得、呪文目録の称号を得た。

 だが。

 肝心の【高速詠唱】を取得するにはボーナスポイントが足りないそうだ。

 なんとまあ。

 それは切実ではあるな。



「いいのかな?」


 春菜、此花、ヒョードルくんの意思を確認していく。

 異論はなさそうだ。

 まあS5マップのエリアポータルを攻略した実績があるしな。

 問題は事前情報が殆どないって事だが。

 そこは何とかするしかない。



「では、地上を移動だな」


「いつもの移動優先ですね?」


「そうだな」


 オレも布陣を元に戻そう。

 レムスは帰還させて残月を召喚する。


 アデル達も多少の変更があるものの、移動用の布陣へと切り替えていく。

 最も大きな変更点はアデル配下のオルトロスだろう。

 隣のマップへ、となると難易度は上がる筈だ。

 戦力は出来るだけ高めておいた方がいい。



 隣のマップとの境界まで、騎乗したままであれば3時間以内で到着できるか?

 戦闘を回避しながらであればもっと短縮できるかも知れない。

 まあそれも地形次第ではあるのですが。

 行ってみないと分からない。

 行くしかないよね?


 では、行くか。




 ここの魔物への対策は?

 出来るだけ戦闘を避ける。

 まあ単純な訳ですが。

 そこはそれ、地道に底上げしたら大きく変わると信じて、エンチャント系で強化してみた。

 フィジカルエンチャント・ウィンドは当然。

 フィジカルエンチャント・ファイアとフィジカルエンチャント・アース。

 それにグラビティ・メイル。

 軍艦鳥の襲撃は無理かも知れないが、他の魔物の追撃は受けなくて済むだろう。

 そういう目論見です。


 戦闘を避けて、逃げる。

 他にプレイヤーがいたらトレイン行為であるが、このマップには他のプレイヤーは少ない。

 いや、恐らくは、いない。

 軍艦鳥以外で問題になるのは?

 奇襲だな。

 そして馬だ。

 まあ追い掛けてくるにしても、追い付ける個体が果たしているかどうか。

 大丈夫でしょう。




 甘かった。

 確かに大抵の馬は振り切る事ができたのだが。

 1頭だけ、レベルの高い奴が追い掛けて来る。

 むしろ呪文で強化してないとこっちが危ない。



 天斑馬 Lv.7

 魔物 討伐対象 激高状態

 戦闘位置:地上 全耐性



 ヤバいな。

 かなりお怒りのご様子。

 だが前向きに考えてみよう。

 もしかして、こいつにロックオンされている間って他の魔物に襲われないんじゃ?

 そういう事にしておこう。



「矢は使うな!どうせ回収できない!」


『はーい!』


『でもあの馬の始末はどうします?』


「攻撃魔法の的にでもするさ」


 近寄りたくはないですからね。

 余計なリスクを負う必要はない。

 それに攻撃呪文を当てるいい練習になると思えばいいのだ。

 大したダメージにはならないが、いずれ沈んでくれるだろう。



 10分経過。

 まだ追ってきますけど?

 HPバーはまだ7割ほど残っている。

 しつこいわ!


 最初のうちは真面目に呪文を叩き込んでいた。

 でも、つまらない。

 避ける様子を見せないからだ。

 1発も外れていないと思う。

 さすがに呪文を切り替えました。

 フォース・バレットに。

 MPバーの消費は最小で済むだろう。



 だが。

 どうもこれがかえって良かったようです。

 10発程、撃ち込んでみて気が付いた。

 HPバーの減りだ。

 変わってない。

 フォース・バレットに切り替える前にはファイア・ボールを使っていたんですがね。

 累積するダメージが変わっていない。


「フォース・バレットでいい、出来るだけ撃ち込んでおいてくれ」


『はい!』


『なんとかやってみます』


 全員でフォース・バレットを撃ち込み始める。

 全速力で逃げているのだ。

 たまに呪文詠唱が失敗する事もあった。

 それでもフォース・バレットの集中砲火は効くようです。

 徐々に。

 徐々にであるが、HPバーが減っていく。

 激高状態であるせいか、魔物は自己回復も見せている。

 だがこちら側が積み重ねていくダメージが上だ。


 ナイアスも水の矢を撃ち込み始めた。

 MPバーが全快になったので参加させます。

 残月に騎乗しているとMPバーの回復があるから助かりますね。




 馬はかなりの時間、粘っただろう。

 だがさすがに詰む時が来る。

 なんと、広域マップでは隣のマップまであと半分の所にまで到達していたのです。

 恐るべき奔馬だった。

 だが忘れてはいけない事もある。

 お肉だ。



【素材アイテム】天斑馬の毛皮 原料 品質C+ レア度6 重量5 

 天斑馬の毛皮。尻尾の毛は織布に、皮は上着の素材に使われる。

 神馬の末裔に連なる素材として儀式に使われる事もある。



 あれ?

 お肉は?

 お肉じゃなかった。


 毛皮?






「これをどう見る?」


『たまたまレアだった可能性?』


『レベルが高い魔物だったから?』


 春菜と此花の仮説はいずれも納得できる。

 有り得る話だ。



『日頃の行いが良かったから運営からのご褒美!』


 アデルよ。

 それ、ないと思う。


『一定の数を倒すとドロップするとか?』


 ヒョードルくんの意見もありそうだ。

 だがピンと来るものがない。



『今の魔物、呪文攻撃だけで倒しましたが、それが関係するでしょうか?』


 うん?

 イリーナの指摘はどうだろう?


 今までにも特定の条件で得られるアイテムに変化が現れる魔物はいた。

 ブランチゴーレム、パペットツリーは燃やして倒せば炭が得られる。

 ここの魔物はどうなんだろうか?





 では。

 軽く検証、行ってみよう。

 レベル低めの天斑馬をコール・モンスターで呼んで、呪文だけで仕留めてみる事にした。


 これは仮定だが。

 魔物の弱点を突くのではなく、敢えて強い部分だけを攻めて倒すとしたら?

 その難易度は一気に跳ね上がる。

 他のマップ以上にアイテム取得は難しいかも知れない。



 使う攻撃呪文はフォース・バレットだけで。

 近接攻撃は体当たりも避ける。

 矢もなしだ。

 召喚モンスターの特殊攻撃は有りにしてみよう。


 では。

 ヴォルフは帰還させよう。

 黒曜を召喚する。



「準備はいいか?」


『はい!』


『了解!』



 天斑馬 Lv.1

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 全耐性



 お待ちかねの獲物はすぐそこに来ていた。

 さあ、来なさい。

 一気に削って差し上げよう。







《只今の戦闘勝利で職業レベルがアップしました!》



 職業レベルアップはまあいいとして、だ。

 さすがにレベル1だと弱い。

 というか、集中砲火が凄過ぎてもうね。

 それでも10分程の時間が掛かっているのも凄い。

 いや、酷い。

 まさに嬲り殺しである。

 いっそ槍で一突きにして止めを刺したい程なんですが。

 心が痛む?

 いいえ、これも試練だ。

 精神的な意味で。



 その結果はどうか?

 ヒョードルくんが剥いだのは毛皮だ。

 確定、というにはもう少し狩ってみたいが。



「さて、どうする?」


『レア度、高いですよね?』


 イリーナも興味があるようだ。

 一方で春菜と此花は興奮状態である。

 彼女達は【縫製】の生産技能を持っている。

 毛織物の素材として毛皮を狙っているのは明らかだ。



「もう何頭か、続けてみよう」


『確定しておきたいですね』


 イリーナにも異存はないようだ。

 他の面子は俄然やる気になっている。


 狩人の目をしている。

 獲物を見定めた肉食獣の目だ。



『エリアポータルの朝焼の灯台に戻りませんか?』


「うん?」


『ログアウトしておけばいつでも来れるようになりますし』


「確かに」


 此花の提案に抗う事は?

 誰にも出来なかった。

 そもそも灰色の森にはアデルでもヒョードルくんでも跳べるのだ。

 異論などない。

 戻りながら、馬を狩る事になりましたよ?




 戻りながら10頭ほど、攻撃呪文だけで狩ってみた結果は?

 やはり毛皮しか剥げない。

 100パーセント剥げる訳ではなく、8割ほどなのが気になった。

 何かが取得率を下げている?

 もしかしてオレの日頃の行いが?


 どうも関係はないようです。

 更に10頭を狩ってみたが、9割といった所か?

 つか溜まるの早過ぎ!

 それに魔物は天斑馬だけではないのだ。

 他にも、いる。




 軍艦鳥 Lv.4

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:空中



 こいつは?

 何かアイテムが得られる可能性があるのかね?



『呪文ダメージなしで、とか?』


「試してみるさ」


 軍艦鳥の数は4羽。

 こっちの猛禽類部隊の方が数の上では優勢である。

 それが、良かった。

 壁呪文なしで、というのはさすがにキツい条件で、オレも残月もそこそこのダメージを喰らってしまっている。

 遭遇した時、得物が獅子賢者の騎士槍であったのは大いなる失策だった。

 重たい分、小回りは効かない。

 全く、どうかしている!

 珪化木の杖にしてからどうにか挽回したが。

 地上に撃ち落とすのは難しかったが、ヘリックス達猛禽類の助けもあって狩り尽くす事が出来た。

 全体で見て喰らったダメージは無視出来ないものであるが。

 まあこれも検証だ。

 受け入れるしかない。



 で、何が剥げたかと言えば、定番です。



【素材アイテム】軍艦鳥の翼 原料 品質C+ レア度4 重量1+

 軍艦鳥の翼。非常に軽く滑空するのに適している。



 微妙?

 狩る事そのものは時間が掛からない魔物だが、ダメージは覚悟せねばならないんですが?

 それも出来上がる矢の性能次第だろう。

 こいつの評価は保留で。

 今は馬を狩るのを優先しよう。





 エリアポータルの朝焼の灯台に戻ってきましたよ?

 時刻は午後2時10分。

 無駄足?

 いいえ、経験を積んだのです。

 無駄ではなかった。

 そういう事にしておきましょう。


 此花がログアウトし、再びログインするのを待つ。

 あっという間に戻ってきた此花が再び召喚モンスターを呼ぶのを待って、早速出発した。


 狩るぞ。

 一部、欲望の権化になりつつあるが気にしない。

 何、オレ自身もそうだったりするし。

 全く、物欲というのは恐るべきモチベーションを生み出す魔法のようだ。

 そしてその物欲には際限はないのであった。






 オピオンスネーク Lv.4

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 水属性 土耐性



「こいつも殴って仕留めるぞ!」


『はい!』


 この魔物は毒持ちである。

 接近戦はリスクが大きい。

 そこを敢えて踏み込んだ。

 回避は残月に任せよう。

 オレは珪化木の杖で殴りつける事に専念する。


 だがこいつはそうタフな相手ではなかったようです。

 撃ち込んだ攻撃の半分以上は表面の滑りで無効化されたが、直撃を数発当てたらちゃんと沈んでくれる。

 毒液は?

 どこにも浴びていない。

 あの嫌な匂いもしなかった。



《只今の戦闘勝利で【連携】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【識別】がレベルアップしました!》



 で、何が剥げたのか、と言えば?

 奇陳石です。

 但し5個も剥げた。

 1匹から5個?

 それでも何だか微妙に思えるから不思議だ。





 南へ馬を狩りつつ移動を続けた。

 左手には海岸が迫っている。

 どうもこのマップ、半分は海なのかね?

 


 アイテムはそこそこ溜まりつつある。

 だが。

 まだ残された問題もある。

 ヤドカリ、どうしようか?


 遭遇はするのだが、一向にアクティブにならない。

 ずっとパッシブだ。

 無視されているようで少し気にはなるんだが。


 ここは移動と馬狩りを優先してスルーしましょう。

 時間が掛かりそうだし。



 それにこの行軍も悪くなかった。

 S3E1マップの南端に到達したのは午後4時20分。

 それまでにアデルとイリーナの種族、職業、召喚魔法がレベルアップしていました。

 そして2人共【高速詠唱】を取得できるのか?



『惜しい!1ポイントだけ足りない!』


『分かってたでしょ?アデルちゃん』


『うん、言ってみただけ』


 おいおい。

 だがこれは困ったな。

 アデルとイリーナは先に進みたい。

 春菜と此花はここで馬を狩りたい事だろう。

 どうする?



『先へ進んで大丈夫です』


『私達もボーナスポイントは狙いたいですしね』


 おお。

 物分りが良くて助かりました。

 そうと決まればここで布陣を戻そう。

 黒曜を帰還してヴォルフを召喚する。

 初めてのマップなのだ。

 早期警戒には手を抜けない。




 時刻は午後4時50分。

 広域マップではS4E1マップに突入した筈だ。

 左手に見えていた海岸が段々と遠くなるようです。

 マップに占める海の割合は少なくなっていくのだろう。

 その地形は?

 平地じゃなくなる予感がする。

 山だ。

 遠景に山が見えている。

 そう険しくなさそうなのが救いか?

 それに木々の様相も変わってきた。

 コール・モンスターで引っ掛かる魔物は?

 いない。



 S5マップで強敵と言えばスフィンクスにスピンクスでした。

 S4W1では恐竜達。

 ここもレムトから5マス離れているのであれば、同様に強い魔物がいておかしくない。

 さあ。

 何がいるんだ?


主人公 キース

種族 人間 男 種族Lv26

職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv12(↑1)

ボーナスポイント残 32


セットスキル

剣Lv10 両手槍Lv10 馬上槍Lv4 棍棒Lv9 刀Lv9

捕縄術Lv8 杖Lv20 打撃Lv16 蹴りLv16

関節技Lv16 投げ技Lv16 回避Lv16 受けLv16

召喚魔法Lv26 時空魔法Lv15 封印術Lv8

光魔法Lv15 風魔法Lv15 土魔法Lv15 水魔法Lv15

火魔法Lv15 闇魔法Lv15 氷魔法Lv13 雷魔法Lv13

木魔法Lv13 塵魔法Lv13 溶魔法Lv13 灼魔法Lv13

錬金術Lv11 薬師Lv8 ガラス工Lv6 木工Lv10

連携Lv18(↑1)鑑定Lv17 識別Lv18(↑1)看破Lv5 耐寒Lv8

掴みLv15 馬術Lv15 精密操作Lv17 ロープワークLv8

跳躍Lv8 軽業Lv8 耐暑Lv10 登攀Lv9 平衡Lv9

二刀流Lv15 解体Lv13 水泳Lv6 潜水Lv6

ダッシュLv7 耐久走Lv7

隠蔽Lv2 気配遮断Lv2

身体強化Lv15 精神強化Lv15 高速詠唱Lv16

魔法効果拡大Lv14 魔法範囲拡大Lv14

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サモナーさんてマップのギミックによく気づきますよね…野生の勘?
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